日本にいるけど一時帰国ツアー2023 at Zepp Osaka Bayside 感想

 2023年4月30日。久しぶりに新しい学校のリーダーズのワンマンライブ「日本にいるけど一時帰国ツアー2023」の大阪の公演に行ってきた。いまだ思い出しても興奮して顔がにんまりとする。記憶が冷めやらぬうちに記しておくことにしよう。

 18時開場、19時スタート。B番で前から6列目。ほぼ真ん中。思ったよりもいい位置を取れたと内心ほくほくである。期待に胸が高まる。暗転してチャイムが鳴る。ライブが始まる。
 いつもの出囃子ではない。ステージのスクリーンにCG映像が流れる。BGMに合わせて、ステージに設けられた階段状の台に一人ずつ入場してポーズを決める。
 MIZYU
 RIN
 KANON
 そしてSUZUKA
 …沸き起こる歓声。

 一曲目はEP「一時帰国」から「青春を切り裂く波動」。アップテンポなビートが鳴り響きSUZUKA、MIZYU、RIN、KANON、四人のボーカルがクルクルと回っていく。激しいダンスも相まって初っ端からハイ! ハイ! と観客の掛け声が飛ぶ。四人でボーカルを掛け合って、最後はSUZUKAのボーカルが高く響いて伸びていく。曲が終わると大歓声に包まれた。
 その歓声と拍手が止まない中、次のイントロが流れる。「最終人類」だ。会場から悲鳴にも似た期待の歓声が上がる。独特のアクロバクティックで組体操的で激しいダンス。一瞬たりとも目が離せない。全編見どころ満載。一番は腕をあげての最終人類ポーズ、二番はズチャズダンスと踊りにも変化をつけてくる。間奏では観客に手拍子を促し会場が一体感に包まれる。「♪ゆらめくスカート」でSUZUKAは足を高く上げ観客を沸かす。四人での流れるようなズチャズダンスが決まり、一旦しっとりと歌い上げた後、「♪シンフォニーを!」からの全身を大きく動かし首を振り乱しながらの激熱の舞いに圧倒される。何度見ても、凄い。最後は四人手を取り合っての決めポーズ。新しい学校のリーダーズのキラーチューンで会場のボルテージが一気に最高潮となる。まさに圧巻の出だし。これぞ新しい学校のリーダーズだと再々々々認識する。今風で言えばブラボーだ(今でさえもう古い)。

 MC、いつもの挨拶、礼から、決めポーズは組体操風のすしざんまい風。MIZYUの笑顔がまぶしい。バッチリ決まってここでも大歓声。SUZUKAがあおって会場から声があがる。RINが既に涙目で、刈り上げのくせに何泣いてんねんと突っこまれる。「だって久しぶりにみんなの声が聞こえて~」と三年ぶりの国内での声出しOKのライブに、演者も観客も感慨一入である。
 四人は一旦はけて、ステージのスクリーンにCGが流れる。これからいろんな世界を巡っていくという趣向で、MCというかラジオ寸劇みたいな音声と映像を挟みながら進行していくようだ。
 
 辿り着いた最初の世界での曲は「The Edge」。88↑(88ライジング)からの英語詩の曲で、「一時帰国」には収録されていない。ゲーム画面のようなMVが楽しく、途中に入るナナナナや、1,2,3がキャッチーな曲だ。
 続けて簡単なMCを挟んで「CANDY」。SUZUKAが冒頭の振りをみんなでパクパクしよう~、と客を乗せる。マニー・マークと一緒に作った楽曲だが、新しい曲というより既になじみの曲といった趣がある。四人がこの曲を好きなのだろう、ライブでも良くかかる曲で、「♪無意識に私食べちゃったー」というRINのボーカルも高く透き通ってコミカルで可愛い。シュガハーイで観客は上に伸びでシュガローで低く沈むのも面白い。
 間髪入れずに「BABY」。聞いたことがない。何かのカバー曲かと思ってあとで調べるとアマゾンオリジナルの胎教番組の曲だった。スクリーンには四人の赤ちゃんの頃の写真が映し出されている。アップテンポで昔聞いたことがある風の曲調が胎教にはいいのかしら。三人が袖にはけた後をRINがハイハイで追いかけていなくなった。赤ちゃんのRINということか。

