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なくしたひざ掛け

祖母のために
孫娘が手編みしたひざ掛けが
今回の旅行土産

プレゼントとして贈ったものを
使わずに仕舞い込む癖のある母は
家族にとって贈りがいのない人

孫娘もそのことをよくわかっていて
遠い国の住民になってからも
何か邪魔にならないもの
すぐ使ってなくなってしまうものを
時折国際郵便に乗せてきた

車椅子生活になり
多分ひざ掛けなら
目に入るものだし、寒い時期は
重宝するだろう
娘のところに滞在した五日間の間に
彼女が時を見て編み針を動かしていた

最終日に仕上がったものは
裏地を仕立てる時間がなかったけれどと
恐縮がる娘から受け取り
帰国後すぐに母に届けた

思った以上の反応はなかった
それも年老いるということかと自分を納得させ
娘には喜んでいたと報告

そのひざ掛けが最近見つからない
どこにやったのか
落としたのか
さすがに探し出してもらわないと困る
そこまで老いてしまわれると大変困る

まして
孫娘をがっかりさせる祖母であっては困るのだ

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