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夏向けの怖い?小話

snsに書いたやつをまとめたやつ3本。

①誰が掴んだのか
②なにしてるの?
③第ニ次世界大戦中のはなし


①誰が掴んだのか

 小学生の頃、長い外廊下のついたマンションに住んでいました。廊下は片側が玄関扉、反対側が1mちょっとくらいまでは壁でその上は落下防止柵がついてた壁でした。柵からは外が見えるようになっていましたが、人が落ちないように隙間は狭くなっていました。

 古いマンションなので廊下はちょっとせまく、自転車が所々置いてありました。私は2箇所あるエレベーターホールの真ん中らへんに住んでいました。どちらのエレベーターまでも大人の足で1分くらいかかったと思います。かなり巨大で横に長いマンションでした。

 ある朝、いつも通りランドセルを背負って家を出ました。1階で同じマンションに住む友人と待ち合わせをしていました。
 エレベーターホールに向かう途中で、急にランドセルを掴まれて後にグイッとひっぱられました。まるで、廊下が通れないからどけよというように。

 引っ張られた勢いのまま後ろを振り向くと、長い廊下の先まで、誰もいませんでした。廊下にはどこにも、隠れられるところはありませんでした。

 私は急いで1階で待っている友人の元へ走って行きました。怖くて友人には話せませんでした。

 昔のマンションは屋上に誰でも入れたので、約20階建てのそのマンションは飛び降りが割とあったようです。
 私のランドセルを引っ張ったのも、もしかしたら、その中の1人だったかもしれません。


②なにしてるの?

 昔、山を切り開いて作った土地にある職場で働いてました。築2年だったので新しい建物でした。

 私が作業台で俯いて作業していると、サッと黒い影が横に立ちました。私を少し見下ろすくらいの背丈だったので上司だと思い
「どうしたんですか?」
と話しかけながら顔を上げると、誰もいませんでした。勤務中なのでもちろん昼間のことです。

 その後黒い影はたびたび現れました。影は必ず作業中に覗き込んできました。向かい側から見てる時もあれば、近くから見てるような時もありました。

 特に怖いと思わなかったので、私は放っておきました。「なにか不思議なことしてるなぁー」と見にきてたのですかね?

③第ニ次世界大戦中のはなし

〜怪談的な怖い話ではありません〜
〜人が死にます〜

 親戚2人(母と娘)の話です。

 東北に住んでいた2人はその土地柄、戦争の影響が比較的少なく、食べるものに困ることもほとんどなかったとのことでした。割と裕福な家だったこともあるかもしれません。女性と子供はわりと普段通り生活していた様です。

 ある日2人は、馬車を呼んで町まで買い物に行きました。村にはない必要なものをいろいろ買い込み、再び馬車で戻る途中、珍しく昼間に空襲警報が鳴りました。2人はあわてて止まった馬車から飛び出すと、すぐ脇の土手の斜面に身を伏せました。

 すぐに戦闘機の大きな音がして、ババババと機関銃の発砲音が響き渡りました。ちょうど川沿いの土手を歩いていた人たちを撃って、戦闘機は通り過ぎて行きました。

 しばらくして、戦闘機の音も空襲警報も鳴り止みました。母娘は起き上がって、馬車を見に行くと、御者と馬が撃たれて亡くなっていたそうです。
 御者は商売道具の馬を撃たれまいとして、金具を外そうとしているうちに撃たれたのではと話していました。

 これが私の知っている、身内からの唯一の戦争体験です。

おしまい

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