 次いで映像と音声が流れ、今度はふにゃふにゃした違う空間に行くという設定らしい。降り立った(?)ところで始まったのは「Fantasitico」。これも彼女らのお気に入り。何を言っているか分からない無国籍な歌詞(デタラメ言葉)とダンスというよりは寸劇のような踊りが実に新しい学校のリーダーズらしい。彼女ら以外にこれは許されないような気がする。特にヘイ、ショーンのくだりの意味が全く分からない。でもそれでいい。最後も脱出マジックみたいになっていて、なにこの世界観。理解不能が面白い。最後はいつも通りナイスですねーとSUZUKA。
 続いて「皆さん体動かしたいですかー?」ときて「WOO!GO!」が流れる。ナイキとのコラボ曲で、ロゴであるスウィッシュマークをポーズに取り入れているのがしたたかだ。観客と一体になれる分かりやすいダンスで楽しさを共有したかと思えば、途中から時計と運動を融合させたとても真似できない流石と思わせる独特のムーブが実に魅力的。特筆すべきはRINのコミカルな立ち位置だろう。CDで発売されたふたつのアルバム収録曲までは壮絶チリチリダンスの技術のRIN、というイメージが強かったが、この曲でも「なんつってー!」「はりきってー!」と歌い上げる(決して叫ぶではない)役目を負っていて、コミカル部分を結構RINが担っていることに改めて気付かされた。

 そしてまた寸劇。会場が真っ暗になり、みんないるー? どこー? と言いながら暗闇の中で懐中電灯の光を顔の下から当てるというドリフ的なコントを取り入れつつ寸劇を進めていき、いつの間にかSUZUKAがいなくなったと思ったら曲が始まる…
 「HANAKO」。トイレの花子さんの曲。結構前に配信されていたのだが、なんとなく聞く機会がないまま、このライブで初めて聞いた。MIZYU、RIN、KANONの三人で歌って踊る。SUZUKAは最後の方にだけ出てくるだけだ。今までにないパターン。MIZYUの歌声が不気味な世界観によく合っている。
 続いて、すきー? キラーイ! からの「Suki Lie」。キャッチーなフレーズに独特のダンス。サビは低音が響くダークな曲調なのに突然ジャズ歌謡が入って来るのがこれまた新しい学校のリーダーズらしい。「スキスキライライ」のサビはファンでもしやすい易しいダンスなのに、どんどん低音が響いて不安な曲調でフィニッシュ。
 続いての「Giri Giri」も「一時帰国」からの楽曲。これまた低音が響く。メインボーカルのSUZUKAがいいのは勿論だがここでもRINの掛け合いの歌声がいい。
 そのままイントロが流れてレーザー光線が輝くと「Pineapple Kryptonite」が始まった。会場から「パイナポー!」の声も掛かる。コミカルなハイヤハイヤから打って変わってKANONとMIZYUが切なげに歌い上げる劇場型の一曲。四人が次々と倒されていくところで会場から歓声が上がる。切って切って切り倒されて、本来であればSUZUKAのソロで四人全員倒れて曲が終わるのだが、曲が終わらぬうちに徐々にアップテンポになってフェードアウトしていく。この流れは…、そう、アウトロを残したまま曲は続き、舞台は暗転し、次第に音が大きくなってきたところでスポットライトがつく。最上段に学ランを着た四人が照らし出される。「Pineapple Kryptonite Remix」だ。上がる大歓声。重低音が響く。MIZYUバイクがカッコいい。壮絶で歌詞のない無言のダンスが続きSUZUKAが叫ぶ。「Pineapple Kryptonite」から派生したこのリミックス、こんなアレンジをできるのが凄い。ウルトラマンを彷彿とさせるファイティングポーズダンス、そして左右上下に全身を投げ打つような超絶の舞いで会場の興奮は最高潮となる。爆音に負けない爆声援に包まれてフィニッシュ。堪らない、堪らないぞ。
 学ランのままSUZUKAが一人最上段に立ち、拡声器を持ちながら、「試験前夜」が流れる。MIZYU、RIN、KANONたちの移動しながら赤い布を振ったり咥えたりするダンスはなくなったが、その分、間奏の時のダンスがキレッキレで凄い。会場のボルテージも上がりっぱなしだ。そして、サビで空から紙が降ってきた。なんとそれは手書きの解答用紙! ざっと100枚は降ってきただろうか。サプライズな演出に狂喜乱舞する観客たち。最後は撃ち抜くダンスではなく違うものに変えてきたが気付いたのは昔からのファンだけであろう。手書きの解答用紙はほとんどがステージに落ちてしまい、最前列にも少ししか落ちてこなかったが、一枚拾ったら後ろに回して皆に渡すというファンの優しさを目の当たりにする。おお、これぞ新しい学校のリーダーズのファンだ!
 そのまま、「踊る本能001」。H ZETT Mによる楽曲提供は実に久しぶり。もうMさんからの提供はないものだと思っていたので凄く嬉しい。畳みかけるようにビートが刻まれ、コールもしやすくご機嫌なナンバーとなっている。まだ踊りは固まっていないのだろう、これからが楽しみだ。踊りが常に進化、変化していくのを体感するのも新しい学校のリーダーズのライブならではのものだ。

