新しい学校のリーダーズライブ20210722

新しい学校のリーダーズのライブ。実に七か月ぶり。
「無名ですけどワンマン〜七年目のセーラー服、脱がさないで。〜」

 開演前の物販に赴き、見知った人がちらほらいるけれど、大半は知らない人。急激に人気が高まったことが如実に分かる。
 先行チケットが秒殺(本当は分殺)だったのがおおいにうなづける。これだけ知らないファンが増えたら、そりゃあ安穏としていられないですわな。肌身で感じるとはこういうことか。
 16時開場、17時開演。会場はVeats Shibuya。ビクターが二年前に作った新しい会場。ああ、思えば建て壊された昔の建物は、好きだったあの人と来たことのあるカフェだったなあ、などと甘いムードに一人酔い痴れたが、渋谷のあちこちが変わってしまっていてそんなことでいちいち感傷に浸っていたら単行本一冊くらいにはなるだろう。宇田川のペキーノもちぐはぐも、今はもう忘れてしまった飲み屋も懐かしい。
 おおっと、そんなこんなで、ジャパネットスズカが二回流れた後に、いよいよ開幕…

1.NAINAINAI
 四人がステージを左右に大きく移動してパフォーマンス。近くまで近づいてYABAAI!。あー羨ましい前列。
 NAINAINAIがオープニングは初。そりゃそうだ。配信されてからほとんどライブができていないのだから。四人がボーカルを回す曲は多くはない。数か月ぶりの、ロス帰りの彼女らが一番最初に歌ったのは新生の四人の曲だった。新生と言ってもメンバーはもちろん変わっていないが、世界デビューを果たしたATARASHII GAKKO!としてのスタートでもあろう。オープニングアクトとしての爆発力には欠けるが、意気込みが感じられる納得の一曲目だった。わちゃわちゃはみ出す四人の姿が何とも嬉しい。電車のPVの楽しさや躍動感がフラッシュバック。あの電車PVは秀逸だなあ。家帰って見よう。

2.最終人類
 そして二曲目には早くも最終人類。楽曲の中でも一二を争う激しいパフォーマンス。そして表現を変えてきた。ズチャズチャズは手のポーズのみで以前のメッセージ性はひそめている。だがしかし! ブリッジ、跳び箱、組体操は以前からさらに進化し、激熱のパフォーマンスの表現力はさらに向上し感心しきり。彼女らが振り付けも構成も全て考えているからこそできる全体的な進化のダイナミズムであろう。期待を裏切らないどころかはるかに上回るステージに、会場のボルテージも一気に上がった。

 MC。休め気を付け礼パンパンについてきていない人が多いということはそれだけ新規のファンが多いということだ。見渡せば年齢層は確実に下がっている。中には新規の高齢者もいるがどうやら子どもと一緒に来ている節もある。SUZUKAの問いかけに拍手でしか応えられないのがどうにも歯がゆいが仕方がない。
 「昨年末以来七か月ぶりのライブ。みなさま、よろしくお願いします!」からの!

3.透明ボーイ
 これもステージが広いからか、今までとは違う振り付け、舞となっていた。RIN&SUZUKA、MIZYU&KANONの組み合わせだけでなく四人が絡まる構成になっていた。全体的に以前より大人しくなった印象。だが間奏のRIN&SUZUKAのパフォーマンス! 息ぴったり。その後のRINの切ない表情と歌声が堪らない。さすが作詞を担当しただけはある。MIZYUとKANONがええじゃないかええじゃないかと踊る真ん中で、RINとSUZUKAが今まで以上に強く抱擁するシーンには思わずぐっときた。歌だけじゃない、ダンスだけじゃない。演劇性を包含したこのステージングが、新しい学校のリーダーズが新しい新しい学校のリーダーズたるレゾンデートルであると再認識した。もう何言ってるのか自分でもよく分からない。

4.オトナブルー
 でその次にコミカルなオトナブルーを持ってくるのがまた実に彼女たちらしい。硬軟緩急入り混ぜる構成はお手の物。お手の物ってまだ二十歳なのに自家薬籠中にしてるのが凄い。SUZUKAはボーカルを前よりもハイにしているのはわざとか。RINの凛々しい表情とのほほんとしたKANONの表情が対比的で面白い。ひょこひょこ舞いながらMIZYUがSUZUKAの肩に手をかけるシーンが個人的に超好き。間奏のメンバー紹介、SUZUKAは忘れてごまかしていた? 私を見つけて~で声が裏返ったから、単にSUZUKAの喉の調子が悪かっただけか?

