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井の中を心地よく沈む

「世界をどれだけ歩いても体の中へ沈んでいく」


死ぬ間際に走馬燈を見る。
そんな話をどこかで聞いたが、走馬燈なんて記憶の数珠を意識はたぐらなかった。

ただ、水族館を思わせる青が、ふつ、と過った。
ほいほいと物理的な距離をたくさん乗り越えてまでは行く気はなくて。
でも見たい気持ちはあって。

水族館でプラスチックを通して生き物を見る時、自分は何を考えていたんだろう。
大層なことは考えていない、と思う。
哲学、生物、技術、生命、倫理、どの範囲にもきっと含まれない。

水の中にいる彼らをぼーっと見ていた気もするし、そうではなかった気もする。
わずかな思考の間にも、視界が狭まってきた。
呂律が回らず、待つだけの身に親しい人達が声を掛けてくれているようだ。

でも、その人たちの言葉をりかいする思考はもうなくなってきた。
そうまとう、ではなくてさいごに耳の感覚がなくなるらしい、どこかできいた。

ああ、なんとなくだれがいて、あおをおもいだしたからいい。


そうして、ふつりとブラックアウトしたその人の思考に一瞬、魚が泳いでいるのに建物が下にあって、かといって海底とは思えないほどに陽射しがなびく青が思考を満たした。
青のことは、その人を囲む人々は誰も知らない。
その人だけのもの。

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水彩が使われていなくても、色の置かれた場所によって、澄んだ水の中を覗いているような作品を拝見しまして。

青は青でも、白い無機物と魚群が不思議に、とてもしっくりくる絵に興味がある方はぜひ。


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