好きなゲームを語る(5日目 El Dorado)

基本データ


El Dorado(エルドラドを探して)
作者:Reiner Knizia
適正プレイ人数: 3人ないし4人
プレイ時間: 90分

ゲームの概要


黄金の都エルドラドを目指してマップ上の探検隊を進めていきます。勝利条件はエルドラドに真っ先に到達することですが、それまでの道中には険路が待ち構えており、それを乗り越えるためには探検隊を強化する必要があります。「エルドラド」の基本はデッキ構築であり、デッキ内のコインを使って新しいカードを買うことで、一度に進めるマス数が増えたり、ドローカードをデッキに加えたりできます。最初のデッキに入っているカードは使ってもコスト1のマスを1マス進むことができるだけですが、買えるカードの中には一気に3マス4マスと進めるようなものもあり、デッキが十分に強化されれば後半の2コスト3コスト要求が当たり前の土地(補足:2コストのマスは普段2マス進めるカードを使ってやっと進入することができる)でも楽に進んでいくことができるようになります。
しかしそこはやはり到着を競う競争。デッキ強化にかまけていると、ほどほどの準備で出発した人に追いつけないかもしれません。エルドラドまでの道程を見据えた上で、進行とデッキ強化をバランスよく行っていくのが鍵となります。

このゲームの特長


1.世界観とルールのマッチ

胸躍る冒険の世界観、ヘックスを並べた大きなフィールドを見るだけで既に楽しい。これら自体も強みですが、このゲームの真の強みはそこから醒めさせないルールにあると見ています。
ゲーム中全ての動きは探検隊を強化するか探検隊を前進させるかのどちらかであり、ゲームの成立のために足したようなテーマと無関係なルールがありません。そのためゲーム中に「今自分はストーリー的には何をしているのだ?」と冷静になる瞬間が無く、開始時にゲームの世界に対して抱いた興奮が終了時まで持続しやすいのです。
ゲームを作るとなれば、ゲームを成立させるため、あるいはゲームとして面白くするためにテーマと無関係なルールを足すことはあるもので、別にそんなルールがあったとして1本や2本ならゲームの印象がそう悪くなるものではないのですが、とはいえそれが無い「完璧」を見せられるとこれは参ったとなります。


2.最初に強化し切るばかりでないデッキ構築

デッキ構築には、序盤はひたすらデッキを強化し、中盤以降それを利用して勝利条件の達成に向けて動き始める、という色が濃いものが多くあります。ブルゴーニュの項でも出た話ですが、「序盤は地盤を作り、中盤以降で勝利点に変換する」ゲームは似たようなプレイ感になりがちといわれているところです。このゲームでもある程度その色はありますが、デッキ強化を最初にし切らないところが特徴と言えるでしょう。例えば序盤は森が多く、中盤以降川が多いマップであれば、最序盤に森と川両方の対策を入れるのは賢明ではありません。このゲームでは、一部の万能系カードを除き、各カードは対応する地形を進むためにしか使えませんから、川を渡るためのカードは序盤邪魔にしかならないのです。したがって、序盤は森を抜けるためのカードだけを多く入れて出発し、森地帯の終わりが見えたら川対策を始めるのが妥当な動きとなります。最初の準備で森専用のカードを入れすぎると川地帯ではそれが丸々邪魔になる可能性すらあり、それを懸念するならば最低限の買い足しだけして出発するのも一案です。
このように、進行に伴って有効なカードが変わることで最初にデッキ構築を完全に済ませる動きを否定し、どの段階でどのくらいのデッキ内容にするかを終始問い続けるのがこのゲームの特色と言えるでしょう。


3.壊れカードのないバランス調整

このゲームには多種のカードが登場しますが、その中に強すぎるものが無いのも強みの一つです。いずれのカードもコストに見合った強さであり、特定のカードを取り逃したからと言ってそれで脱落してしまうようなものはないように思います(まだ断定できるほどプレイ回数が無いので言い切るのは怖いですが)。
この手のゲームにはほぼ100%で何らかの壊れが存在するものと思っているので、そんな中で壊れカードが無いことは輝く特性です。ある要素が「ある」特徴は目立ち、「ない」特徴は目立たないものですが、「壊れカードが無い」を当然のこととして見逃してはならないでしょう!

こんな人にお勧め

割と万人受けするゲームだと思います。見た目通り、探検テーマが好きな人は買いでしょう。
道中で露骨に他プレイヤーの動向に左右されるのは隘路での場所取りくらいでインタラクションは比較的薄めなので、干渉の応酬を繰り広げるよりしたいことを存分にできるタイプのゲームを好む人向けと言えるかと思います。
デッキ構築要素がありますが、分かりやすい構造なのでデッキ構築への慣れは必要ないと思います。デッキ圧縮の意味合いくらいは知っているといいかもしれません。

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