5.恋文
 RINのひとんめぼ~れひとんめぼ~れでズキューンですよ。今こうして振り返ってみると、SUZUKA単独のボーカルが少ない。わざとか。油断しているとこの曲が頭の中でループする。

6.まさ毛カンナヴァーロ
 小道具&小芝居から入るのは初。MIZYUのサラサラまさ毛が素敵。まさ毛!のMIZYUの表情が好き。あの顔をプリントしてTシャツにしたい。間奏ではセリフも入ってよりまさ毛の世界観が深掘りされている。これにスリッパのツッコミが入ったらグループ魂の後を継げると思うがいかがであろうか。

7.楽園にてわたし地獄 
 前曲で袖にはけた後、ダンボールの電車(バスじゃないよね?)で出てきて、この工作も初披露。修学旅行の乗り物酔いと言わずに表現するところが憎らしい。これがまた今まで以上にいい出来。コミックバンドとして盤石の態勢を敷く布石であろう。恐るべき子供たちである。 間奏の四人の笑顔が輝いていやがるぜ。MIZYUとKANONの古いアイドル風ツインボーカルがしっくりくる。そして最も注目したいのはMIZYUがせり上がって後、KANONが布切れを持って上下に振りながらぐるぐる周るところだ。山奥深きひっそりとした崖にたゆたう濃い霧の流れを実に見事に表現している。KANONの無の表情は霧と掛けているのだろう。KANON、恐ろしい子! 恐ろしい子と言えば作詞の崎山くんも凄い。恵比寿での初の3ピースのバンド構成のステージは圧巻だった…。この二組の共作。

8.ワカラナイ
 まさかこれが来るとは。今までのライブではあまりやっていない曲(自分は四回しか見ていない)。いつもなら雨夜の接吻が妥当であろう。阿久悠先生NGでも出たのであろうか…。などと勘ぐることもなく見ていた。あれ、ボーカルMIZYU以外の三人の舞いが前と違う? あれれ? スリラーになっちゃった? なんで今ここでスリラー? 分からない、ワカラナイよお! 曲の最後もアーッハッハッハ…。もしかしてだけど、もしかしてだけど、処女喪失への不安なんて大したことない、その時が来たらすっとできるよ、まーいけるよ、マーイケルよ、マイケルのスリラーかっ⁉

9.恋ゲバ
 四人が中央に集まって、寸劇なしの恋ゲバ! うおお、照明が逆光で表情が良く見えない! MIZYUがゾゾゾと出てくる個人的クライマックスが逆光で幻想的に! ご機嫌なビートにキレッキレのダンス、味わい深い歌詞と合わさってしびれる。SUZUKAのボーカルもさることながら、三人の力強い舞いが素晴らしい。

 MC。いつもならここら辺でRINのMPC登場なのだろうが、珍しく水分補給タイム。特典会の締めのチャッチャッチャッをやったりして笑いの中で、ライブのサブタイトルのセーラー服脱がさないでの意味を話しはじめ、セーラー服を今後どうするかみたいな話になり、私たち、ここらで、セーラー服を、脱ぎ…脱ぎ…脱ぎませ~ん! ポーポーポー!ということで懸念していたセーラー服はこのまま続行という発表であった。でも、一生このままというわけには行かないだろう。アレンジして年齢相応の衣装に変えていくこともできるが、セーラー服を脱ぐ時が解散か、改名か、或いはaka的な方向にシフトしていくのか。ま、今考えても仕方がないか。ともあれ疑惑が吹っ飛んでいよいよ後半戦!

10.チラチラチラミー
 この曲に関してはきちんとやるつもりはなさそうだ(笑)。自由に楽しくその場を面白くノリを大切に、みたいな。そしてこれが好きなんだろうなあ。よくやってる曲のひとつ。なのにオールフリー。自由だ~!

