渋谷区トイレ巡り その3

 交番の前の通りを渡って、山手線のガードをくぐり、渋谷寄りに少し進むと次のトイレが見える。山手線の土手沿いに目にも鮮やかな真っ赤なドレスをまとったスタイリッシュな建物、それが東三丁目公衆トイレである。
 三つの箱を並べたように直線的でエッジの効いたシャープな輪郭。鋭角的な仕切りが目かくしになっている入り口が三つ歩道に面している。主張の強いビビッドな赤だからか公衆トイレだと分かりやすい。手がけたのはデザイナーの田村奈穂。狭隘な三角形の土地を活かした造りになっているいけてる建物だ。
 写真を撮るのに、通りに沿って遠近感のあるようにするのもいいが、真横というか真正面からも撮ってみたい。トイレの屋根の高さが山手線の線路と大体同じくらいの高さなので、電車が通っているときに少し見上げて見るとトイレの屋根の上を電車が走っているように見えて面白い。ところが駐車禁止の場所に路上駐車している車が邪魔で思うように撮れない。車を避けながら四苦八苦して撮ってみたがどうにもうまく収まらない。仕方がないので次へ向かおうとしたら間抜けな顔をした不細工な男がこちらに向かって小走りに近づいて来てそそくさと車に乗り込むとバタンとドアを閉めてぴゅーっとどこかへ走って行った。待ってましたとばかり手当たり次第に写真を撮って満足した。次へ向かいながら今撮った写真を確かめていたら、赤い三連星という言葉がふと口をついて出た。
 

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