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珈琲道ぢろばたとの徒然記 その3

出会いから4年ほど経ってからマスターが私に言った。
「ずっと香本さんの絵は、私から見ると
まだまだ首をかしげるようなものと感じていたが
最近、とても良くなった。爽やかな印象がある。
やはりずっと描き続けてきたからね・・
うちで個展をやりませんか?」

こうして2004年11月に 個展「いつのまにかの風」が開催された。
作品も11点巣立った。
この”いつのまにか”吹いた風は、私とマスターとのことを暗示したのだった。

2回目もマスターから申し出があった。
個展「いつか吹く風」は先月(2007/3月)無事終了した。
朝日新聞や秩父ケーブルテレビでも報道していただいた。
作品も5点巣立ち、遠方からも観に来てくださった。
精神的に高いレベルに飛べるようにという願いを、題名に込めた。

この個展の前・・去年、
珈琲道ぢろばたの建物を作った恩師 山中隆太郎さんが亡くなった。
あまりの突然の死に、私はとてもこたえていた。

山中隆太郎さん・・・
まるで息子を見るように、私の絵を嬉しそうに観てくださり
手製の額を作ってくださり、
絵を落ち着いて描ける環境ということで
中古の家を買えるよう親代わりとなり、手続きに奔走してくださり
岡山での個展にまで来てくださった。
群馬の温泉に一緒に入ったり
薪ストーブの工事もしていただき、
その火の温もりの中で、共に杯を酌み交わした。
よく家にも呼んでいただいた。
電話の留守電で、「山中です。良かったら家へ来てください。待ってます。」
との誘いに、ありがたくお邪魔した。
奥様の とし子さんの、心のこもった手料理の団欒に
時を忘れた。
餃子が焼けたから、良かったら食べに来てください。
よくそんな連絡もくださった。
今でも山中隆太郎さんの あの笑い声が聞こえてきそうだ。

私は去年、そのこと以外にもいろいろあって
精神的にこわれて傷だらけだった。
風呂に入っていて突然思いがこみあげて来て
大泣きしてしまったり、
自分はかなり危ないな と思ったりした。

珈琲道ぢろばたのマスターと
この思いは共通するものがあった。

作品は「誘い風」2004年の ぢろばた個展で巣立ちました。

独学の画家 香本博(コウモトヒロシ)です。北海道から沖縄まで約130回の個展を開催してきました。より多くの方に見て知っていただけるよう、絵本出版なども考えています。応援よろしくお願いします。