 熱気が冷めやらぬ中、四人がいなくなってまたCGで違う世界に飛び立つ。するとそこは昭和歌謡の世界ということで、岩井ジョニ男の紹介で次のナンバー披露される。
 「オトナブルー」とコールされると会場から割れんばかりの歓声が上がる。SUZUKAのコミカルな登場からの本格的なボーカルで会場が揺れる。本当に歌がうまくなった。MIZYUを真ん中にした首振りダンスで会場が左右に揺れ、手を前に出す振りつけで会場が波のようにうねる。間奏で歓声が起き、二番のソロパートでSUZUKAがステージ最前の台に上がると物凄い歓声があがる。「はー!」と決めたらKANON、RIN、MIZYU、SUZUKA各人が短いをソロを踊って、それぞれに名前の声がかかって、最後は個人的に大好きなMIZYUのグルグルした滅茶苦茶なダンスで終わってSUZUKAが「センキュー」と締める。うおー! っと割れるような声で会場に轟く。
 ジョニ男の曲紹介で「乙女の美学」が続く。これもH ZETT Mによる楽曲で「一時帰国」には2曲を提供している。SUZUKAの一人ボーカルに三人がシュビドゥワパッパヤーとコーラスを入れる昭和のコーラスグループ方式。さながら、内山田スズカとクールスリーといったところか。全然うまくないたとえだけれど。二番のSUZUKAが一瞬みまじさんになってワイングラスを回すのもまたよろし。
 さらにジョニ男の紹介で阿久悠コーナー。久しぶりの「雨夜の接吻」は花ではなく和傘をMIZYUが持って登場。MIZYUの透き通ったボーカルと三人の踊りがよく合っている。ようやくこの曲が合う年齢なってきたように思う。曲はショートバージョンで間奏ではKANONのしとやかな舞いが披露されそのまま曲が終わるのだが、以前とは違ってMIZYUとKANONが向き合って、傘に隠れて接吻をするという演出に変わっていた。わーお、絶対にこの方がいい。さすがだ。
 続けて、先ほどジョニ男からの紹介済みだが、まさかの「ストリッパーに栄光を」。この曲は一体いつ以来だろうか。2019年のワンマン以来か? 四人が横に並び、二人ずつしっかりと歌い上げていく。最後は「え・い・こ・う・を」とはっきりと発音して。
 スクリーンがスナックの室内に戻る。ジョニ男が続いて「マラソン大会で…」と話し始めると会場がどよめいた。この曲を演るのも実に久しぶりで昔からのファン待望の曲でもある。「マラソン大会での出来事を、必要以上に壮大に…」と「恋の遮断機」の前口上と同じなのはご愛嬌だが、もう演ることもないと思っていただけに嬉しさもひとしおである。それでは聞いていただきましょう、「キミワイナ’17」。KANONの髪をMIZYUがほどくところが懐かしすぎる。緩急のついた楽曲で二番からリズムもノリノリになる。間奏ではKANONが優美にくるくると回る。MIZYUらはステージを所狭しと走り回り、最後は友に裏切られた無念さをSUZUKAが顔で表現してフィニッシュ。いつ以来か調べてみたら、2020年の最初のライブ、1月6日の渋谷cycloneで、1曲目に披露して以来だった。実に、三年半ぶり。
 
