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いりあの塩スイカ石けんのお話

手作り石鹸についてネットでいろいろ調べている時に、
たまに「塩石けん」というワードが出てくることがあったのです。

それに付随する内容は・・・

「塩石けんを作るのはとても難しい」
「でも塩石けんの使い心地はクセになる」
「アトピー肌にもいいらしい」
「でも、失敗するのよ、作るのに苦労するのよ」

尊敬するソーパさんのお声をそのままこちらに載せるのもアレなので
ちょっとアレンジしておりますが(笑)
どのソーパーさんも、口を揃えて似たようなことをおっしゃっていて、
「ふぅん、塩石けんってそんな難しいんだ、いつか挑戦してみよ」
なんてうっすら思っていたのです。

そんなこんなのコロナ禍の中、おこもりの日々も続きまして、
2021年シーズンの石けん職人いりあは、
「時間がとれる分、今シーズンは月に1種類、新作石けんを作ろう」
と心に決めておりました。

そして春先、2~3月のこと。

石けん製作作業もたけなわ、この頃に仕込むならば4~5月の出来上がり。まだまだ季節は浅いけれど「そろそろ夏向けの石けんを仕込もうか」と思い・・・。

「そーだ、あの塩石けんとやらに挑戦してみようか」
「夏・・・沖縄・・・ふむ、宮古島の雪塩を使ってみようかな。
ミネラルたっぷりの石けんなんて、すごくよそさうだし♪」

なんて、実に軽い気持ちで適当にレシピを立てて試作してみた訳です。

結果は・・・・惨敗。

びっくりでした。
こんなに見事に失敗したの久しぶり。
いりあの塩石けんのファーストバッチは、石けんにすらならなかったのですよ(笑)

しばらく唖然として・・・。

いりあの石けん魂に火がつきました。

舐めてかかりすぎてた。何とかして攻略してやる。
真剣にレシピ立て直ししよう。
もう3月終わっちゃうのよ、時間がないのよ。

尊敬するソーパさんのレシピや体験談は参考にはするけど
いりあオリジナルのレシピにしたいし、塩石けんは泡立ちにくいらしいけど、絶対むくむく泡立つ塩石けんを作る! 

などと、つまらない意地をみせ(笑)

それからネットで情報収集しながら、レシピを試行錯誤すること数日。

塩石けんはいろいろな作り方があるけれど、
どうやら、塩はオプションとして後入れするほうが失敗が少ないらしい。(しかも雪塩のようなミネラル分たっぷりの塩は失敗を招きやすいらしい(笑))

投入する塩の量も特に決まりはなく、ソーパさんによって、さまざま。
総オイル量の10%から、総オイル量と同量(!)のもりもり塩だったり。

でも雪塩にはこだわりたいなぁ。塩は水の中に26%以上溶け込む事ができないけれど、トレース後に加えるならそのまま残るだけで問題ないのかも。15gぐらいで様子を見てみようか。

しかし・・・そんなレシピでセカンドバッチに挑戦するも、またも失敗して、へたりこみ・・・。

とにかく、通常の手順が通用しないらしい、というのはよくわかったですよ。

「塩石けんにチャレンジして100個はボツにした」

という、とあるソーパーさんのブログも見つけた時は、
妄想で、そのソーパさんの肩を抱いて一緒に泣きました(笑)

崩れて形にならないのは塩に吸湿効果があるからか。ミネラルももしかしたら悪さしているのかもしれないけれど、雪塩は絶対に使いたい、譲れない。
塩を加える時のトレースの温度とか、いろいろタイミングを合わせないとモロモロになるっぽいけれど、その規則性がまだつかみ切れていなくて。

そして、3回めで何とか形にはなりましたけれど・・・これはもはや奇跡。同じようにもう一度作れる自信は全くないです(笑)

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形は円柱型で、ワインレッドのリキッドカラーを加えてマーブルで仕上げてみました。香りは「夏・・・塩・・・スイカ?」という安直な発想で、石けん用フレグランスを使ってスイカの香りにしてみました(笑) 

でも、出来上がったそれを、ネット情報通りに割と早いタイミングで型出ししてカットしたものの、やはり崩れやすいし、気泡も入っているし。カット表面がキラキラしているように見えるのは塩かしら。

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香りも色もスイカというより、氷菓のみぞれみたい(笑) 次回は、もう少し赤を効かせて緑とのダブルマーブルにしてもいいかも。いや、まてよ…氷菓のみぞれのカップに型入れしてそのまま作るのも、もしかしてかなり面白いか…?(笑) などと、悪ふざけな妄想は膨らみますが、一番の問題は、塩スイカ石けんの洗い心地。

型出し1ヶ月後、チェックしてみると、ph8.0切ったので解禁。このあたりは普通の石けんたちの感覚で大丈夫そう。しっかり固く仕上がっていました。

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悩んだレシピは「塩石けんは泡立ちにくい」という情報もあったので、ココナッツオイルを全体量の35%とやや多めにして、保湿効果があるヘーゼルナッツオイルとマカダミアナッツオイルもしっかりブレンドしてみたけれど、どうかな。

どきどきしながら、塩スイカ石鹸で全身洗ってみたら。
むふふ~、面白い~。
ふわっふわな泡立ち。まるで雪塩みたい。これは初めての感覚。泡切れもよいですが、つっぱり感とかはなくてヘーゼルとマカダミアの保湿系ダブルナッツがいい仕事してくれているようです。

洗い上がりはさっぱりめ。お風呂上がりにちょっと肌がぴりぴりするような刺激を感じたけれど、これは塩のせいかな。ちょうど海水浴の後のような。しっかり洗い流せば問題なさそうです。湿気の多い浴室に1週間、塩石けんを放置してみましたが、溶け崩れも全然ありませんでした。

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夏向けのボディ用の石けんですね。賛否両論分かれそうだけど、いりあはこの塩スイカ石けんは、キライじゃないです。確かにあの使い心地は「クセになる」かも。また作ってみようかな、と思っていますよ。

2021年のいりあの石けんシーズンは、もうおしまいです。梅雨入りから夏の間は石けん作業はお休みして、次シーズンは、暑さが収まる9月半ばから仕込みに入って、11月から解禁予定。

さて、来シーズンはどんな新作を作ろうかな。

石けん作業お休み中もわくわくですよ。


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