アダプト伝説神話シール第一弾 開発裏話
自作シールに出会うきっかけ
自分は30年以上リップマンホログラムを収集しています。2023年、メルカリで良いホログラムがないか検索している時、突如モザさんの滅壱文（黒ホロ）を発見しました。リップマンホログラムが自作できるという事実に驚き、とても高かったのですが転売価格で購入することに。
他にも似たものがないか探す中で、神師ヴェール（3Dカラー）、AGAWAさんのデビルデ陰摩羅鬼を立て続けに知り、自分でも作ってみたいと思い自作シールの世界に飛び込みました。
名刺シールを作ってシルコレ懇親会へ
10月に印刷会社からサンプルなどを取り寄せ、見よう見まねでスーパーゼウス風の自作シール名刺を作ってみたのが11月18日。ツイッターアカウントを作ったのが12月6日。そして年末の12月9日、ロンシールさんが主催するシールコレクターの大忘年会に参加。（ロンシールさんありがとうございました）総勢90人以上の自作シール界隈の方がおり、大いなる刺激を受けました。モザさんとも直接お話ができて（覚えていないとは思いますが…笑）良かったです。
アダプト伝説神話シリーズ第一弾
自作シールを作るうえでどうしてもやりたかったのが「ランダム封入（ブラインド形式）」での販売です。
いろいろな作家さんのシールを購入したのですがランダム形式のシールは手に入れてから開封するまで続くドキドキがとても良く、まさに幼い頃にビックリマンを買っていた時の気持ちを思い出すことができました。
ただ、自分でランダム封入を実現するためにはある程度のキャラ数が必要になります。そこで、当初は5キャラ10種のシール作成を目指して開発を開始しました。
5キャラも同時にアイデアをどうやって出すか…と悩む中で自分は10年前にエジプト風のLINEスタンプが当たったことで
一時はヒエログリフを音読できるほどエジプトに詳しくなっていたことを思い出し、エジプト神のシリーズで作り始めることにしました。昔とった杵柄というやつです。
No1：アダプト・ラー
1つ目のキャラは太陽神ラーです。ノーマルが銀プリズム、レアが豪華なゴールドで考えました。No1キャラの名前部分は赤色にすると同時に
スーパーゼウスの「パ」の◯の中に★がある表現を絶対に入れたかったので、うちのアダプト・ラーでは太陽神らしく☀のマークが入っています。
また、シルコレのみなさんに魅力的だと思ってもらうにはどうしてもかわいい女の子キャラでないといけないという思いが強く、イラストは知人の協力を経て共作しました。今後、別のイラストレーターさんともコラボできたらと思っています。
ビックリマンリスペクトとしては通常の銀プリズムでも良かったのですが、自分は後発の作家になるので、何か特徴がないと見向きもされないかもしれないと考え、「丁寧な箔押しとかで差別化できないかな…」と書いたのが12月8日。結局、エフェクト部分を見たことないくらい複雑にするという自己満足っぽい解決方法に至りました。
ゴールドレアの方は手に取っていただくと箔押しに近いインパクトがあると思いますが白の後ろにカラーがバラバラの深度で入り組んだデータを作ったら異常に複雑になってしまい（白版の上にカラーを印刷するという業者印刷の順番は変更できない）、このときばかりは「30年間、Photoshopを使っていて良かった…」と思いました。
また、白インクの濃度と印刷機の出力にはだいぶクセがあることがわかり、みなさんにお届けできるバージョンは上の写真よりも少し本来の意図に近い完成形になっています。
ゴールドレアの白インクはブラックライトに反応しますので、
手に入れた方はぜひお試しください。
エジプト風のヒエログリフ文様ではなく、若干「和」っぽい文様にしているのは裏書きのストーリーとも関係して来ますのでお楽しみに。
No2：闇夢アテンドラ
こちらは太陽の敵キャラです。
印刷所さんに「崩壊ネロっぽくしたい」という要求を伝えつつサンプル印刷をしました。上がってきたクオリティは本当に素晴らしかったのですが、やはり本家ネロとは違いカラープリズムではなく銀プリに青インクを載せたものになるため、ルーペで見ると網点が目立つ感じに。
ちょうど手元にしるぴよさんの「グランデュメス」というインク乗せではない本物の青の扇プリズムがあったので見比べた（12/25動画あり）のですが、やはり右の僕の作品はブツブツと青点が目立ってしまっています。
このまま無地の青背景で印刷しても他の作家さんより良いものはできない…と思い、こちらもアダプトラーと同じく複雑な背景エフェクトで制作することに。
以後、ほとんどの作品でエフェクトを工夫することになります。
No3：冥裁デオシリス
