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カラスの言葉

ある日、息子と鳥の図鑑を読んでいたら、カラスは鳥の中で一番かしこいと書いてあった。
朝、家族で駅に向かう途中に、カラスがカァカァ!と鳴いていた。

息子は「パパァ、カラスって喋れないじゃん。賢くないね」と言った。
僕は「え?知らないのかい?カラスはね、夜、みんなが寝静まった時に喋るんだよ」と言った。

「うそだぁ!」
「いやほんとだよ。なぜかわかる?」
「うーん、わからない」
「カラスの色は何色?」
「黒!」
「そう。で、夜も黒でしょ。カラスと夜が同じ色になって初めて、カラスは喋れるようになるんだよ」

と説明すると、「へぇー」と何かを考えているようだった。

しばらくすると
「でもパパァ、朝はカァカァしかいわないよね。どうしてカラス同士、話が通じてるの?」と聞いてきた。

僕は、「あれ?君にはわからないの?同じカァカァでも、全然違うよ」
そして、かわいいカァカァと、渋いカァカァの鳴き真似をしてみた。

「ねぇ、どっちがいい?」と聞くと、なんだか納得してない顔をしている。もうひとつ例えてみた。

「じゃあさ、おはようで行ってみよう。おはようー!(かわいく)。そしておはよーー!!(怖く)。同じ言葉でも違うでしょ。」

なるほど、と納得したようだ。

そして、いろんな声色カァカァのゲームが始まった。
これ、なんのカァカァでしょうか!
盛り上がっていたら、駅に着いた。

妻は考え事をしながら、ベビーカーを押していた。

そんな日々が毎日続いている。

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