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ゼノブレイド3感想 キャラはいいが大義が消えたままの話だった

※シナリオのネタバレを盛大に含みます。

ゼノシリーズを一切プレイしてこなかった私がいきなり3を遊んだ感想になります。
過去作も考慮したら全然違うだろ!と思う人もいるかと思いますが、事前知識も全くないままプレイした感想です。

キャラクターは非常に魅力的

ゼノブレイドシリーズで唯一知っていたことは2のホムラとヒカリでキャラクターデザインのえっちさ素晴らしさ位で3でも同キャラデザインということで興味を持った。
3は全体的に露出も抑えられたりデザイン上は少し地味な形となっていたが、シナリオで書くキャラクターを見せていくのは非常に上手かった。

3で一番好きなキャラはタイオンだ。最初はポリコネ迎合な枠か?と懐疑的だしいけ好かないポジのインテリキャラだし好感度が低かったが、話を進めていけばミオやセナを一番に心配する仲間思いなだけだし、表には感情出さないように心がけてるだけのツンデレだし。ユーニとの凸凹コンビも最高だし。

コロニー1個使ったシナリオでのキャラの深掘りはよかった。過去の関係性も引き出しやすいし魅力的な部分を最大限引っ張れるし。
キャラゲーとしては満点でよかったかな。

メインシナリオはかなり悪い。命の軽さがどんどん際立つ

メインシナリオはキャラを掘り下げる上で必要だったせいだろうか。話が進むにつれてどんどんと主目的だったはずの「命」が軽いものと明らかになって冷めていくだけの話に。

最初は寿命が10年しかない世界で戦争に明け暮れるしかなく命が使い潰される悲惨な世界を打開したいという大義があった。
”命”というのはシナリオを通して大きく出てたメインテーマだったはずだ。
ところがどうだ、例え死んだとしても即座に肉体は再生することすら可能。記憶は一応消されてリセットされるものの、Fateでいう座のような領域には保存され続けていて何かのきっかけで一定程度思いだしたり、メビウスになれば全て引き出せる。
メビウスがその気になれば記憶の引継ぎも自由自在なんじゃないだろうか。


…命を失うことがなんて軽い世界なんだろう。闘争が無限に続くとか関係ない。戦争に明け暮れることが悲惨でも何でもなくコンテニュー可能な戦争ゲームじゃないか。
どこかで瞬間的に不幸でも永遠の輪廻の中で総合的に幸福ならいいじゃない。そう思えてしまうのだ。

ノアやユーニは前世で活動してた記憶を自身としてちゃんと認識できていた。間違いなく同一人物のアイデンティティを持っているし、エセルやカムナビ、ミヤビといった再生体を同一人物として扱っていった。
死んだ人物も再生された人物も作中では同一に扱われる。この世界の人物の死はあくまで記憶リセット付きのランダムリスポーンでしかない。

そんな中で語られ主人公たちが大切にしようと主張する「命」は安っぽすぎて呆れる限りだ。メビウス式輪廻システムから外れて本当に一代限りのシティの人たちの「真の命」のがよっぽど大切だ。
シティ出身のモニカやゴンドウ達が主張するなら理解できる。メビウスはアグヌスやケヴェスの人と同じように雑に扱うしそういったシティの存在を許さない行動を取るのだから。
メビウス達は彼らの命自体はリサイクル可能なのを知ってるからぞんざいに扱ってきたし、ちょっとずつ搾取するのも当然だった。

僕らだってほぼ無限に湧いてくるピクミンを多少ぞんざいに扱っても気にしないし、死んでもあーあ。程度にしか思わない。メビウスはピクミンを甚振って喜んでるので性格悪いとは思うが。

感想で整理しだしたら次々に文句が出てきてしまったが、「命」というテーマは段々と軽くなり真実が明らかになるにつれて価値の無さを明らかにさせてきた。
それでも俺たちウロボロスの支配を否定する!2つの世界の願いなんか関係ないとなってメビウスをぶっ飛ばす話だったら悪くない。
その時の記憶を持つウロボロス組はそこにしかないのだから、今を一番にして行動して搾取するメビウスを許さない決意があればいい。

ここまで指摘してきたような人々の命の軽さというものをウロボロスの主人公たちは受け入れてないように感じたのだ。
記憶を持った幼馴染のメビウスは出てくるし、つい最近死んだ仲間の再生体がすぐ出てくるし前世との連続的な部分まで明らかにされていった。最初の行動原理であった「命」について一旦見つめなおす問いかけがあってよかったが違和感を無視して突き進んでいった。
悩んだ上で改めて今この瞬間が大事。シティーの皆やメビウスに苦しませられる人が無い世界にするんだとメビウスを倒す決意を示してほしかった。

最終的にメビウスの存在自体が人々の「永遠の願い」を叶える為の存在だったと判明するが何かしら歪んで出力されてしまった、Fate S/Nでの聖杯やまどマギの願いのように。
これに対抗するためにもテーマはリサイクルし放題で軽い「命」でなく「今の自分たち」に転換してエゴ全開でメビウスを否定してよかったのではないか。
エゴで人々の願いの集合を否定し、融合した後に何が起こるかも分からない世界に対して希望を示し永遠の停滞の願いを打破する。
「命」でなく「希望」で誤った願いを打ち砕く、そんな存在でいて欲しかった。
極悪非道だったメビウス・ゼットがあくまで願いだったことが判明してラスボス戦はかなり拍子抜けしてた人は多いのではないか。特殊戦闘でギミックで戦うバトルだったし。
決意があれば人々の願いの集合を打ち砕く勇気ある戦いになっていたので印象としても大きく変わったと思う。
ゼットはこの世界では神のようなポジションだったのだから。

総合的にはいいゲームでした

普通、サブクエストは興味ないモブNPCのお使いになりがちですが、コロニーひとつの規模がやや小さいのでメインストーリーとの関連性を感じやすいサブクエストも多く、お使い感はだいぶ少なかったのが良かったですね。キャラへ愛着を保ちながら遊ぶ分にはかなり良いゲームでした。メインシナリオは終盤にもう一歩ほしかったですね。
逆に時間かかることだけがネックですがとてもオススメしやすいゲームでした。

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