私の中の新しい学校のリーダーズ 1

 普段日記をつけているのだが、日常の他愛もないことは細細と書くのに、どこかに旅行に行ってニ三日満喫したりすると余りに書くことが多過ぎて結局何も書かないか、箇条書きで終わってしまうことが多い。
 新しい学校のリーダーズに関する初めての記述はこうだ。

 フェス会場へ。12時過ぎから。前座の新しい学校のリーダーズが良かった。最初のCAPSULEは超盛り上がったが、どの曲も同じように聞こえて全くピンと来なかった。パフュームはさすが。

 たったの三行。この日、2017年12月2日、CAPSULEの他にもtofubeats、岡崎体育、えいこちゃんお目当てのperfumeらが出ていたというのに、日記はこれのみである。勿論観終わった後はみんなで飲みながらあれこれ良かったと盛り上がったのだが、記述はこれのみである。それほど心に刺さったのである。

 いきさつを記そう。大学の友人、えいこちゃんから金沢でのライブに誘われた。中田ヤスタカの「OTONOKO」にCAPSULEとperfumeが出るから一緒に行ってくれないか、と。チケットが4枚取れて、つじさん(共通の大学の友人、金沢在住)と奥さんの三人は決まっていて、一枚残っているのでチケット代は出すからと言われたが、久しぶりに旧友と会いたいということもあり、CAPSULEもperfumeも全く趣味範囲外なのだが、こういう機会に見聞を広めるのもいいかもしれないということで二つ返事で了承した。元々えいこちゃんのperfume話に普段からそれほど興味を示していなかったので「ほんとに?」と驚かれたが、目的はフェスと言うより旧友のつじおに会うこと、新婚の奥さんがどんな人か気になること(以前から遊びに来いと言われていた)、金沢21世紀美術館と鈴木大拙館に行きたかったこと、そして白山比咩神社に詣でたかった(できれば周辺の酒蔵巡りも)ので話に乗ったのだが、それが新しい学校のリーダーズとの出会いになるなどとは当然この時は知る由もなかった。

 その時の日記には曲名は書いていないのだが(初めて見たのだから当然か)、調べてみると「毒花」、「宮尾」、「キミワイナ’17」、「SNS24時」らしい。前座で4曲もやったのか覚えていないが、兎に角大きなステージを縦横無尽に駆け回り、コミックバンドのようなふざけたご機嫌な曲に合わせてクルクル踊りまくる立体的なダンス、そして生演奏ではないが打ち込みではないしっかりした楽曲にビビビときた(古いね、どうも)。
 その日は四人でつじお家に泊まり、YouTubeで新しい学校のリーダーズを調べても2曲くらいしかヒットしない。今日聴いた中で忘れもしない宮尾がかすりもしない。そもそも何であんな子どもたちがが宮尾すすむの決めポーズを知っているのだ。悪い大人に騙されていやいややっているのか。その割にはノリノリでキレッキレだから心底楽しんで踊っているに違いない。そしてキミワイナのふざけたPVはなんなんだ。もっと見たい、もっと知りたいと四人全員でサーチするも有効な情報は得られず、そのうちに愛犬菊子ちゃんとベロベロベーしているうちに酔っぱらってご機嫌になって新しい学校のリーダーズのことなどどこかに行ってしまった。

 こうして新しい学校のリーダーズとのファーストコンタクトは終わった。金土日と金沢で音楽と観光を満喫し、冒頭のとおり満喫したが故の日記量の少なさでほとんど記録はない。それでも新しい学校のリーダーズに触れていたということは相当記憶に刻まれたのであろう。

 実はその前に新しい学校のリーダーズと接点があったことを知る。それが分かるのは三日後の日記だ。
 明け方目が覚めた。五時。まだ暗い。普段ならすぐ寝直す。でもこの日は気にかかった。新しい学校のリーダーズのことが。ネットで検索。まだセカンドシングルが出たばかりの新人。それがキミワイナ’17。ではファーストはというと毒花。ドラマ「女囚セブン」の主題歌と知りハッとする。普段、テレビドラマを観ることはまずないのだが、これはたまたまザッピングで安達祐実が囚人役で出ていたのを何となくそのまま点けていたら、剛力彩芽、トリンドル玲奈、平岩紙、橋本マナミとか知っている人がいっぱい出ているのでなんとはなしに見ていたドラマだった。山口紗弥加はこの時は知らない。で、主題歌が随分昭和っぽいな、梶芽衣子っぽいなと思った記憶がある。OTONOKOの時は宮尾とSNS24時の印象が強くて気がつかなかったが、主題歌の毒花を聴き直し、これは面白そうなやつらだなと改めて思った。

 2015年にデビューした彼女たちを知った2017年はこうして過ぎた。この年、これ以降彼女たちを観ることはなかった。アイドルといえば松田聖子や中森明菜だったころから含めて、初めてハマったグループになるのであるが、2018年以降、新しい学校のリーダーズのライブに日参することになるであろうことは当然この時はまだ知る由もなかった。


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