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探求文庫 #113 “ただ”そうだった。

探求文庫 #113 “ただ”そうだった。


ある男性がいました。

彼は努力家で、勉強して、良い大学に入り、大手企業に就職後、知人と新たなビジネスを立ち上げて脱サラし、見事事業は軌道に乗り、若くして富を得ました。

「努力すればなんでも夢は叶う」

彼はそう信じていましたし、これまでも、彼の努力はすべて報われてきました。

周りの人も、本人も、彼の成功は、彼の努力によるものだと思ってました。

彼の事業がさらに拡大しようとする大チャンスの矢先に、彼は大きな事故に遭いました。

命は助かりましたが、意識不明の数日間で、大きなプレゼンテーションや、重要な会議に出られず、大チャンスを逃し、それはそのまま大ピンチになり、入院中に会社はあっという間に傾き、身近な役員から反旗を翻されました。結果、彼は今まで得た富を失ったばかりか、莫大な借金を背負いました。

彼も周りの人も、

「傲慢になり、図に乗りすぎたから事業が失敗したのだ」と思いました。

確かに彼は、自分の能力に過信し、努力や向上心、謙虚さを失い、周りの人間に対して傲慢な態度になり、雑になってました。

「悪いことをすると、悪いことが起きる」

そう思い、彼は反省しました。

しかし、状況は絶望的で、彼は途方に暮れました。なぜなら命は助かったものの、身体に後遺症が残り、再起を図るのは難しいと思われ、自暴自棄になりかけました。

しかし、彼の支えになってくれた看護師の女性がいました。

落ち込む彼を元気づけ、リハビリを懸命に手伝いました。

彼がビジネスで成功していた頃も、周りには常に女性がいましたが、こんなに心の綺麗な人は初めてだと思いました。彼女の真剣な思いにも応えたいし、これからは真っ当に生きていこうと近い、リハビリを頑張りました。

退院後、彼は看護師の女性にプロポーズをしました。一生側にいてほしいと。彼女はOKしました。

「神様は頑張る人間を見捨てない」

彼はそう思いました。

彼は破産しましたが、そこからまた新たなビジネスを始めて、そのサービスはうまく行き、また成功者として名を馳せました。

彼も周りの人も、彼が心を改めて、誠実に頑張ったからだと思いました。

しかし、ある時彼は階段で躓き、両足を怪我します。彼も周りの人も、彼の不注意と、仕事による疲労だと思いました。

翌日から行く予定だった、外国での大事な商談をキャンセルせざる得ませんでした。商談と共に、妻との旅行も考えていたのです。彼はとてもくやしがりました。

しかし、その国の、彼の宿泊する予定だったホテルで無差別テロがおこり、多くの人が死にました。彼も周りの人も、彼の日頃の行いのおかげで、神様が命が救ってくれたのだと思いました。

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さて、いきなりこんなお話から始めましたが、いかがだったでしょうか?

上記の男性のようないささか劇的な展開というのはなかなか人生には起こらないかもしれませんが、我々は日々、さまざまなドラマを体験しています。

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