 ここでジョニ男の昭和歌謡風コーナーは終わりMCに入る。SUZUKAが初めてライブに来た人、手を挙げてというと、7割くらい手が上がる。そりゃそうか、昔からのファンが100人、200人だとして今日のキャパが1500だから初めての人が多くて当たり前。じゃなければすぐにソールドアウトなどしない。
 SUZUKAがKANONに今までの感想を聞くと、何も考えてなかった~と実にKANONらしいのほほんとした返事。あはは、平常心だなあ。さて、残り三曲。青春日本代表のワシらについて来ているということはあんたたちも青春日本代表やで~と盛り上げたところで。
 「NAINAINAI」。MCで観客の気持ちは一旦落ち着いていたが、SUZUKAの「プチャハンザップ!」の声でみんなのハートに一瞬で火が付いた。やっぱりこういう曲だなあ。一瞬で乗れるキャッチーなフレーズに、千本以上の手が波のように上下に揺れる。後ろを振り返って見てみると壮観だ。RINのチリチリダンス、MIZYUのブレイクダンスに盛り上がる。そしてSUZUKAが会場にダイブ。ダイブした周辺からは悲鳴にも似た嬌声が上がる。その興奮が会場全体に伝わって高まったボルテージが冷めやらぬまま次の曲のイントロが始まる。
 「透明ボーイ」。あちこちで、「うおおおおー!」「待ってました!」と声が上がる。RINとSUZUKAの青春哀愁劇場の幕が開け、それを支えるMIZYUとKANONのどこか物憂い踊りもまた素晴らしい。みんなでバイバイと手を振って、校舎は夕陽に染まる。そして間奏ではSUZUKAとRINの正確無比なダンスが炸裂して会場を沸かし、技の凄さに嘆息が漏れる。RINの素直で伸びやかなボーカルが切なく、スクリーンには花火が打ちあがり、ラストに向かってますます盛り上がっていく。素晴らしい。もう二度と戻れない青春の日々が胸にしみる激しくもセンチメンタルな名曲。RINの歌詞が心に響く。
 そして、ラストは「じゃないんだよ」。本人役でも出演した映画「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」の主題歌で、攻撃的なブチ上がる楽曲。「一時帰国」を代表する曲でガンガンに盛り上がる。「当たり前じゃないんだよ」という歌詞も心に突き刺さる。見事に演じ終えて、サンキュー! と締めた後、なぜか袖から自転車に乗って鶴の羽でバタバタしながら帰っていくという謎演出でステージからいなくなった。スクリーンに流れていた映像はいろいろな世界を巡り切り、最後にTHE ENDの文字が映し出されてライブは終了した。
 舞台は暗転し、アンコールの掛け声と拍手が続く。

 舞台に照明がつき、アンコールで走って出てきた四人。走ってはけて、走ってはけて、二往復くらいする。元気だ。ブラジルまで行ってたけど、アンコールの声が聞こえて一時帰国してきました~、とのこと。SUZUKAがいろいろと話し、それでは最後の曲! といったところでKANONから待って待って、絶対言わなきゃいけないことがあるでしょ、え何だっけ、ああせやせやとここで告知。来る十月、東京体育館で初のアリーナライブが決定! 場内大拍手。みんな絶対来てくれよなーとSUZUKA。
 そして最後は勿論、「迷えば尊し」。最近は曲頭の掛け声が「ハイ! ハイ!」と2回だったのが「ハイ! ハイ! ハイ! ハイ!」と4回に戻って、これには古参も思わずにっこり。やっぱりこうでなくっちゃ。手をパーで挙げて、グーでつかんで引き寄せて、サビでは1500人の手が挙がり、ジャンプからヘドバン、ギャーとSUZUKAが叫んでエアギターソロから四人が小指を絡めて抱き合って、離れた四人はステージに大きく広がって観客と目を合わせ、最後のジャンプからフィニッシュポーズが決まって大団円。超絶大満足な観客たちの声援。彼女たちのこれまでとこれからを思うと感慨深い。最後の最後、休め気をつけ礼からのお礼の挨拶で決めようとするも全く合わずグダグダなのが実に四人らしい。これからどれだけ世界にはみ出していくのか楽しみでならない。ああ、いいライブだった。

01.青春を切り裂く波動
02.最終人類
03.The Edge
04.CANDY
05.BABY
06.Fantasitico
07.WOO!GO!
08.HANAKO
09.Suki Lie
10.Giri Giri
11.Pineapple Kryptonite
12.Pineapple Kryptonite Remix
13.試験前夜
14.踊る本能001
15.オトナブルー
16.乙女の美学
17.雨夜の接吻
18.ストリッパーに栄光を
19.キミワイナ’17
20.NAINAINAI
21.透明ボーイ
22.じゃないんだよ
ENC.迷えば尊し


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