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フランス私的色彩帳

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2020年4月の記事一覧

気になって仕方がない。

物心ついた頃から 色の組み合わせと、ものの配置というのが気になって気になってしようがなくて、 大人になってそれはどうなったかというと、 思わず二度見したり振り返ったり、あいかわらずそれはそのまま。 今もそれが気になって気になってしようがない。 目を凝らしたり。瞼を閉じて観察したり。 ハッ とする瞬間がある。 街の一角、寄せ集めで出来上がった空間に浮き出る完璧に思える色の組み合わせ。 カフェ。からみあった足の隙間から見える床のタイルの模様。 向かいに座っている女性の

テーブルまでいそいで

住んでいるアパートの建物を出て左にまっすぐ歩く。一つ目を通りすぎて、二つ目の通りを左に曲がる、と、つき当るボナパルト通り、通称ナポレオン通り。通りに出てすぐの場所に店を構える長身のカフェの店主に挨拶、その隣の洋服屋のスキンヘッドの店主にも挨拶、少し歩いて雑貨屋の前で店主に挨拶、そのまま進んでお洒落さんたちが集まる眼鏡屋も、薬屋も、ゲイが集まるバーも何百種類ものチーズをショーウィンドウに誇らしげに並べているチーズ屋も甘いヴァニラの香りで客を呼ぶクレープ屋も通り越して、角のカフェ