試合中のインターバルをどう使うか②

前回に引き続き試合の時のインターバルでのお話をさせていただきたいと思います。

セコンドは、チーフセコンド1名、セコンド2名の3名体制が基本になります。
チーフセコンドの役割は、インターバル中にリングに入りアドバイスをするなどの中心的役割をします。
他の2名のセコンドは、リングに椅子を上げる、水、氷嚢、濡れタオル等を使ってエプロンサイドでチーフセコンドの補助を行います。
セコンドはチームなので、肝心なことは指揮命令系統がちゃんとしているかということです。
船の船頭が1名であるように、チーフセコンドが方向性を決めるべきです。
それぞれが言いたいことを言っていたら、選手は混乱してしまいます。
チーフセコンドの思い描いている方向性に沿い、同じ方向を進んでいきたいものです。

この1分間のインターバル中において、私がいつも心がけていることは、「体」→「技」→「心」です。
1分間で選手を休ませ回復させるという「体」
戦略、戦術の考えを整理して明確にさせる「技」
そして気持ちを鼓舞して送り出す「心」
そうやって、
できる限り選手の体を回復させ
頭の中の迷いを無くさせて
気持ちを上げることがセコンドの仕事だと思います。
頭の中の迷いがなければ気持ちの鼓舞だけで終わることもありますし、
選手の性格と試合の状況によって、微妙に匙加減を変えますが、
インターバル中のセコンドの対応は、概ね5パターンあると思います。

1. 選手に同意して任せる場合
➡選手が置かれている状況がわかっていてペースを掴んでいる時は、
冷静にコミュニケーションをとり送り出す

2. 引っ張ってあげないといけない場合
➡選手が弱気になっている時は、強い言葉で眼を覚まさせる

3. 背中を押してあげる場合
➡勝ち筋が見えた時は、アドバイスによって選手の背中を押す

4. 手綱を引き締める場合
➡選手が勘違いしている時、入れ込み過ぎの時は、気を引き締め冷静にさせる

5.解き放ってあげる場合
➡ノリにのっている所謂ゾーンに入っている時は、気持ちをのせてあげる

ざっとこのような感じになりますが、試合中に自分の選手が負ったダメージ、相手に負わせたダメージ、そのラウンドを取れていたか?流れはどっちに傾いているか?といった部分も見る必要がありますので、総合的な判断が必要になってきます。
とは言っても、これは経験によるものが大きく、文章ではなかなかお伝えすることが難しいですね。
その時、その空間の現場をみることによって吸収できる類のものではないかと思います。
難しい判断・言葉のチョイス・温度感を、幸運なことに師匠の積田進の側で13年間みさせて頂けたことが私の財産になっています。

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