不思議なこと

たしか私が小学2年生の時のことになりますが、東京六大学リーグで法政大学が優勝しました。どういうご縁かはわかりませんが、その法政大学野球部が、私の地元の高校に練習しに来た時に、父親に連れられて観に行った時の話です。

当時小2だった私ですが、何度か高校野球は観たことはありました。
大学生の野球を観るのは初めてでしたが、度肝を抜かれました。
なにせスピードが違うんです。投げるボールの速さ、打つ打球の速さ。
高校生は金属バットでしたが、大学生は木製バットなのに、
明らかに打球のスピード・飛距離のレベルが全く違ったことを鮮明に覚えています。
「凄いなあ全然レベルが違う」と、あっけにとられてバックネット裏で観ていると、ユニフォームを着たおじさんが近づいてきました。
その人は、1980年代の法政大学の黄金期を作った名将「鴨田監督」でした。
鴨田監督は私に向かって、「坊主、ここにパンチを打ってみろ!」と右手を広げて構えてきました。私は訳が分からず、頭の中は???でした。
私は、男兄弟がいたので、殴り合いの喧嘩をしたことはありましたが、いきなり殴れって…。
この人は何を言っているんだろう?意図が分からず呆気にとられていました。
「いいから、ここにパンチ打ってみろ!」とまた鴨田監督が言ってきました。
もうどうなってもいいやと思い渾身の右ストレートを鴨田監督の手に向かって打ち込みました。「坊主しっかり打てて凄いな!大学生でも最初は手のひらに打てないのに、ちゃんと打ててたな!」えっ!?褒められた?
「いいか、野球のバッティングはボクシングのストレートと同じなんだ!」
その時は、へえそうなんだ、程度にしか聞いていませんでした。
ところがそれから15年後にボクシングでワンツーを打っているときに、この言葉が降りてきました。
「野球のバッティングはボクシングのストレートと同じ!」
あっ鴨田監督の言っていたのはこれだ!と感じました。
そして更に35年後に、キック経験のない私が格闘技の打撃と、野球の打撃が共通する部分があることを発見することに繋がっていきました。
あの時、もし鴨田監督から声をかけられていなかったら、いったいどうなっていたんだろう?そう考えると恐ろしくなりますが、単なる偶然だったのか、必然なのか?
そして、なぜあの瞬間にあの言葉が降りてきたのか?不思議でなりません。

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