介護ジャンルの読書①


『介護ビジネスの罠』長岡美代 著 2015.9 講談社新書

著者は、介護・医療ジャーナリスト。介護保険が始まる前からの取材・執筆活動経験あり。

・・・

私はしばしば特定の書物を買おうとする目的意識なしに本屋をブラブラする。

「どんな本が売ってるかなー」と平積みされた本をふんふん、と眺めたり、

背表紙に目を凝らして本棚の間をじりじりと歩くのが好きだ。

そう。

こういうとき、たいてい「タイトル買い」をする。

タイトルをパッと見て、「おもしろそうだ」と思ったら、導入部などを少し読みさらに興味が惹かれるか確認し、OKそうなら、ササッと買ってしまうことにしている。

読書を勧める人の話の中に、「気になったら買ってしまおう。悩んでいる時間がもったいない。その間に読むべきだ。つまらなかったら無理して読まないでいい」というものがあって、それを聞いて以降は、思い切って買っちゃおう、という気持ちなのだ。

この本も、「タイトル買い」したうちのひとつである。


『介護ビジネスの罠』

「罠が仕掛けられてますよ〜」、と教えてくれるのだろう。

それは、どんな罠なのだろう。

帯には「悪徳業者/家族の弱みにつけ込む」と表記がある。

罠を仕掛けられているのは介護サービスを利用する利用者やその家族だ。


仮に、帯を見ずにタイトルだけで書物の内容を想像してみたならば。

『介護ビジネスの罠』。

「新たに介護ビジネスを始めようとする者に仕掛けられている罠」というのも想起できるよね。仕掛けている主体は国か、自治体か、怪しいコンサルか。

あるいは「キラキラとした志をもって就業した介護職員に対して仕掛けられた罠」というのも考えられる。

そんなふうにしてタイトルで想像して遊ぶ。

なぜかって、読んでもすぐに内容を忘れてしまうから。

タイトルに惹かれたのだから、タイトルと結びつけて自分の想像を強めておけば、

少しは本の内容や自分の考えたことが頭に残るかなぁと思ったのだ。

・・・はたして本の主旨は、介護サービス知識ゼロの新規利用者(=「罠があるなら回避したいな」と思ってこの本を手に取った読者)が、いざというとき悪徳介護事業者に言いくるめられないようにする、というものだ。

内容は、悪徳と考えられる具体事例や、本来理想とされるサービスなどを紹介してもらえる。

・不必要なサービスを盛り付ける「限度額ビジネス」。

・適するサービスを深堀りしあてがうことなく、同事業所内に呼び込む「囲い込み」。

詳しく知りたければ読んでみてくださいね。

・・・ふむ、そうか。

医療費、福祉費がかさむ理由は、

高齢化により介護費用が増える、

少子化により現役世代の税収が減る、

という点だけではないんだ。

必要ないところにお金が使われることによって、必要なところにお金がまわらない。

これって小さな介護事業者をつっつくより、もっとつっつくべきところがある気はするけれども。

その話はまぁいいか。

ともかくも、不正を暴くために、といって、

「第三者機関のチェックをもっと強めるべきだ!」

という話が挙がったりする。

そうしたチェック体制が不要とは言わないが、

チェックが強化されたとして、今以上に細かな資料の用意を課せられることになったとしたら現場の負担が増えることにはなるまいか。

もともと良好に運営していたはずの事業所までかのような負担を強いられるとしたら、改善策は改悪になってしまう。

・・・とまぁ、これ以上、過ぎたことを言うのはよそう。

浅知恵を膨らましてもたかがしれている。まったく。。

知らないで済ましていたことが多すぎて、あわててしまう。

焦っても仕方がない。ひとつひとつ確認していくべきなのだ。

『介護ビジネスの罠』

自分のはこの読書から、これらのことが思い浮かんだよ。

いち介護職として、サービスを利用される方の心からの笑顔を生み出す者でありたい、と思ったのであった。

そのために、学ばなければならないことはまだまだたくさんある。

きっと「タイトル買い」なんてしている場合じゃなくて、

問題や課題を明確にして、情報を仕入れていくべきなのだ。

だが、「タイトル買い」も悪くはない。

自分の「読みたい!」というシンプルな気持ちに応えるのは良いものだ。

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