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小川未明「月夜とめがね」紙芝居デリバリー

紙芝居デリバリー、今回は、小川未明「月夜とめがね」。紙芝居の芸術家、諸橋精光の最新作で、小川未明の不思議なファンタジーを余すところなく視覚化しています。諸橋精光の名前をご存知の方は誰もいないと思いますが、もともとお坊さんでお寺で「仏教紙芝居」を始めたことがきっかけで紙芝居作家となり、その迫力ある、そして精細な絵は、「紙芝居芸術家」と呼ぶにふさわしいものです。

迫力ある絵を得意としていた彼の最新作は、とにかく美しい。諸橋精光の初期の作品からずっとレパートリーとしている私としては、彼がこんなに美しい絵を描くようになったことに、大きな驚きと喜びを感じます。見ていただくとわかりますが、ああたかく、その中で多彩で華麗な色づかいで精細な絵となっています。彼はどこまでゆくのだろう。本当に楽しみです。今回は、この諸橋精光の絵の美しさを映像で再現するため、かなり細かいところまで色の調整をしました。それでも実物のすばらしさにはずっと及びません。

諸橋精光の芸術を一人でも多くの方に知ってもらいたい。あーちすとウエダのオリジナルの音楽と語りで、小川未明と諸橋精光によるファンタジーを、大人から子供まで楽しめる紙芝居として上演しています。ぜひご覧ください。

紙芝居は、だいたい、出版社が初版を出版し、図書館や学校などに配本した後、ほぼ絶版となってしまいます。いわさきちひろなど、有名な作家の絵によるものは今でも出版されていますが、諸橋精光は無名のため、初期の多くの傑作がすでに手に入らなくなっています。現在は仏教系の児童文学の出版を得意とする「鈴木出版」から出版されていて、鈴木出版から出ているものはちゃんと手に入ります。紙芝居の傑作を、どう後世に残していくか、これは紙芝居上演者としては、実に頭の痛い課題です。電子化してアーカイブ化し、有料でダウンロード可能とする、などの方法があるでしょうか。図書館からは、古い紙芝居はどんどん廃棄されていくのが現状で、紙芝居の現状には本当に心を痛めています。

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