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1週間で覚えるメディカルハーブ30種 その1

おはようございます。
アロマテラピーと手しごとのカノワです。
フィトオーセンティックプロダクトの仕事をしながら
アロマやハーブの記事を書いたり、
アロマクラフトの提案をしたりしています。

こちらのチャンネルでは、
「香りのある暮らしをもっと楽しく」をテーマに、
暮らしに取り入れやすいアロマ・ハーブクラフトや石けん作りなど、
様々なアイデアを提案しています。

【はじめに】

さて、本日からは
ハーバルセラピストで学ぶ、30種類のメディカルハーブを
ご紹介していきたいと思います。

日本メディカルハーブ協会では、
メディカルハーブコーディネイターでは15種類
ハーバルセラピストでは30種類、のハーブが対象となります。
ハーバルセラピストの30種類は、メディカルハーブコーディネイターの15種類を包括していますので、今回はハーバルセラピストの30種類、ということでご紹介していきますね。

それでは、「1週間で学ぶ、メディカルハーブ30種!」ということで
本日からハーブをご紹介していきます。

協会のテキストでは、ハーブ名の50音順で紹介されているのですが、
科名順のほうが、含有成分、作用などが類似するものもありますので
今回は科名ごとにご紹介していきたいと思います。

本日は1日目。


【イブニングプリムローズ/Oenothera biennis】 γ-リノレン酸(GLA)ハーブ。女性系やアレルギー疾患に。

最初にご紹介するのは、アカバナ科のハーブ、イブニングプリムローズになります。
イブニングプリムローズは、学名Oenothera biennis(オエノテラ・ビエンニス)です。属名のOenotheraはギリシア語のoinos(オイノス、ぶどう酒)と、therion(テーリオン、野獣)からきています。
根がぶどう酒に似た香りをもち、野獣が好んで食べることからきているそうです。
種子名の語源はラテンのbiennis(2年生の)からきているそうです。

和名は、メマツヨイグサと呼ばれます。漢字で書くと「雌待宵草」。ちょっとロマンティックなイメージですよね。別名「月見草」ともいわれます。アロマテラピーを学ばれた方は、キャリアオイルとしての月見草油として馴染みがあるかもしれません。

イブニングプリムローズの種子油にはn-6系多価不飽和脂肪酸のγ-リノレン酸(GLA)と呼ばれる珍しい成分が含まれています。珍しい成分、ということですので、これがこのハーブのポイント、ということですよね。
このγ-リノレン酸がどのような成分かといいますと、体内で代謝をうけて、月経痛や月経前症候群(PMS)、アトピーやリウマチなどのアレルギー症状を和らげ、また、弱くなった爪や髪の改善、肥満、子どもの多動などの改善に用いられています。

種子油を使用するため、イブニングプリムローズはオイルカプセルで用いられることが多いです。油性なので、食後に摂るとより吸収が高まり、効果的です。

また、ヨーロッパの病院では、アトピーの治療としてチンキとしての利用もされているそうです。さらに、末端の血流を促す作用があるので糖尿病性の神経障害などにも用いられます。

月経痛やPMSの症状を和らげるということで、安全性と相互作用はクラス指定が入りそうですが、こちらのイブニングプリムローズについては、安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

そうそう、安全性と相互作用についてですが、とても大切ですし、試験にも必ずといっていいほど出てくる内容ですのでいったん確認しておきますね。

安全性は、米国ハーブ製品協会(AHPA:American Herbal Products Association)が約500種類のメディカルハーブについて、評価されたもので、クラス1からクラス3の3つのクラスに分けられています。

クラス1が、適切に使用する場合、安全に摂取することができるハーブ
クラス2が記載された植物含有成分の使用に関する資格がある専門家(医療従事者)による特別な指示がない限り、以下の使用制限が適用されるハーブ
 2a:外用のみ
 2b:妊娠中に使用しない
 2c:授乳期間中に使用しない
 2d:注釈にあるような他の特定の使用制限がある
クラス3が資格のある専門家監督下でのみ使用することができるハーブ。特定のラベル表示が推奨される。

また相互作用についてですが、こちらは、薬物との相互作用、という観点から分類されたものになります。

クラス分類としては3つの分類となっています。
 クラスAが、臨床的に関連のある相互作用が予測されないハーブ。
 クラスBが、臨床的に関連する相互作用が起こり得ることが生物学的に妥当であるハーブ
 クラスCが、臨床的に関連する相互作用が起こることが知られているハーブとなります。

