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【セルフインタビュー】謎解きゲーム「PARALLEL BOX」の箱に詰まった思いとは?(第2回)

2019年7月にスタートした箱なぞ型リアル謎解きゲーム「PARALLEL BOX」シリーズ。新作『TRAVELERS』が来月3月21日に福岡でスタートします。開催を記念し、過去4作の想いと新作について「インタビュー」形式でお伝えします。

前回の記事はこちら
シリーズ名「PARALLEL BOX」に隠された真実

【第2回】亜労豆探偵事務所の憂鬱な事件簿について

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――引き続きよろしくお願いいたします。

ホリ:よろしくお願いいたします。前回はシリーズ名で終わってしまったので、今回はサクサク行こうと思います。

――そうですね。さて、前回は「PARALLEL BOX」という名前のタイトルについてで終わってしまったのですが、実際の作品作りについて「複数個持っていく予定はあった」と伺いました。その辺りを詳しく教えてください。

ホリ:箱なぞフェスタ3に出展される皆様において、我々よりも質のいい箱はたくさん出てくる。しかし、過去2回を見て複数個の箱を出している出展者はほぼいなかったので、これはチャンスと思い同時制作を始めました。最終的に読みは外れ、2作品持ってくる団体さんが多く、ただただ迷惑な感じになってしまいましたが(笑)
プロット(※3)は5月末時点で5つありました。最初は4作同時にスタートしました。そこからしっくりこないものを削っていこうと。

――4つも!普通はありえないですよね。

ホリ:ありえないですね。でも、その時の僕はどうかしていました。今もどうかしているといわれることは沢山あるのですが(笑)
箱を作っていくうえで、正直なところ手ごたえがなかったのです。本当にこれでいいのかどうか。合っているのかどうか、間違っているのかどうか。どうしても、正解を追い求めてしまうがあまり、保険を掛けたかったんだと思います。

――なるほど。で、徐々に減っていったと。

ホリ:そうですね。早い段階で2つが離脱しました。「作りたいのはこれじゃねぇ」と。

――大分早い決断でしたか?

ホリ:はい。1週間ぐらいで没になりました。ちなみに今後それらを復活させる予定はありません。

――もったいない!それはなぜですか?

ホリ:多分、今後作っていったとしても自分の中で消化されず疑問が残ったままになり、そのもやもやは実際にゲームを遊んでくれるプレイヤーにも伝わってしまうので、お金を頂いている以上、何が何でも避けたいなと。しっかりと物語は伝えたいと思っているので。

――なるほど、「最悪1箱」なんて言ってたのに、急にクリエイターぶりましたね(笑)

ホリ:結構痛いとこついてきますね。ちなみに、4作が全部だめだった時のために、PARALLEL BOXという名のプロットもあります。が、まだ出すべきタイミングではないので出しません。もっと箱が増えてから一気に畳みかけるような作品になります。

――期待していいですか?ちなみにいつ頃出す予定ですか?

ホリ:期待はしてもらう分には…!先にPARALLEL BOXというタイトルの作品を出して、個々にスポットライトを当てていく…なんてのも良かったのですが…。時期は未定です。ホール型やルーム型、持ち帰り謎も作りたいので時期を見ながらバランスよくですかね。

――分かりました。その時を待ちましょう。さて、話を戻しまして。2019年7月に発表したのが「亜労豆探偵事務所の憂鬱な事件簿」と「イーハトーブナイトメア」ですね。

ホリ:そうですね。

――この2作品について、ご説明いただいてもよろしいですか?

ホリ:かしこまりました。まずは、亜労豆探偵事務所の憂鬱な事件簿について説明させていただきます。こちらの作品ですが、ストーリーは以下のリンクを確認ください。

これは僕がまだ人を物語上で殺したがっているときの作品になりますね。

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――すごい物騒な単語が出てきましたが。

ホリ:そうですね、正直あんまり謎解きゲームの界隈上では扱ってはいけないような「自殺」をテーマにしようと。

――ええっ!それは言って大丈夫な単語ですか?

