新しい学校のリーダーズライブ考2021年 ロサンゼルス編

 11月7日、日本時間朝7時5分。米国ロスの現地時間14時5分。88rising主催によるHead In the Cloudsのオープニングアクターとして新しい学校のリーダーズのライブが始まった。まずは事前インタビュー。英語のやりとりはきちんと打ち合わせをしたのだろう。驚くほど流暢だ。それでも後半、チェックイットアウト→チェキラ→チキン→フライドチキン! と、はみ出しらしさが出ていた。期待に胸が高まる。

 そしてライブが始まる。

 四人が出てきて、人間太鼓。人間を打楽器に見立てる意外さ、技術力の高さ、銅鑼の響き、時折混ぜるコミカルさ、ケツ! ケツ! などの掛け声も絶好調で緊張は全く感じられない。この雰囲気を四人全員が楽しんでいることが画面からビシバシ感じられる。しかしそれにしてもオープニングアクトから観客が大勢集まっていて、しかも歓声が凄い。知らないやつを見に来ただけではなく、確実にすでにファンが集まっている。太鼓のパフォーマンスが盛り上がり、さて、一発目の曲は…

 最終人類! てっきり英語歌詞の歌で来るかと思いきや、最終人類! 常々思っている個人的オープニングベスト3のこの曲。やったれ、度肝抜いたれ! 人間十字架運び後にSUZUKAが「Head In the Clouds!」と叫んだあとのしたり顔でこのステージの成功裡を確信した。新しい学校のリーダーズの魅力が凝縮された圧巻のパフォーマンスに場内大歓声。最後半、歌い終えたSUZUKAを担いでぐるっと周ったステージ裏からのカメラに、ニヤッと笑って舌を出したSUZUKAの度胸に唖然とした。そのままステージに張り出した前方まで走って回転して最終人類ポーズで決めッ! 凄い、凄すぎる。興奮と大歓声。こりゃ、売れる。演舞後のSUZUKA、RIN、KANON、MIZYUの余裕の笑顔。四人とも楽しんでいる。緊張は微塵も感じられない。幾度となく踏んできたステージがあるからこそいつもどおりのパフォーマンスができるのだろう。場数を踏むというのは経験値を着実にアップさせている。

 いつもの休め、気を付け、礼、の挨拶から英語での簡単なMC。「メチャメチャキモチイー」をコールさせて「ナイスジャパニーズ」とSUZUKAが観客を誉めて乗せ、さて、2曲目はなんだ、Freaksあたりか…と考えていたが、なんとッ! 試験前夜ッ! まさかこの四字熟語のみの歌詞を海外で披露するとは! 考えてみると歌詞の内容は皆無だから意味がなくていいのかもしれない。縦ノリと赤いハチマキの小道具が効果的。しかもショートバージョンに編集してある。歌詞が日本語だから短くするのは正解だし、ラストの銃で撃ちぬくのをぼかしたのもいい表現だと思う。しかしまさかこれをアメリカから聴けるとは。

 続いて「先生…」! 短い英語のセリフを挟んで、恋ゲバだッ! 日本語歌詞三連発ゥ! 見たいものが続けざまにッ! ワンマンでもやらなかった曲をここアメリカロサンゼルスで演るなんて! そこにシビれる! あこがれるゥ! 見たいものを見るためには海外行かなきゃならんのか!? たまらんッ! たまらんぞAGッ!!! これもショートバージョンで、MIZYUがゾゾゾとせり出してくるシーンが見られなかったのは残念だが、この短い曲の畳みかけの構成はディモールトいいッ! 海外での、フェスの、初っ端のアクトを計算しつくしているように思える。ATARASHII GAKKO! おそろしい子!

 MC。ここまでの3曲、全てSUZUKAのソロヴォーカル。MCは日本語でほんわかとした雰囲気。二度目の休め気を付け礼からの自己紹介。ドゥーユーライクヒップホ~ップ? ということでビースティー・ボーイズならぬビースティー・ガールズで会場熱狂。十分受け入れられている。早着替えもお手の物だ。日本語替え歌だけではなくオリジナルの英語でも歌ってさすがだなと思う。会場は男性よりも女性支持の方が多いか?

 続いてのNAINAINAIのノリもいい。背後のスクリーンに日本語歌詞と英訳がのっているのが分かりやすい。四人が舞台を左右に動くと歓声が上がっていた。ヤバアアアイ! プチャハンザーと観客を乗せ、四人もかなり乗っているようだ。この盛り上がり様は想像以上だ。もう既にかなり知られていて人気がある。

 で、ここで配信が途切れて黒味になり、その後冒頭から再生され、数分後、十数人に増殖した新しい学校のリーダーズの姿があった。新曲だが何を歌っているのか分からないまますぐに終わってしまった。踊れ、歌え、もう一回と歌っていたこの新曲の前のブラックアウトしていた時にはfreaksを演っていたらしい。ちゃんと五人でのfreaksを見たかったが配信あるあるだから仕方がない。無料でのアクシデントなら文句のいいようもない。けれど、やっぱりこの空白の数分間、見たいなあ。

 そして、最後はパイナップル・クリプトナイト。エイリアンが出てきて四人がやられ、パイナップルを取り出して反撃。そこからパフォーマンスが始まる。今思うと全体的に言えることだが、カメラワークがもう少し決められていたらと思う。ライブのカメラワークが難しいことは重々承知しているが…、いやそれは贅沢というものだ。観客にパイナップルを持っている人もいて盛り上がる。殺戮後のシングアララバイが切なく響く。最後は四人が倒れ、やおら立ち上がると笑顔で微笑みあいながら「またー!」と言って走り去っていった。初アメリカ。大成功ジャマイカ。ジャマイカは関係ないじゃないか。

 凄かった。良かった。ノリノリだった。素晴らしかった。ミスはしないと思っていたが、120%の表現ができたのではないか。日本の現状では客は声をあげられないから、演じる側としても今一つはっちゃけられない側面があると思う。しかしここアメリカではマスクもしなくてよく、声を張り上げてもいい。数年ぶりの歓声に新しい学校のリーダーズ自身が嬉しそうで楽しそうだった。新しい学校のリーダーズのアメイジングでエキサイティンなパフォーマンスは外国でも衝撃的だったに違いない。大歓声がその証左だ。

 今回の88↑で注目されて海外でも人気が出ると思うが、逆輸入で日本でも売れることは間違いないだろう。ライブが終わった日本時間の朝8時。興奮冷めやらぬままスパークリングワインを飲んで余韻に浸る晴天日曜。晴れ渡る空に新しい学校のリーダーズ四人の姿が羽ばたいた。ブラボー&コングラチュレーション。グラスを傾けつつ、素晴らしい一日が始まった。


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