ノーマルとレアで初めてイラストを若干変更。唯我独尊な性格のキャラなので口元は非常に迷った（12/8）のですが、力を抑えている時は包帯、力を開放している時は口が見えるというロマンのある形式に。
このキャラクターは自分の印刷技術の未熟さもあり、4枚ものサンプル印刷で悩みに悩み、結局写真の下2つは不採用になりました。最終入稿まで60日もかかる大変な難産でしたが、納得の行くクオリティになったと思います。
No4：姫神アイシス
ストーリー設定的に主人公っぽいムーブのできるポジティブ女子として考案しましたが「主人公っぽい」という概念が他のキャラよりぼやけているため難しく、結果的に個性の少ないキャラクターになってしまったかもしれません。
このキャラクターのレア版はAGAWAさんのTOKIMEKI（下）のような、ふだんは白黒反転して見えているけれど、ふとした時に強い光が当たると正しい姿が現れるというシールを作りたく、初めてのホログラムゴールド箔を利用しました。
それだけでは多くの作家さんが過去にやってきたのと同じものになってしまうので、チャレンジとして反転ホロ箔の中に赤の名前表示とピンクのエフェクトを加えています。
チラッと本来の顔が見えた時の面白さは写真では伝わりにくいため、お手に取る機会があればぜひご覧下さい。
ちなみに、この箔押しは10%弱の高いエラー率でシールに箔のつなぎ目が見えてしまい、生産数が若干少なくなっています。面積の多い箔押しでは必ずつなぎ目が発生するとのことで、先輩作家さんたちもこのエラーと戦ってきたんだなぁ…と勉強になりました。
No5：聖ニャステト
アダプト伝説は純粋なエジプト神話ではないのもありエジプトそのものっぽいキャラクターが少なく、セクシーなキャラもいないので、エジプトセクシーを目指して制作しました。
果たしてエジプトセクシーにできたのか…。
アダプト伝説神話シールは裏書きのストーリーや設定をかなり細かく作っているのですが、このキャラクターは気まぐれで嘘つきです。第二弾にかけて一番大きく動きのあるキャラクターになりますので無事第二弾が出せた際にはその行く末にご注目ください。
No6：財金ラー・アメン
「丁寧な箔押し（12/8）」ですごいシールができないかと決意して作り始めたキャラクター。初めてお金のかかる金箔を使うので気合を入れて
・今まで見たシールの中で最も豪華で、お金の感じがする金運キャラ
・実際に超絶細かい黄金の装飾を作る
と意気込んで作りましたが、箔押しではほぼ同じ日にムガルさん)の孔雀弁天煌というすさまじいシールが既に出てしまっていました。
12/19に実際に入手して見比べた結果、今の僕のドット絵技術ではとてもこれ以上のものは作れない（箔押しデータは白黒2値のドット絵のような作り方をします）＆技術も時間も全然足りないと判断し、
・金運にひたすら全振りする
と同時に、
・デザインのひきだし46号で見た「チェンジング箔」を入れてみる
という方針転換をしました。
そもそも一度も箔押しをしたことがないのにいきなりチェンジングを作るのは無謀とも思われましたが、ルーペで既存の箔を丁寧に観察することで仕組みが理解できたため、一度仕組みがわかれば制作自体はそこまで難解ではありませんでした。それより、これをはじめに考えた職人さんがすごいと思います。ずっと箔の反射特性と格闘してきたんだろうな…と。
仕組みを読み解く際の大きなヒントはYY-FACTORYさんの「攻めてる箔シリーズ」というシールを購入して観察したことで得ました。このシールがなかったらラー・アメンは完成しないほどの非常に勉強になったお得シールでした。
実際のチェンジングは2mmという小さいサイズだったため、おまけ程度にしか見えていませんが、いつか大きなサイズで試したいと思います。
ちなみにこのシールの金箔はフチの断ち落としギリギリまで書かれているため、「シールをカットする時に金の粉がシール裏についてしまうことがある」という印刷会社さんからの注意事項を納得の上印刷しました。結果は、たしかに少しだけ金粉が付く場合がありそうで、ご了承いただければと思います。
達人の箔押しはフチギリギリまで作られていないことが多いのは、こんな理由もあったんだなぁと納得しました。次は自分もフチまでではない箔押しを試します。
まとめ
「アダプト神話伝説シール第一弾」は、最終的に6キャラクター18種になりました。BOOTHで2/10の21:00～からテスト販売をする予定です。
がんばって作りましたので、よろしければぜひお求め下さい！
追記：
続編である第二弾を作ることができました！
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