見出し画像

創作懐石で日本の食の美味しさを再認識

古川おもてなしは岡村さんご夫婦がやっていた


信頼する起業家さんよりご縁をいただいて白金台にある創作懐石料理店・古川おもてなしに行ってきました。


料理人・岡村徹さんとお連れ合いの二人で、白金台にある古民家を改装してご夫婦営んでいる”古川おもてなし”さん。
料理人の岡村徹さん:プロフィール

「よく古川さんという方がやっていると思われるけど、料理人の僕は岡村です。」と名刺を差し出す岡村さん。
お店の古川という名称は、お店のあった地区が、昔、古川という地名だったことから付けたそう。
港区のHPを見て、白金台あたりには古川という川が流れていたと知った私です。

伝統的な懐石料理を想像していたら大きく裏切られた!


懐石料理というので、伝統的な懐石料理を想像していましたが、お料理をいただくにつれ、その予想は大きく裏切られ続けました。

恵比寿で夫と待合せ、タクシーで”おもてなし古川”に向かうこと5分ほど、タクシーの運転手さんの「この辺りだと思います」という言葉とともに降ろされたのは、道に面した古川さんの裏口でした。

表なし→おもてなし だそうで、裏口から入るようになっている古川さん。

夫と二人、キョロキョロしながら、やっと入口を見つけて古川さんに入りました。

ほのかに薫るお香の匂い。

カウンターから迎えてくれた料理人の岡村徹さん(30代半ば位の礼儀正しい気さくな男性です)。

聞けば今夜のお客は、私たち夫婦二人だけだそう。

運の良いことに、岡村さんとじっくりお話しながら、お料理を頂くことができました。

一つお料理を食べ終えるごとに、一番タイミングを見計らって岡村さんが次のお料理を出してくれます。

カウンター越しに、最初に出てきたのは、毛蟹の茶碗蒸し。使われているのは赤ちゃんの毛蟹です。

小さめの茶碗蒸しの中にたっぷりと入った赤ちゃん毛蟹の身。その上品な旨味に感嘆のため息が出ました。
二番目は、めかぶとサヨリの小鉢(上に乗っているのは赤ちゃん紫蘇)。万葉集を彷彿させるシックな色合いに見惚れました。


三番目は、細切りの万願寺とうがらしとじゃこを一緒に炒めた小鉢。味付けは少量のお酒のみということでした。白いご飯と一緒に丼いっぱい食べたい!と叫びたくなるほど美味しくて、岡村さんにそう伝えると、みなさん、そう仰いますとのことでした。


四番目は、アオヤギ(貝)とアスパラガスの白和え。お豆腐はほんの少しだけです。アスパラガスの瑞々しいこと!アオヤギの柔らかくて旨味がつまっていること!こんなに素材の味が生きている白和えは初めてでした。


五番目は、筍と蛤、菜の花のお吸い物。蛤の旨味がぎゅーっと詰まったお吸い物。筍も、菜の花も、歯ごたえが程よく残っていて、美味しかった〜
六番目は、お刺身。お魚の名前は失念!歳は取りたくないね(T . T)身がしまっていて、味が濃厚で美味しかった。盛り付けも芸術的な美しさ。


七番目は、魚とタラの芽の天ぷら。これもお魚の名前を失念してしまいましたが、まったく油ぽくなく、さくさくして美味しかった〜


ちなみに、岡村さんのご自宅は豊洲市場に自転車で行ける距離にあり、毎日市場に行って魚を仕入れているそうです。
仕入れるものがなくても、漁師さんとの関係を保つために、必ず毎日市場に行くそうです。


八番目は、これまたお刺身。すりおろした蕪がかかっています。少しだけお酢をきかせた蕪のすりおろし。お刺身とよく合って美味しかった〜


九番目は、鰤の煮付け。細く刻んだ大葉と茗荷がかかっています。大葉と茗荷の歯ごたえが最高でした。鰤も絶妙な味付けで美味しかった〜


十番目は、真蛸のお刺身。有田焼のモダンな器に盛られて出てきました。この真蛸が程よい弾力があり美味しかった〜


十一番目は、炭火で焼いた牛ステーキのズッキーニ添え。牛は、脂身が少なめの秋田の牛。炭火の上に、ほんの一瞬直置きしただけという牛ステーキ。口の中でとろけるような美味しさ。ここは天国か?と思いました。


十二番目は、土鍋で炊いた鯛めし。味付けは、少量のお酒、お出汁、醤油のみ。味醂は入れないそうです。
少しおこげがあって美味しかった〜夫は三杯お代わりしていました。添えられた漬物もアオサのお吸い物も美味しかった〜


最後のデザートは、フルーツ(愛媛県のせとかと埼玉県のあまりん苺)
それから、じっくり焼いた葛餅(目の前で焼いてくれます)


あまりん苺の甘いこと!このあまりん、あまりにも美味しいので、産地の埼玉県でほとんどが消費され、埼玉県以外では滅多に食べることができないそう。
焼いた葛餅のホッとする温かさと甘み!
やっぱり天国に居る!私!死んでない?と思いました。

一つ一つの料理に食材への敬意と愛情がつまっていた古川おもてなし


すべてのお料理が厳選された素材で一つ一つ丁寧に作られていて、まるで芸術品を頂いているような気持ちになりました。

岡村さんの素材へのこだわりが半端なく、肉、魚、野菜すべて国産というだけではなく、その中でも、岡村さんが本当に美味しいと思った旬の野菜を使っており、この野菜はどこどこ産の野菜でという説明を聞くのも実に興味深かったです。

古川さんのお料理を頂いて、日本の食べ物が、いかに美味しくて豊かか?再認識しました。

この美味しい素材を作り出す日本の土と水、次世代へ受け継いでいきたい。
そのために、何ができるか?分からないけど、何かできることをしていきたい、そんな風に切に思った私でした。

古川さんの料理人・岡村さんは、白金台でこの店を開く前は、銀座でお店を営んでいたそうです。
コロナ禍で銀座から人通りが途絶え、心機一転、白金台の古民家を改装して「古川おもてなし」を始めたそう。
※おもてなし→表なし という語呂合わせだけではなく、白金台の地元の方への配慮も込めて、おもてなしという名前を付けたそう。

上のような看板が路面側に出ているけど、お店の入口は路面側にはなく、路地裏側に。


岡村さんのお料理もさることながら、お客に対する気遣い、素材一つ一つへの敬意に心打たれました。

素材と対話して、素材の美味しさに尊敬と愛情を持って、お料理を作っている、今どき珍しい心の真っ直ぐな料理人だなあと感じ入りました。

夫と二人、古川さんを応援するためにも、日本の食を残すためにも、一年に一度は夜のコースを食べに行こうねと話したのでした。

三神さん、素晴らしい機会をありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?