安全性が人に対する使用制限、相互作用が薬物に対して、と言うふうに
覚えておかれるといいと思います。

さて、本題に戻りますね。
イブニングプリムローズの安全性はクラス1で、適切に使用する場合安全に摂取できるハーブ。そして、相互作用はクラスAで、臨床的に関連のある相互作用が予測されないハーブ、ということになります。

おさらいになります。

イブニングプリムロース
アカバナ科の植物で、
学名 Oenothera biennis(オエノテラ・ビエンニス)
和名は、メマツヨイグサ。別名「月見草」
使用部位は、種子(種子油)となります。
主要な成分は、脂肪酸のリノール酸とγ-リノレン酸になります。
作用については、γ-リノレン酸の補給による生理活性物質の調整です。
適用症は月経痛、月経前症候群(PMS)、湿疹、リウマチなどのアレルギー疾患があげられます。

イブリングプリムローズのキーワードおさえておきます。
γ-リノレン酸(GLA)ハーブ。オイルカプセル。女性系やアレルギー疾患に。


次にご紹介するのは、アオイ科のハーブ3種類です。

アオイ科のハーブは、ウスベニアオイ、ハイビスカス、リンデンの3種類になります。

【ウスベニアオイ/Malva sylvestris】 粘液質でうるおいを与えてくれるコーティングハーブ。

では、まずウスベニアオイから見ていきましょう。

ウスベニアオイは、学名 Malva sylvestris(マルバ・シルベストリス)です。
和名は、そのままウスベニアオイとなりますが、別名「マローブルー」ともいわれます。ハーブティで、マローブルーという名前を、耳にされたことがある方も多いと思います。

ウスベニアオイは、マローブルーの名前の通り、濃い青紫色の美しい花を咲かせるハーブです。
お湯を注いでティーにするとあざやかな青紫の色素が溶け出し、レモン汁を加えると、液性が酸性になり一瞬でピンク色に変わるため、サプライズティーと呼ばれます。
最近では、バタフライピーのティーでも、このような色の変化を楽しめるティーとして紹介されていますね。

ウスベニアオイは、豊富な粘液質を含むことが特徴です。皮膚や粘膜を保護してくれるので、欧米では昔から、風邪による喉の腫れや痛み、咳、胃炎、膀胱炎、尿道炎に用いられてきました。
うるおいを与えてくれ、コーティングをしてくれるハーブですので、
皮膚のトラブルにも湿布やパックとして活用されています。
のどの不調に、ティーを使ってうがいするのも効果的です。
また、アントシアニンの青色の色素は眼精疲労にも利用されています。

ウスベニアオイの安全性、相互作用についてですが、
こちらは安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

おさらいになります。

ウスベニアオイ
アオイ科の植物で、
学名名は、Malva sylvestris
和名は、そのままウスベニアオイ。別名「マローブルー」
使用部位は、花部、お花の部分ですね。
主要な成分は、粘液質の多糖類、アントシアニジンのデルフィニジン、タンニン、となります。
作用については、皮膚や粘膜の保護や刺激緩和。
適用症は口腔、咽頭、胃腸、泌尿器の炎症となっています。

ウスベニアオイのキーワードおさえておきます。
ウスベニアオイは、うるおいを与えてくれるコーティングハーブ。
粘液質、アントシアニジンのデルフィニジン、粘膜保護、青紫が酸性変化でピンク色に。


【ハイビスカス/Hibiscus sabdariffa】 疲労回復ハーブ。クエン酸回路で代謝促進。


次に、ハイビスカスをご紹介します。

ハイビスカスは、学名 Hibiscus sabdariffa(ヒビスクス・サブダリファ)
別名は、ローゼルとなります。ハーブティで「ローゼル」で売ってあるところもありますので、ハイビスカスのことだな、と覚えておいていただけるとよいかと思います。

ハイビスカスは、爽やかな酸味と天然のワインレッドが素敵なハーブティとして世界中の女性に愛されているといわれています。
ハイビスカスの名前も古代エジプトの美の女神「ヒビス」を語源としている説もあるようですが、ギリシア語のhibiskos(マシュマロウ)が語源と言われています。
エネルギー代謝を促し、肉体疲労の回復を助けるのは、クエン酸などの
豊富な植物酸やミネラルを含むため、天然のスポーツドリンクとして活用されています。

また、ハイビスカスティーは利尿作用に優れるため、むくみの緩和にも役立ちます。さらに、赤色のアントシアニンの色素成分は眼精疲労にも効果的と言われています。
さきほどウスベニアオイについて、アントシアニンの青色の色素は眼精疲労にも利用されていますとご紹介していましたが、同じアオイ科のハイビスカスも赤色の色素成分で眼精疲労に活用できるということですね。