ホリ:大丈夫です!初期のころは自殺少女と…なんて言ってましたし。そもそも自殺が物語上タブーな理由とされている意味が分からないので。でなきゃ、ミステリーはすごく健全な物語になってしまいます。しかしながら、世の中の風潮にはあらがえず、最終的に、途中からいろんな事情が重なりまして、今はXX少女という表現にしております。

この文章を読んでいる方で、参加していない方は「あれ、ネタバレしてないですか?」とお思いになるでしょうが、全然大丈夫です。イントロダクションに出てくる内容なので、ご安心ください。

――なるほど。ちなみに「自殺」を肯定しているわけではないですよね。

ホリ:そんなことは一切ないです。これは断言しておきましょう。自殺なんてもってのほかです。この世に生まれた以上、人生を全うしてほしい。そのための作品です。

――となると、この物語は生きる希望を与えるために生まれた。

ホリ:そうです。この作品は、予想を超える絶望の数が訪れます。しかしながら、絶望がないと希望は生まれない。懐中電灯と一緒で、暗闇でないと光は意味を持たない。となると、死を描かなければ生は活きてこないというわけです。

――哲学ですね。

ホリ:ですね。無意味に「生を全う」しろ!なんて言えないですから。

――ちなみに、この作品を作ろうと思ったきっかけなどがあれば教えていただけると。

ホリ:この作品にはモデルがいます。誰とは言えませんが、2011.3.11の大震災が起きた後、実話をもとに制作された作品です。その話を伺い「生きる」って何だろうと思った結果、いつ来るか分からない絶望に対して、「あなたは今、生を全うできていますか?」という問いや、絶望に対して「どこにやったらいいか分からないもやもやな感情」を作品にしてみようと思ったのがきっかけです。

――「生を全うできていますか?」についてぜひ、もっと詳しく教えていただければと思うのですが…。

ホリ:あまり、大震災のこと触れないでほしい方もいるのでなぞるだけにしますが…正直、僕の人生、ほとんど怠惰で生きてきました。何となく習い事をやって、親にいい顔見せて、自分以外の人を喜ばせようと、自分を殺して生きてきました。
そして、あの出来事があってから、「人生何が起こるか分からないと、生を全うできているのか?」と考えるようになりました。5年くらい考えて、僕の答えは「好きなことで生きていく」でした。ただ、これは僕の答えであり【僕以外のこの文章を読んでいるあなた】の答えではないです。この文章を読んでいる方には、その人の答えがあります。ぜひ、それを考えていただきたいと思っています。あなたにとっての「生きる」とは何か。そして、このゲームはモデルケースの1つとして作られました。もし、今「生きるということ」に対して悩んでいる人がいたらぜひお声がけいただきたいです。

そして、どうせ放っておいても人は死にます。それならやりたいことしたほうがお得じゃん♪って思いますね。

――なかなか深いですね。

ホリ:ほかにもいろいろと想いはあるのですが、この結末やその他の想いはぜひゲームを体験してから見てほしいと思います。正直、この作品からやるのはお勧めしないです!ストーリーが重すぎるので、ある程度ミステリーに体制がある人なら午前中からでも大丈夫ですが、全然ミステリーに耐性がない方は午後からの参加をお勧めします(笑)

――製作者がそれを言って大丈夫ですか?

ホリ:処女作とはいえそれぐらい、想いがこもった作品です。1回じゃ理解できないと思うので、参加後に渡される全問解説シートを読んでいただければ作品の全容がつかめてくると思います。ゲーム中は不条理な展開が続きますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

――分かりました。謎についてはいかがでしょう?

ホリ:うーん…これは何とも言えないですね。全てがネタバレになってしまうので。しかしながら、普通の謎解きゲームではあまりない、特殊な公演で、特殊な解答方法になるということはお伝えしておきます。

――こればかりは体験してみないとだめということですね。それでは、続いてイーハトーブナイトメアについて…

第3回
「イーハトーブナイトメア」について

(※3)プロット・・・物語の筋。しくみ。実際にストーリーになる前に書く筋書きのようなもの。


お知らせ

<PARALLEL BOX Series 全国ツアー2020>

2月11日(火・祝) 東京渋谷公演(Cage)
2月15日(土)   仙台公演(BOOM! in the BOX)
2月22日(土)   横浜公演(イーハトーブナイトメア・Cage)
3月  1日(日)   札幌公演(イーハトーブナイトメア・Cage)
3月21日(土)   福岡公演(Cage・TRAVELERS)

※各公演の詳細については各ページのリンクをご覧ください。

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