2024/02/07 船橋11R クイーン賞

判官びいき、という言葉がある。

「はんがん」と発音したり、「ほうがん」と発音したり様々だが、
語源はよく知られている。
平家打倒に功績のあったにもかかわらず、
兄・源頼朝から疎まれ、最後には非業の死を遂げる源義経。
その義経が検非違使(けびいし)の尉(じょう)を名乗っており、
その尉の別称が判官。
つまり、悲劇のヒーロー・義経が語源である。

意味は、「弱者や薄幸の者に同情し、味方したり応援したりすること
まあ、そのままだ。

判官びいきは日本人の特性がよくあらわれている、という。

阪神タイガースは弱いから人気がある。(ここ最近は強いが)
冬季オリンピックに出てきた南国の選手を応援する。
選挙で泡沫候補に一票を入れたくなる。(違うか)
何かにつけて勝負事では判官びいきが付きものだ。

競馬だってそう。

ディープインパクト産駒より、シルポート産駒。
ノーザンファームより、日高の小さな牧場。
栗東より美浦。
ルメールより武士沢。

そんな競馬における判官びいきの比較軸に、
中央より地方
という軸もあるだろう。

僕が競馬にハマってから、はや四半世紀。
メイセイオペラの快挙で一瞬地方競馬に興味は持ったものの、
僕の競馬キャリアの前半17〜8年は中央競馬が土台だった。

それが7年前くらいからだろうか。
いつの間にか地方競馬を見るようになって、
今では中央の馬がよくわからなくなるほど、地方競馬にのめり込んでいる。

地方競馬にのめりこんだのは、
地方競馬の持つ儚さ、弱さ、アングラ感が、
日本人たる僕の中から「判官びいき」を呼び覚ましたからではないだろうか。
自分ではそんな風に分析している。

僕のこの判官=地方競馬びいきは、
交流重賞でいかんなく発揮される。

交流重賞での僕の予想。
まずは、
出走している地方馬に勝ち目がないか、
というところから予想に入る。

少しでも地方馬にチャンスがありそうなら、
地方馬を本命にしてしまう。
そして、中央馬に弱点はないか、負ける要素がないか、あら捜しをする。

交流重賞において、基本的な予想軸が
中央>地方
であることは重々わかっている。
伊達に四半世紀の競馬キャリアを積んでいない。
数々の地方の名馬たちが、
中央の厚い壁に跳ね返されるシーンを幾度となく見てきた。
(その度に悔し涙を流してきた)

それでも、だ。

日本人たる僕は、判官=地方競馬びいきで、
どうしても地方馬を「推し」てしまうのだ。

クイーン賞。

つい、この前やってたじゃないか。
そう、やっていた。
11月末に。

なんでこんな短いスパンでやるのか。
地方競馬の競走体系が大きく変わったからだ。
だから、去年の覇者、というか、つい2カ月前の覇者が
今回も出走している。

ライオットガールだ。

このときのライオットガールは2着テリオスベルに0.5秒差の完勝。
今回もテリオスベルが出ている。
ダート古馬牝馬で一線級のテリオスベルに同じ舞台で完勝実績があれば、
今回も負けないだろうと考えるのが普通の考え方だ。
だが、大きく違う要素がひとつある。
斤量だ。
前回54キロだったライオットガールは、今回+2キロの56キロ。
一方、テリオスベルは前回と同じ56.5キロ。
一般的に斤量は1キロにつき1馬身=0.2秒。
0.4秒差縮まると考えれば、
ライオットガールとテリオスベルはいい勝負になるだろう。

もう1頭、比較検討に加えたい。
JBCレディスクラシック3着のアーテルアストレア。
ライオットガールは同レースで6着。
その前のレディスプレリュードでも
0.1秒差ながらアーテルアストレアの3着。
斤量差が2キロありながら、だ。
これらの要素を単純に、きわめて単純に比較するならば、
アーテルアストレア>ライオットガール≒テリオスベル
ではないだろうか。

じゃあ、アーテルアストレアに死角はないか。
ある。
十分にある。
まずは、騎手。
今回の鞍上は菱田裕二騎手。
アーテルアストレアとのコンビは、5-1-1-4だ。
これだけ見ると、決して悪いコンビではない。
だが、ここ最近、アーテルアストレアが結果を残したときの騎手は、
レディスプレリュード : 武豊
JBCレディスクラシック : M・デムーロ
である。
失礼だが、菱田騎手で大丈夫だろうか。

そして斤量。
今回は56.5キロ。
今まで背負ったことがない負担重量である。
460キロ台の馬なので、斤量負けするとは思えないが、不安要素ではある。

そして、重たい船橋の馬場。
適性の有無がはっきり出る馬場だが、
アーテルアストレアにとって吉と出るか凶とでるかは判断しづらい。
このように、中央馬で実績最上位と思われる、
アーテルアストレアには不安要素がある。

ちなみにもう1頭の中央馬・ゴールデンハインドは最初から眼中にない。
芝馬が簡単に勝てるほど、今の船橋の馬場と馬のレベルは低くない。

さあ、そうなると地方馬の出番だ。
人気を集めそうなのは、前走神奈川記念できわどい勝負に持ち込んだ、
キャリックアリード。
地方馬と言いながら、中央3勝クラスを勝って地方入りしたばかり。
ほぼ中央馬だ。
こういう馬が判官びいきの対象となるかというと微妙ではある。
そして、斤量は54キロと、ちょっと見込まれた感はある。
とにかく大舞台に強い御神本騎手鞍上は頼もしいが、
3勝クラスを勝ったばかりの馬が、
歴戦を勝ち抜いてきたアーテルアストレアやライオットガール、
テリオスベルに先着できるかというと、なんとなく怪しい。

となると、キャリックアリード以外の地方馬に目を向けたい。
これはぜひ狙ってみたい。
そんな馬が1頭いる。

メイドイットマムだ。

何より魅力は斤量52キロ。
テリオスベルと4.5キロ差、ライオットガールと4キロ差だ。
これならなんとか太刀打ちできそうだ。
ロジータ記念勝ちがあることからしても、
左回りの長めの距離は、もってこいのはず。

例によってテリオスベルが乱ペースを演出しそうだが、
この馬には関係ない。
前目につけて、自分のペースで競馬を進められれば、
おのずと力と結果はついてくる。
中央有力馬たちが、テリオスベルを除いて後方待機型だから、
一発があるとすれば前目につけられるメイドイットマムだ。

馬券は3から2、8、9、10の人気サイドに流す感じで。

判官びいき、ここに極まり。


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