割と美人な同居人と休日を過ごしました。
珍しく部活も無い日曜日のお昼。
リビングには俺と咲月だけがいて、休日の朝から溜まっていたアニメやらを消化していた。
「○○君にも付き合わせちゃってごめんね?」
「ううん、見たことないから新鮮で面白かったよ」
ちょうど咲月の見たかったアニメを見終わり、キリのいいタイミング。
少し沈黙が続いた後、俺のお腹が鳴ってしまった。
「......ごめん。」
恥ずかしい気持ちから、少し目を伏せる。
「ううん、育ち盛りだもんね」
少しはにかむ咲月に目を奪われた。
休日の朝から一緒にアニメを見るくらいは仲良くなれたけど、やっぱりこの笑顔には慣れない。
恥ずかしい気持ちを抑え、咲月に提案する。
「そろそろお昼にしよっか、何食べたい?」
「なんでもいいけど、私も一緒に作りたいな。いつもやってもらっちゃってるし......」
俺は少しうつむく咲月のほっぺを両手でつまみ、少し横に伸ばした。
「にゃに......?」
「この前も言ったでしょ、次申し訳なさそうにしたらほっぺ摘むって。」
そう言いながら横に伸ばしたら潰してみたり、柔らかいほっぺで遊んでいると次第に咲月の顔が赤くなってきた。
「も、もうだめ......」
そう言って逃げられてしまった。
「ごめんごめん、じゃあ一緒に作ろっか」
「うん」
2人で並んでキッチンまで歩いて、冷蔵庫や周辺を覗く。
「トマトと枝豆は親戚の家から貰ったやつあるから少し食べよっか。」
「うん、分かった。」
冷蔵庫で見つけたカレーの残りを見て、咲月が面白そうな提案をしてきた。
「この前のカレーの残り使ってなんか作ってみない?」
「うーん......餃子の皮に包んで焼いてみるとか?」
「美味しそう!やってみようよ!」
「そうだね、トマトと枝豆は少し任せてもいい?」
「うん!」
2人で作るものを決め、エプロンをつける。
咲月のエプロン姿は新鮮で、クラスの男子達が見たら好きになってしまうんじゃないかと思うほど可愛い。
「エプロン......どうかな......?」
こんなにも可愛らしいのに自信なさげに聞く咲月の頭を少し撫でる。
「可愛いよ」
そう言っておでこに弱めのでこぴん。
「......」
何も言わず、ただただ顔が赤くなる咲月。
それをよそにカレーの鍋を火にかけ、餃子の皮を取る。
しばらく経ってから咲月が動き出した。
「咲月、1人で大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
2人でキッチンに立つことが今まで無かったからか、少し緊張してしまう。
皮を包むことに集中していると咲月が声をかけてきた。
「○○君はさ......誰にでもこうやって言ってるの......?」
「なんの話?」
「その......可愛いとか......」
トマトを切りながら言う咲月を横目に、包み終えた皮を焼き上げる。
「咲月にしか言ったこと無いけど」
「私なんかより井上さんとかの方が可愛くない......?」
「部活のみんなは井上さん可愛いって言ってたけど、俺は咲月のが可愛いと思うよ」
「ふ、ふーん......」
フライパンから少し目を離して咲月の方を見ると、トマトくらい顔を真っ赤にして少しにやけていた。
「ほら、出来たよ。」
「こ、こっちも......!」
2人でお皿に盛り付けテーブルへと運ぶ。
「じゃあ食べよっか」
「うん」
「いただきます」
自分達で余り物から考えてみたメニューなので美味しいか少し不安がある。
自然と手はトマトの方に伸びていて、咲月も枝豆を食べていた。
「美味しい!」
「ね、親戚の人にお礼言わなきゃ。」
そしてカレーを餃子の皮で包んだものを恐る恐る食べてみる。
「......うまっ」
「ほんと?」
「うん、咲月も食べてみな?」
「ほんとだ!美味しい!」
昼ごはんを終え洗い物も済ませた後、俺たちはまたリビングに座っていた。
「咲月って怖い映画とかダメ?」
「ちょっと怖いかも......」
「そっか......」
以前から楽しみにしていてやっとサブスクに追加された映画だったため、残念な態度が表に出てしまった。
「わ、私見る......!」
「無理しないでいいよ、今度1人で見るから」
「いや、見よ?」
咲月の圧に押されて、再生ボタンを押す。
「ひっ......」
「ほんとに大丈夫......?」
「だ、大丈夫だから......」
初めは人一人分程開けて座っていたソファも、シーンが過激になるにつれて少しずつ咲月が○○の方へと寄っていっていた。
俺が咲月に気づいた時には肩と肩が触れるくらいの距離で、心臓が少し跳ねる。
「さ、咲月......?」
「ちょっとこのままがいいかも......」
少し潤んだ瞳がとても可愛らしくて、自然と頭を撫でていた。
「大丈夫、大丈夫だからね」
「うん......」
映画が終わる頃には咲月との距離はゼロになっていて、細くて白い腕がこちらに伸びてきている。
「咲月、終わったけど......」
「うん......」
女の子が怖がってる時の経験なんてあるはずもなく、とにかくそっとしてあげようと思った。
「お、俺昼寝してくるね」
部屋へ向かおうとソファを立つと、咲月に引き止められる。
「行っちゃうの......?」
「......」
「私も一緒にねる......」
「じゃあ......行こっか?」
「うん......」
部屋へと続く道を咲月の手を引いて歩く。
前に手を繋いでた時とは打って変わって今回は心配が強い。
「ちょ......」
部屋に入るや否やポンっとベッドに押されて寝転ばされると咲月がすぐ隣に横たわって抱きついてきた。
「咲月?!」
驚いて手を上に上げるとその手を後ろに強制的に回させられた。
「さ、さつき......?」
明らかに心臓はおかしいくらいに鼓動してるし、このままだとキスしてしまうんじゃないかって距離に頭が回らない。
「○○君は......死んじゃったりしないよね......?」
先程のホラー映画の影響なのか、少し怖がっているよう。
「大丈夫だよ、ずっと咲月のそばに居るからね。」
背中をトントンと一定のリズムで叩いてやると、次第に咲月の寝息が聞こえてきた。
こんな美少女とハグしながら寝てる状況は変わらないわけで、ましてや好きな人ならさらに惚れてしまう。
「そっちは何も思ってないんだろうな......」
男として見られてない気がして少し気落ちする。
「もういいや、ふて寝しよ。」
咲月の部屋にあるモモの匂いのディフューザーをかすかに香りながら、俺も意識を手放した。
○○が意識を手放したあと、少しだけ咲月の抱きつく強さが強まった気がした......。
to be continued......
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