こういった疲労回復ハーブのハイビスカスですが、ビタミンCがそれほど含まれないので、ティーで楽しむ場合は、ローズヒップとのブレンドをおすすめされることが多いです。栄養成分的にも相乗効果が期待できますし、味の面でも風味が上がり、飲みやすくなります。

ハイビスカスの安全性、相互作用についてですが、
こちらは安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

おさらいになります。

ハイビスカス
アオイ科の植物で、
学名名Hibiscus sabdariffa
別名は、ローゼルです。
使用部位は、がく部となります。お花でなく、硬いがくの部分を使うと言う点はポイントですね。
主要な成分は、植物酸(クエン酸、りんご酸、ハイビスカス酸)アントシアニンのヒビスシン、粘液質(多糖類)ペクチン、ミネラル(鉄、カリウム)、となります。
作用については、代謝促進、消化機能亢進、ペクチンからの緩下、カリウムからの利尿。
適用症は肉体疲労、眼精疲労、便秘、循環不良となっています。

ハイビスカスのキーワードおさえておきます。
ハイビスカスは、疲労回復ハーブ。
クエン酸回路で代謝促進、ローズヒップとのブレンドでビタミンC補給。


【リンデン/Tillia europaea 】 フラボノイドハーブ。穏やかなリラックスハーブ。

アオイ科の3つ目、リンデンをご紹介します。

リンデンは、学名 Tillia europaea(ティリア・エウロパエア)
属名のTilliaはラテン語のtilia(シナノキ)から、種小名のeuropaeaはラテン語のeuropaeus(ヨーロッパの)が語源となっています。
和名は、セイヨウボダイジュとなります。

リンデンの木は高さが20~30mにもなる大きな木なんですね。
ヨーロッパでは「千の用途を持つ木」として古くから珍重され、あらゆる部位が利用されます。
クリーム色の花からは蜂蜜も取れます。リンデンの蜂蜜は、蜂蜜専門店などではよく見かけられます。香りがよく優しい甘さで使いやすい蜂蜜ですので、機会があれば、ぜひ試してみていただきたいです。

リンデン、私も大好きなハーブのひとつです。
リンデンのハーブティーは甘い香りを漂わせ、心身の緊張を和らげてくれます。この甘い香り、精油成分のファルネソールによるものです。
お休み前の一杯は、心身の緊張を緩めて、質の高い睡眠をもたらしてくれます。
鎮静作用と利尿作用から、高血圧に用いたり、風邪の引き始めに飲用すると発汗を促して治りを早めます。
いずれの場合も作用が穏やかなので、お年寄りから子どもまで安心して使えるハーブです。

ちなみにリンデンのティーとしては、リンデンフラワーとリンデンウッドがあります。
リンデンフラワーは、花と苞(くさかんむりに包むという文字のほう、ですね)と葉の部分、リンデンウッドは白木質を使います。
リンデンフラワーには、精神的な緊張を精神的な緊張を緩和するすぐれた鎮静効果があり、また発汗、利尿作用があるので、古くからストレスによる高血圧や不眠、風邪やインフルエンザへ用いられてきました。
外用では保湿効果が高く、刺激性もないことから、美容には欠かせないハーブの一つにあげられます。

リンデンの安全性、相互作用についてですが、
こちらは安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

おさらいになります。

リンデン
アオイ科の植物で、
学名名 Tillia europaea
和名は、セイヨウボダイジュです。
使用部位は、リンデンフラワーが花と苞と葉、リンデンウッドが白木質
主要な成分は、フラボノイド配糖体(ルテン、ヒペロシド、ティリロシド)、アラビノガラクタン(多糖類)、タンニン、カフェ酸、クロロゲン酸、精油(ファルネソール)となります。
たくさんありますが、覚えておきたいのは、フラボノイド配糖体(ルテン、ヒペロシド、ティリロシド)、アラビノガラクタン(多糖類)これは粘液質っぽい作用をもつものですね。あとは精油成分のファルネソールあたりかなと思います。

作用については、発汗、利尿、これはフラボノイドの薬効ですよね。また鎮静作用があります。
適用症は風邪、上気道カタル、高血圧、不眠となっています。

リンデンのキーワードおさえておきます。
リンデンは、フラボノイドハーブ。
フラボノイド配糖体(ルテン、ヒペロシド、ティリロシド)による発汗、利尿。
精油のファルネソールによるリラックス。お年寄りや子どもにも使える穏やかなハーブ。



