9月の為替相場プレビュー

■ 8月は米ドルと円が綱引きのなかで、資源国通貨高が顕著となった

■ 9月は米ドル安、円高への警戒感がくすぶるが、豪ドルなど資源国通貨高が続くかどうか

 8月の米ドル円相場は概ね105-107円のレンジ相場となったが、値幅は昨年12月以来の低水準、下落基調を辿りながらも、始値と終値はともに105円90銭前後で膠着感の強い相場となった。米ドルと円が綱引きとなるなか、騰勢を強めたのはノルウェークローネ(4.6%)、豪ドル(3.5%)、メキシコペソ(3.3%)、カナダドル(2.6%)、英ポンド(2.2%)、ニュージーランドドル(1.8%)、スイスフラン(1.5%)が後に続く。原油や金、鉄鉱石など商品価格の上昇に表れている通り、資源国通貨が上位を占める。余談になるが、国連が毎年発表する「世界幸福度ランキング」は、幸福度を10段階で自己評価した世論調査を基に、「一人当たりGDP」、「平均寿命」、「社会支援の充実度」、「人生における選択の自由度」、など6つの要素を加味して算出される。2020年版(153カ国・地域を対象)も北欧諸国が上位を占め、ノルウェーは5位。オーストラリアは12位、メキシコは24位、カナダは11位と、資源国も例年通り高位置を維持し、通貨高に準じているかのように映る。なお、米国は18位、日本は年々順位を下げ62位に。

 9月の為替相場では引き続き米ドル安・円高への警戒感がくすぶるだろう。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策における新戦略では雇用重視の姿勢が示されており、4日発表の8月の米雇用統計や、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの経済・金利予測が公表される15、16日開催のFOMCは、米ドルを動機付けるきっかけとなろう。米ドル円は心理的節目とされる105円を明確に割り込めば、7月安値104円17銭を意識する展開になると予想している。しかし、8月の円相場は、ブラジルレアルやトルコリラなどを除けば、主要の先進国・新興国通貨を下回る弱さ。クロス円が概ね上昇基調をたどる円安地合いのなかで、今週は特に豪ドルに注目したい。本日の豪中銀(RBA)理事会では現行政策が据え置かれる公算が大きいが、明日発表の4-6月期の実質GDPは前期比6.0%減と2四半期連続のマイナス成長と景気後退入りする可能性が高い。一方、3日発表の7月の貿易黒字は縮小するが、4月の小売売上高は伸びが加速する見込み。実質GDP(前期比ベース)は4-6月期を底に、7-9月期以降がプラス成長に戻れば、豪ドル高の調整が進行しても、豪ドル円は73円前後で底堅さを試そう。

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