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UXデザイナーの見据える先は、プロダクトから環境へ拡張されている

この記事はGoodpatch UI Design Advent Calendar 2019の11日目の記事です。


初めまして。GoodpatchでUXデザイナーをしているあーみーです。

そろそろ2019年も終わりを迎えつつあり、年末には地元に帰って久しぶりの友人などに会う方も多いのではないのでしょうか。

UXデザイナーとして働いている僕にとっては「今なんの仕事してるの?」という答えづらい問いを受ける時期でもあります。

ベンチャーやデザインの界隈から出るとやはり「デザイン=ビジュアル」の認識の人たちはまだ多い印象で、地元に帰るたびに毎回似たような説明をしてるな、と思います。

僕の地元では「UXデザイナー」という職業を知っている人はほぼおらず、自分に身近なIT界隈の人でもなにをするポジションなのか、それぞれ認識は違っており、「ユーザーテストをする人」「ペルソナとカスタマージャーニーマップを作ってくれる人」と思われていたりもします。

実際ユーザーテストもするしペルソナもカスタマージャーニーマップも作るので間違っているわけではないのですが、実際に僕がUXデザイナーとして一番考えているのはそのアウトプットが組織の中でどうやって運用されていくか?だと思っています。

上であげたペルソナやカスタマージャーニーマップ以外にもUXデザインでよく利用されるフレームワークはたくさんありますが、どれを利用したとしても作って「あとはよろしく」と渡すだけでは価値を生み出しづらいです。真に価値が発揮されるのは自分がいないところでもそのアウトプットをもとに議論が行われたり、そこから仮説が生まれる状態が作れた時だと思います。

だから僕は、UXデザイナーの価値はプロダクトづくりだけではなくユーザー視点も加えた開発の環境づくりに拡張されつつあると思っています。

今僕が関わっているプロジェクトにおいてはUXデザイナーの役割を

・組織で仮説検証のサイクルを回せる地盤を作ること

・そのために必要な共通言語をつくっていくこと

という2つで定義しています。

組織での仮説検証と共通言語が必要な理由

これは遡るとVUCAなどで表される不確実性の高い環境に起因します。

不確実性の高い環境で戦っていくためには単一の思考やフレームワークに固執するのではなく、高速で仮説検証を回して学びを積み上げてゆく必要があります。

権力を持った意思決定者が立てた仮説を実行しその結果を見ているような環境ではその意思決定者の中で学びは積み上がりますが、組織全体を見てみると同様ではありません。もちろん短期的/局所的な視点ではスピードが出ますし合理的な場合もあるのですが、長期的/大局的にみるとスピードは鈍化していき、VUCAの波に飲み込まれてしまいます。

組織で学びを積み重ねるには組織で仮説検証を回す必要があります。

そして組織で仮説検証を回すには様々な立場やポジションの人間が同じ言語で話す必要があります。

例えばセールスの方やCSの方は日々実際のユーザーさんとやりとりをしているので非常に貴重な情報を持っています。しかし共通言語がない状態では各々のチーム内で仮説検証を回すことしかできず、車輪の再発明がそこら中で起きてしまうことになります。当然それはスピードの鈍化に繋がります。

社内には貴重な情報がたくさん転がっている。だから共通言語でそれをみんなが使える状態にする必要があります。

これが組織での仮説検証と共通言語が必要な理由です。

それは誰の仕事なのか

とはいえ「それってUXデザイナーがやることなの?」と思う人もいるかもしれません。確かにアプリが大黒柱のスタートアップであればアプリの開発方針は会社の戦略に直結するので経営陣と話す必要がありますし、それはストラテジストだったりPdMの仕事かもしれません。環境をつくるという仕事もPMだったりマネージャーがやることかもしれません。

しかし僕が最近感じているのは自分の役割領域を無意識的に規定してしまう人の価値が下がってきているのではないかということです。

先ほども話したように不確実性の高い環境で戦うには高速で学びを積み重ねる必要があり、積み重ねていくと自分のやるべきこともシフトしていくのではないかと思います。そういった状況においてどこかのタイミングで与えられた役割にしがみついて頑固に守っていては価値がなくなってくるのも容易に想像できそうです。

僕はUXデザイナーとして働いていく中でユーザーリサーチ情報を分析してアウトプットするという役割からユーザー視点も加えた開発の環境をつくることにやるべきことをシフトさせましたが、それはこれからも変わっていくと思います。不確実性の高い時代で戦うための新しい仕事の捉え方なのかもしれません。

Goodpatchでは現在UXデザイナーを募集しています。もし興味のある方がいれば以下のリンクをのぞいて見てください。


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