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クラウス・ノミ

歌う姿だけを見るならば、このコスチュームの人物は、一体何者なのかと少し心がザワつくだろう。

悪魔的に過激で、衝動を音にぶつけるような、怖い雰囲気の表現者だろうか。

今となっては、たとえ彼がそうだったとしても、好きになってしまっただろう。

クラウス・ノミを愛する世界中の人が、彼を思う時、寂しさ、悲しみ、痛み、孤独や愛おしさを抱くのだ。

笑うと、実にあどけない少年のようだし、メイクをしていない彼の姿は、生きた天使のようだ。
実際に彼は、真っ直ぐに生きていた。

まだ今ほど同性愛者が話題になったり、理解を広める動きがなかった、残酷で残酷で、そのまた残酷な、苦しかった時代。

デビッド・ボウイに見出されて、パートナーのアリアスと共に後ろで歌う姿は、とても健気で美しかった。

ロックにオペラの声楽をミックスした彼の表現は、わたしの画家としての活動をとても支えてくれる。

心が折れそうな時、クラウス・ノミがいつもそばにいてくれる。

「エイズで亡くなった著名人の1番最初の人」という紹介の言葉には、胸が苦しくなる。

彼が笑って話す姿を、もっと見たかった。
幸せな姿を、ずっと見ていたかった。

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