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Voyage #8 The伊吹島Cosmos (Album Version)

このあいだ、香川県の伊吹島という島に行ってきました。香川県の最西の島なのですが、この島は昔からイリコ産業が盛んで、ほぼそれだけで成り立っているような特殊な島です。地勢的にも、近くに島や本土が無く、ちょっとした絶海の孤島のようになっています。長崎県の軍艦島は石炭産業ありきで成立していた島でしたが、この伊吹島はイリコ漁ありきで成立する、いわば天然の軍艦島ではないかと思えます。

実はこのときは2度目の訪島でして、1度目は10月に、どうしても一目でいいから一度この島の土を踏みたく、しかし交通の都合上、旅程をどう計算しても30分しか滞在できないことがわかっていたのですが、それでもその日の突然の思いつきで行って、30分そこにいて、そのために往復12時間かけた、という、僕のパッとしない人生における華やかなきらめきに彩られた“伝説の伊吹島30分事件”というのがあったのですが、今回ようやく念願叶い、じっくりいたいだけいられました。鼻血が出そうなぐらい興奮しました。バイブスぶち上げです。

さて伊吹島に関しては、その独特で独自の在り方のために、実に多くの興味深いトピックがあちらこちらにあります。そしてそれぞれが関連し合ってお互いに成り立っていて、まるでひとつの小宇宙のようになっており、それがまた四国、そして本州、さらに日本という国のかたちへと連鎖して拡がり、また収斂してゆくように感じます。そのすべてをとてもここでは書き切れません。そして、もっと知りたいことや深めたいことが山ほどあり、それは今も僕の中で常時進行中です。また行ってきます。

そもそもなぜこの伊吹島という島に興味を持ったかというと、今年に開かれていた瀬戸内国際芸術祭の会場として紹介されていた島の中では、伊吹島が神戸から最も遠く、単に旅情をそそられたこと。そして、日本一のイリコの島であるという強烈なアイデンティティ。島は地図で見るとハート型をしていて可愛らしく、そして何より、いぶきじま、という不思議に清新で溌剌とした名前の響き。僕はピンときたのです。ここに行くんだと。揺さぶられたと言ってもいいかもしれません。「いいからいっぺんおいで」と呼ばれているような気がした、とまでは言いませんけれど。

そしてもちろん「当たり」でした。まあそらそうですよね。当たるに決まってます。色々なんでもほとんどそんなもんです。少なくとも僕にとってはそうです。それはカツ丼のかたちに凹んだ胃袋にカツ丼を送り込むようなものです。実に簡単な仕事でした。多くの謎とヒントがそこらじゅうに転がっていて、好奇心を深く暖かく刺激されました。また行ってきます。

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