安いヘッドセットでポッドキャストを収録する方法
結論から言うと
収録時にリアルタイムで安いヘッドセットの音にノイズ除去ソフトウェア（Krisp または RTX Voice）を通した音を録音すること
分かってみれば簡単なことだがその一点に尽きる。音源に入ってしまったノイズを後から除去しようとするのは悪手であり、はじめから何かしらの手段でノイズが入らないようにするに越したことがないというシンプルな考えが根底にある。
ノイズを入れない何かしらの手段の部分は、狭いクローゼットや防音室で録音することやマイクの防風や壁に防音板を導入するなどのハード的な設備によって実現されることが理想といえば理想だが、今回ノイズ除去ソフトウェアを通すことを提案したのは、一般人にハードウェア的な防音設備や環境を用意することのハードルが高すぎるためである（お金も手間もかかるしそもそも何すれば良いのか素人には分かりにくい）。
上記結論の理由としては、安いヘッドセットは次の2点の問題を避けることが難しいためである。
①マイクに周囲の環境音（エアコンやPCファン音）がノイズとして入ること
②スピーカーから音漏れした通話相手の声が環境ノイズとともに薄っすら入ること
具体的にフリーで使えるノイズ除去ソフトとしては、NVIDIA GPU を搭載していないPCの場合 Krisp（無料枠240分/週）、
NVIDIA GPU 搭載PCの場合 RTX Voice （時間制限なく利用可）を使うと良いと思う。
収録時の使い方としても Audacity などのツールで録音する場合、マイクに上記 Krisp や RTX Voice を設定するだけである（もちろん事前にノイズ除去ソフトウェアインストールは必要）。
安いヘッドセットの音源はどう聴こえるか
上記結論に至った理由をもう少し説明しておく。
一般的にポッドキャストの音源は音圧レベルを調整するツールなどで全体の音を均して一様に音圧上げて聴き取りやすくするなどの処理が入れることが多い。詳細は以前下記ブログに記したのでそちらを参考のほど。
安いヘッドセットで収録した音源の音圧を上げると何が起こるかと言うと、「周囲の環境ノイズやスピーカーからの音漏れした話し相手の声」の音圧が上がってくっきりはっきりと環境ノイズと本来入ってはダメな話し相手の声が強調された形で入ってしまうのである。
ちょうど最近収録したあらBfm Ep.31 のシマダの音源が良い例だったので、一部切り出して発生する問題の具体例として紹介すると以下。
Ep.31 はシマダの面白エピソードが詰まったオススメ回（2021/10/5 現在）
音圧上げる処理前：
処理後：
上記聴き比べると分かるが、元々そこまで目立っていなかった環境ノイズや通話相手の声が音圧処理後は大きくはっきり聴こえるようになっていることが分かると思う。
ちなみにシマダの利用したヘッドセットは下記とのこと。有名ポッドキャスト rebuildfm のゲストマイクとして紹介されていたサンワサプライのヘッドセットとそこまで価格帯としては違わないものである（スペック上の細かい違いは不明だが安いヘッドセットという点でおそらく大した違いはないと思われる）。
問題の再現調査と試行錯誤
今回上記の症状を自分の環境でも再現し、さらにその改善策を調べるために エレコムのセールで900円になっていたヘッドセットを購入してみた。上記で紹介した安いヘッドセットと同じかそれ以下グレートのいわゆる安物ヘッドセットだ。
手始めにこのセールで900円ヘッドセット買った（調査のため） https://t.co/GEQXuo0pb3
— あらB🌘 (@ark_B) October 3, 2021
実際このヘッドセットで無音を録音すると、上記シマダの音源と同じく、背景に環境ノイズとして低周波の「ジジジ」という耳障りな音が常時入っていた（安いヘッドセットで起こる1個目の問題の再現）。
さらに下記 YouTube で24時間エンドレス配信しているあらBfm 過去回を流しながら録音すると薄っすらスピーカー側の音声が漏れて録音されてしまっていることが確認できた（2個目の問題の再現）。
あとは、ノイズ除去ソフトウェアを通して録音した場合とそのままでどのように変わるか、フリーで使えるノイズ除去ソフトウェアとしてどれが良いかなど色々と試行錯誤した上で、結果として最初に述べた結論
収録時にリアルタイムで安いヘッドセットの音にノイズ除去ソフトウェア（Krisp または RTX Voice）を通した音を録音すること（2回目）
に辿り着いた（ツールや条件をいくつか変えて20回録音くらいした上で落ち着いた結論）。
逆に安いヘッドセットで上記以外の方法で録音した場合ノイズと通話相手の声の入った音源からポッドキャスト配信用に編集しなくてはならずかなり苦しくなるはずである。
ちなみに あらBfm Ep.31 のシマダ音源はそうなったので結果として3回ノイズ除去をかけてどうにかノイズをごまかした形でリリースしている（とても苦しかった）。
おわり
最後にエクスキューズとして断っておきたいのが、上記あくまで音声編集始めたばかりの素人の調査なので、そこまで厳密な議論ではないという点（安くて神ヘッドセットが見つかった場合など上記の問題が起こらない可能性も大いにある）。
あくまで安いヘッドセット買って色々調べたところ、ポッドキャスト音源として使えるギリギリくらいのクオリティの音源を録音する数少ない方法の一つが最初に述べたものだったよ！という話である。
もし世のポッドキャスターで他に良い方法を知っている方いればぜひ教えて欲しい。そもそも安いヘッドセットだとつらいよって話かもしれないけどね。
引用元：Ep.31 でシマダオススメのマラソンシューズの一つ