常に念じる

私は、長野県の北アルプスの麓で生まれ育ちました。
湧き水と澄んだ空気、山に囲まれた安曇野というところが私の故郷です。
西側に北アルプスの山並みをみることができるのですが、
中でも「常念岳」(標高2857メートル)というピラミット形の山が,
安曇野の象徴的な存在になっています。
毎年ゴールデンウィーク前位になると、
山肌と残雪のコントラストが袈裟を着たお坊さんに見える雪形の「常念坊」が出現します。
小さいころの私は、その部分ではなく、
別の部分がお坊さんの横顔のように見えるのが常念坊だと勘違いしておりました。(笑)
そうやっていつも見ていた常念岳でしたが、
いつもそこにいて見守ってくれているような存在でした。
そんな山国育ちの私が東京に出てきて一番驚いたことは、
「山が無い」でした!(笑)
眼前に3,000メートルに近い山々がいつもある風景が日常でしたから、
どこを見渡しても山の無い都会の風景は、
私にとって驚きというか、落ち着かなかったことを覚えています。
話は変わりますが、中国の後漢時代に光武帝の司馬を務めた「呉漢」という宮城谷昌光先生の描かれた歴史小説があります。
今から約2,000年前の話で、奴隷階級から皇帝を除けば最上位の身分まで立身出世していく様が描かれております。
その小説の一節に、「小さな石ころでも強烈に念じれば黄金に変わる」
というくだりがあるのですが、
この部分を読んだ時に私は雷にうたれたような気分になりました。
私は、自分の心のなかにある常念岳に向かって、
「俺は日本一のトレーナーになるんだ!」と常に念じ続けてきました。
私もいつか呉漢のように、強烈な想いが黄金に変わる日が来ることを念じつづけ、これからも選手達と向き合っていきたいと思います。

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