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『ラークシャサの家系』全26話

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オレたちは鬼なのだ・・・2000年以上の長きにわたり、その時代の統治者のもとで、秘密裏に関係を築いてきた人と鬼。令和の今も、誰にも知られることなく人の生活に溶け込む鬼たち。埼玉県… もっと読む
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#バラモン

『ラークシャサの家系』第8話

◇「井村家」 桜区10丁目から中央区大戸6丁目の上野が住むアパートまでは、直線距離で500mほど、車では1分とかからない距離だった。七瀬に、なぜ斉藤に上野との関係を確認しなかったのか?と聞いたが、それだから素人なんですよ、と鼻で笑われた。  七瀬が言うには、あひるっ子トレーナーに応募するぐらいの熱心なファンで、しかも近所に住んでいて、そんな環境でお互いを知らないはずがない。逆に上野の名前を出せば、変に警戒させて捜査に支障が出るだろうと、それでなくとも、おそらく斉藤から上野へは

『ラークシャサの家系』第9話

◇「バラモンのラークシャサ」 ”バラモン”。最高階級のラークシャサ。その個体数は極端に少ないと言われている。オレだって実物を見たのは初めてだ。  オレたちクシャトリヤは、どちらかと言うと体力重視の鬼なのだが、バラモンは、身体能力こそヴァイシャ並みであるが、魔法のような特殊な呪文を使う。そしてその呪文の攻撃力は、オレたちの戦闘力をはるかに凌ぐ。また、バラモンのもう一つの特徴は、未来を予見する力だ。一般的には占いに近いレベルと聞いているが、中にはとんでもない的中率の者もいるらし

『ラークシャサの家系』第10話

◇「レーダー探知機」 明子は知っていた。この事件に2体の鬼が関わっていることを、そして、その鬼たちがとても凶暴であることを。  ”バラモン”である母親 みどりの能力、予言や予知のような能力を、単純に引き継いだとか・・・まぁ普通に考えると、そんな感じだろう。  そもそも半鬼というもの自体が珍しく、その特徴に関しては、オレたちもよく知らない。 「先ほどお話ししましたように、明子は、バラモンの私と、人間の夫の半鬼です。まずは、半鬼の特徴からお話ししましょう。」  みどりは明子に軽

『ラークシャサの家系』第11話

◇「バラモンの姫」 井村明子を、この捜査メンバーに加えるって、簡単に言いますけど、素人で女子高生でお嬢様、半鬼といえども、人間扱いの個体をどうやって?  ねぇ、みどりさん? 七瀬さん?  翌朝、武蔵ダイカスト工業、応接室。 「あなたが井村明子さんですね?昨晩、七瀬さんと一ノ瀬さん、それとメ、いや、お母さまのみどりさんから連絡がありました。私がこの会社の責任者で指宿と申します。」 「はじめまして、井村明子です。よろしくお願いいたします。」 「今、何人か紹介したい方々がいるので