おむすび・おにぎり・画家と縁切りを回避


もう今日という今日は、あの画家とは縁切りだ・・
熊谷にあるカフェギャラリーのオーナーは
苦しい胸中だった。
その画家は金のトラブルがあちこちであり
自分の店の展示にも及んでいた。
そうした中、金の無心をされて、主はレジを開けて見せ
これだけしかない。うちも苦しいんだ・・
そんな繰り返しで疲れ果て、もう彼の展示も断わりたい、
今日は、はっきりとそう言おうと思っていた。
彼が来た。
その画家Sは、絵と共に おにぎりを握ってきた。
炊き立てのお米の香りがするし
暖かくふわっと握られていた。
オーナーは、これを食べたときの感想を
私に話した。
自分は、彼を【切ろう】としていた。
でも、その 【中に入った】暖かさと柔らかさは
おに・切り  ではなくて
おむすび【結び】だったんだ。
私は彼を許して、金を用立てたと。

これは美談だと思った。
切る 結ぶは この食べ物で そうした意味ではないと思うが
ここでは、その食物と人間関係に言及できていた。

しかし残念ながら、いまだ私がSに貸した金も、
18年近くたっても帰っては来ないままだ。

独学の画家 香本博(コウモトヒロシ)です。北海道から沖縄まで約130回の個展を開催してきました。より多くの方に見て知っていただけるよう、絵本出版なども考えています。応援よろしくお願いします。