豪中銀は向こう3、4年の低金利を示唆

■ 豪中銀は9月理事会で政策金利据え置きも、資金供給策の拡充・延長を発表

■ 経済の落ち込みは予想ほど深刻ではないとの認識は維持も、向こう3、4年の低金利を示唆

 9月1日、豪中銀(RBA)は政策金利と3年国債利回り目標を過去最低の0.25%で据え置くことを決定。一方、3月中旬に導入し、9月末に終了予定だった金融機関向け資金供給ファシリティー(TFF)の規模を拡大、2021年6月末まで延長することも発表した。市場予想は政策据え置きだったため、サプライズとなった。TFFは、固定金利0.25%で3年間と好条件の資金調達を金融機関が可能となることで、中小企業向け融資を支援する狙い。これまでのところ、520億豪ドルが利用されているが、今回の追加で2000億豪ドルまで利用が可能となった。

 声明文では、今年上半期に起きた深刻な景気落ち込みからの回復度合いは様々だが、「中国の景気回復は比較的力強い」との認識が示された。こうしたなか、豪ビクトリア州で新型コロナウイルス感染が再拡大するものの、豪経済の「落ち込みは予想されていたほど深刻ではない」との見方が維持された。一方、RBAの中心シナリオでは、失業率は今年後半に10%前後に上昇し、今後2年で7%程度にしか改善せず、物価上昇率は今後2、3年で1-1.5%程度に抑制されるとしており、RBAが目標とする雇用や物価の先行きに関しては慎重だ。RBAは「必要ならば金融政策を調節する」と追加緩和の備えもみせつつ、今回、3年固定のTFFを2021年6月末まで延長したことで向こう3、4年の低金利を示唆したといえる。

 RBAの緩和政策の長期化示唆にもかかわらず、豪ドルは、対米ドルで9月1日に0.7413米ドル、対円では8月31日に78円45銭へ上昇と、それぞれ2018年8月、2019年5月以来の高値圏にある。RBAが指摘したように「足元の軟調な米ドルと資源価格上昇を背景に、過去2年で最も高い水準に上昇している」状況だ。ただ、2日発表の4-6月期の豪実質GDPは前期比7.0%減と市場予想(同6.0%減)をも下回り、RBAのやや楽観的な景気見通しが修正される可能性もあろう。こうしたなか、豪ドルは0.73米ドル台前半、77円台後半へ下落しており、上昇ペースは徐々に鈍化してくるとみている。

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