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音や香りが連れてくる記憶の話

震えるほどの懐かしい記憶に出会ってしまった

遥か昔の懐かしい記憶
大人しくて、自己主張からは
程遠い世界にいた、小学校5年生だった私

そんな私が、あの時自分の意志を強めて
自分の好きなクラブ活動を選んだのは
なぜか、渋めなチョイス
お箏が弾けるようになるクラブだった

そんな過去を持つ私を思い出す
懐かしき映像を見つけてしまった

覚えている方はいるのかしら・・・
女子一二楽坊、この方達のことを


音楽は時に、遥か過去の記憶を
とんでもないところから手繰り寄せて
小さくて懐かしい記憶を
引き起こしてくれる・・・

人の五感と記憶の重なりが成せる
技のような凄さを感じて
震えてしまったのだ

あの当時の私は
楽器屋さんで母に購入してもらった
教本とお箏の爪が3つ入った和柄のケース


毎週
クラブ活動がある日の朝は嬉しくて
畳の香りと少し湿気の籠った香りが残る
和室に向かい、練習に励んだのだった

部屋には、6つほどのお琴が並んでいて
先生がそれぞれのお箏の弦を鳴らしながら
時に、弦を2本を合わせて弾きながら
先生の持つ耳と手元の勘を頼りに
調律を一つひとつ仕上げていく

シンとした空間に、正座をして
練習が始まる前の時間を
あの頃の私は、ただ後ろから
静かに先生の姿を眺めながら


その後ちょっと
仕草を真似してみたりしたけれど
先生のそれには到底
そう足元にも及ばなくて   

年月を重ねて積み上げてきた技術を
目の前に
ただ音だけが重なって静かに響き渡っていた

その音と空間の一体感を
見せていただけたことに
子どもながらにも
とても感動していたことを思い出した

厳しさの中に優しさのある
そして、お会いすると
なぜか私の背筋の伸びる
そんな印象の先生だった

小さな頃の
そんな背中で経験を見せてくれる様な
大人の姿に出逢う機会も
今では貴重なのだろうか

懐かしくて
ちょっと切ない記憶は久しぶりに

ここアメリカに住みながら
お箏を奏でたくなる心境にさえ
してくれる

すっかり時を経て忘れかけていたけれど
私の今のどこかに
ずっと根付いてる記憶なのかもしれない






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