11.フリークス 
 やるだろうなとは思っていたけれど、ラップのフィーチャリング部分をどうするかと思ったら、ウォーレンウォーレン。なにか手立てはないものか。今回はステージに映像があるからいいけれども、今後小さなライブハウスではどうなるのであろうか。でもチラミーも最初にタワレコで見たときはノープランのフリーダムだったのが、回を重ねるごとにアイデアが出て形になっていくのを見ていると、この曲も存外違う道をたどって今とは違った面白さに化ける可能性も大いにありそう。

12.試験前夜
 スネアを持ってくる? いやいや、ドラム三台置く。誰か来るのかと思ったらSUZUKAのエアドラムにKANONがマジドラムを叩いて、なにこれ超面白楽しいんですけど! MIZYUのおしり叩いて、RINの後頭部でカカカンってして、そのまま試験前夜の曲に入り、ボーカルSUZUKA、パーカッション(ドラム)KANON、MIZYU、RINという初めてのスタイルでM.C.A.Tばりにゴキゲンっだぜ~!(←古い) もちろん赤タスキを使ってのダンスもあり。しかしまさかこの四字熟語の単純な歌詞の曲がこれほどアグレッシブになるとは! 思いもつかなかったことを平然とやってのける。そこにしびれる、あこがれるぅ! 最後の締めも文句なしに決まった。今回のライブで一番衝撃的だった。こうする発想がマーベラス、ブンダバー、ハラショー、マグニフィカ!

13.迷えば尊し
 そしてこのイントロが聞こえてきて、超さみしい。これでラストか。定番のラストである寂しさよ。しかし、今回のライブ全体が、ここまでいろんな要素を含んで今までとななめ35度くらい違ったステージになるとは思わなかった。おっと、ジャンプ! ジャンプ! 新参はここでジャンプすることを知らぬだろう、わはは! そしてSUZUKAエアギターソロ。三人のでんぐり返しを見る機会がなかった。まぶしい光の下、輝き続ける四人、青春!と叫ぶSUZUKA。圧巻のステージ。一体感。青春ど真ん中。歌いきった後は早々の下校。余韻なし! これが新しい学校のリーダーズのライブだ。七か月ぶりのステージ。腹八分目の大満足。楽曲、構成。曲間の寸劇はなしにし(ちょっとは見たかった)、曲に演劇性をさらに盛り込むという独自の道を突き進んだ。RINのDJやエンドレス青春のラップも今回は封印し、一曲でも多くパフォーマンスすることに絞った渾身のライブに身打ち震えた。若き才能ある者の未来が輝かしく開けて見えた。と感慨にふけっている間もなくアンコールが始まる。

14.ケセラセラ 
 新しい学校のリーダーズの四人の魅力を自己紹介するような曲。アンコールにはもう一度盛り上がる曲やしっとりする曲、懐かしい曲などがあるが、平和な曲を持ってくるのも大いにありだ。なにより四人ともスタンドマイクで動かないから自分の目線で自分の好きな人を見られるのがいい。まあ結局四人とも見てしまうのだが。それぞれ表情が違うのも見どころ。汗だくのMIZYUとSUZUKA、涼しげなRINとKANON。バランスのいい四人組だと改めて思う。ほっこりする。なるほど、こういう締めもあるか。


 最後に秋のワンマンツアーの発表と、四人手を繋いでのマイクなしの生声の挨拶で下校。
 確実にファン層が広がっていた。あとはちょっとしたきっかけで大ブレイクするであろう。
 去年の二月まで、毎週のようにライブを見に行ってちょっとした交流を持っていられたのは僥倖であった。
 もうおいそれと声をかけることもできなくなる日も近いであろう。というかそうなってほしい。そうなれ!
「武道館のチケット、取れなかったよ!」と嘆く日すら来たとしても悔いはない。まあちょっとは悔いるだろう。多分結構悔しがるだろう。いや下唇を嚙み締めて血が出るくらい悔しがるはずだ。
 さらなる飛躍を切に願うが、取り敢えず秋のツアーは全部チケット取れますように…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?