本日最後のハーブをご紹介します。

【フラックスシード/Linum usitatissimum】 血液サラサラハーブ。n-3系油のハーブ

本日最後のハーブはアマ科のフラックスシードです。

フラックスシードは、学名 Linum usitatissimum(リヌム・ウシタチシムム)
和名は、アマとなります。

フラックスシードは文字通り、シードなので種子を使用します。
この種子、亜麻仁といわれます。フラックスシードを圧搾した亜麻仁オイルって今はスーパーにも売られていたり、ドレッシングにも亜麻仁オイル使用、なんて書いてあるものもあるので、亜麻仁のお名前はご存知の方も多いのではないでしょうか。

あと、アマといえば、、「もぐらとずぼん」という絵本、ご存知でしょうか。大きなポケットの付いた青いズボンがどうしてもほしいもぐらくん。「あま」が自分を育ててごらんと言って布の作り方を教えてくれます。そしてもぐらくんは あまをそだて みずにひたしてかわかして、、なんてくだりがあるのですね。
亜麻から取れる糸がリネンです。もぐらくん、すてきなズボンになりそうです。
絵本の中でも、かわいらしい青紫のお花が描かれていますので、機会があればぜひチェックしてみてくださいね。

さて、本題に戻ります。
フラックスシードは、茶色いゴマのような小さな粒で、種をそのまま食べたり、圧搾されたオイルを飲んだりする他に種そのものをパンやシリアルの素材として使われます。
フラックスシードのパンって、有機食材を扱うお店などでよく売られているので見かけたら一度試してみていただきたいです。

さて、このフラックスシードですが、成分としてはn-3系多価不飽和脂肪酸のα-リノレン酸が豊富に含まれます。
n-なんとか系、って本日最初に出てきましたね。
覚えていらっしゃいますか?
そうそう、最初にご紹介したイブニングプリムローズのn-6系、γ-リノレン酸でしたね。イブニングプリムローズはγ-リノレン酸で、月経痛やPMSの女性系と、湿疹、アトピー、リウマチなどのアレルギー疾患への適応がありましたたよね。
フラックスシードはn-3系のα-リノレン酸。こんがらがらないように、整理しておいてくださいね。
フラックスシードはn-3系のα-リノレン酸で、
このオイルの補給によるエイコサノイド(生理活性物質)の調整作用や緩下作用が特徴です。
緩下作用は、急激でなく便通をよくする作用のことですね。ちょっと耳で聞くと把握しずらいかもですが、
緩やかに下げる、という表記になります。
現在の食生活で不足しがちな油なので、できるだけ摂るようにしたい油です。

さらに、フラックスシードは繊維質が豊富なので、腸の全動運動を促進、慢性の便秘や過敏性腸症候群(IBS)
などの改善や生活習慣病の予防に効果的です。

フラックスシードの安全性、相互作用についてですが、
こちらは安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

おさらいになります。

フラックスシード
アマ科の植物で、
学名名 Linum usitatissimum
和名は、アマです。
使用部位は、種子(亜麻仁)。
主要な成分は、脂肪酸のリノール酸。α-リノレン酸
作用は、α-リノレン酸の補給による生理活性物質の促進
適用症は生活習慣病予防となっています。

フラックスシードのキーワードおさえておきます。
フラックスシードは、血液サラサラハーブ。n-3系
油のハーブ。エイコサノイド(生理活性物質)の調整、緩下作用。酸化しやすいので保存は冷暗所。



おつかれさまでした。
本日5つのハーブをご紹介しました。

イブニングプリムローズ
アオイ科の3つ、ウスベニアオイ、ハイビスカス、リンデン、
そして、フラックスシードでした。

イブニングプリムローズとフラックスシードは
油のハーブでしたね。
どちらも油のハーブですが、
イブニングプリムローズは、n-6系のγリノレン酸。女性系とアレルギー疾患に。
フラックスシードは、n-3系のαリノレン酸。緩下作用と生活習慣病予防。

そしてアオイ科の
ウスベニアオイは粘液質、コーティングのうるおいハーブ。
ハイビスカスは植物酸とアントシアニンヒビスシンの疲労回復ハーブ
リンデンは、フラボノイド配糖体(ルテン、ヒペロシン、ティリロシド)のフラボノイドハーブ。

でした!

一度に覚えるのは大変かと思いますが、もしよろしければ、繰り返しお聞きいただくことで覚えていけると思います。
また他の項目の学びを重ねることで、点と点がつながって、より理解が深まってくると思います。
まずは気になったハーブ一つから、試してみていただけたら嬉しいです。

では、また明日!


参考文献
ハーバルセラピストテキスト(JAMHA)
ハーバルセラピスト認定試験 対策問題集(BABジャパン)
ハーブ学名語源辞典(東京等出版)

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