好きなゲームを語る(8日目 チームプレイ)

基本データ


作者:Johannes Schmidauer König
適正プレイ人数:4人(箱にはなんと3~6人とある。6はともかく3、5はゲームの趣旨的におかしい)
プレイ時間:30分ほど

ゲーム概略


向かい合う2人でチームを組み、各人に配られる個人の目標カードや場の中央に出ている共有の目標カードに書かれている条件を手札で達成することを目指します。
カードは1~8のカードが赤青各4枚の計64枚からなっており、目標カードにはそれらの組み合わせが書かれています(同じ数字の3枚組、赤の6~8を4枚集める、5連番など)。手札に条件を満たすカードが揃えばそれらを捨て札にすることでその目標を得点化し、新たな目標カードを得ることができます。
プレイヤーは自分およびパートナーの目標の達成のために、手番中に、山札か公開された場札から2枚カードを引き、手札から2枚までをパートナーに渡すことができます。パートナーとの合計点数を相手チームと競う形なので、自分が目標を早く達成するのが難しいと思ったらパートナーと2人でパートナー側の目標達成を目指す動きが求められるときもあります。
しかしパートナーとの間で欲しいカードなどを会話することは許されません。公開されている目標と、パートナーがそれまでに取ったカード(場札からは何を取ったか分かります)などから、何を送ればよいかを推測して、助けとなるようなカードを送りましょう。

ゲームの特長


1.余計な要素無し、純粋な勝負

このゲームは目標に向けて手札を揃える以外の要素を徹底的に排除することで主題を剝き出しにしています。このゲームに資源管理要素があれば、資源管理の上手さで協調のミスをカバーできるかもしれません。特殊効果のあるカードがあれば、その使いどころの上手さが勝敗をひっくり返すかもしれません。しかしこのゲームにそんなものはないのです。協力の綻びを他の要素でカバーできない(ものすごいツモ強運は話が別)、掛け値なしのチーム戦。さすが「チームプレイ」とそのままなタイトルをつけるだけのことはあります。


2.多彩な協力手段と、協力への報い

ルールをはじめ見たときは、パートナーが欲しそうなカードを送りあうのだな、くらいの考えでいたのですが、実際にプレイしてみると、それができない局面でもさまざまな協力が行えることに驚いたものです。
自分の欲しいカードの情報発信や、自分が個人目標と共有目標のどちらを目指しているかの発信、今ある目標のクリア後を見据えて山札から引いたカードを共有しておくなど、かなり技が利きます。
そして、様々な工夫の末にパートナーが自分の送ったカードを使って目標を達成したときの嬉しさは、対戦ゲームで作戦が綺麗に嵌ったときに似てしかしそれ以上の、まさに協力プレイの醍醐味といったところです。あるいは逆に、自分の手札の穴をパートナーが察知して埋めてくれたときも嬉しいものです。こういった、互いの意向を理解したがゆえの成功はゲームの枠を超えて本能に訴えてくるものがあります。
そして1.で書いたとおりこのゲームは余計な要素を排していますから、その成功は脇道のテクニックで掴んだものでない純然たる協力の賜物だと、このゲームは称賛してくれるのです。


3.目標の難度と得点のバランス

このゲームの勝敗は目標達成でもらえる得点の多寡で決まりますが、各目標が持っている得点が実によく調節されていて、得点が高すぎる/低すぎると感じる目標が1枚としてないのが素晴らしいところです。制約が緩い目標はカード枚数に対する得点効率が悪く、逆に制約が強い目標はそれが良くなっています。例として「同じ数字の2枚組」の目標は非常に易しいですが1点なのでカード1枚あたり1/2点、これに対し、「赤の5連番」は制約がかなりきつい目標であり、これは6点なのでカード1枚あたり6/5点と、倍以上の効率になっています。しかし当然後者はその制約の強さゆえに全然待ちが埋まらずに完成しないリスクを負うことになります。手札には上限枚数があるので、泥沼にはまっていると結局カードを次々と捨てる羽目になって全体での得点効率も悪くなる可能性があります。このあたりの調節が実にうまく、高得点の/低得点の目標を多く引いたからイコールで有利とはならない良バランスとなっています。
それに加えて、これは目標を単体で見たときの話であって、実戦ではどんな目標を引いても同じとはならないのもポイントです。パートナーの目標と必要カードが重複する目標や、それまでに捨て札に多く流れたカードを要する目標を取れば当然苦しくなります。目標を更新する際は1回まで拒否して引き直しができるので、これは厳しいなと思ったら引き直しましょう。何故か一層厳しい目標を引いてきます。ぐぬぬ。

こんな人にお勧め

個人の力×2vs. 個人の力×2のようなチーム戦でなく、意思疎通や味方の行動の意図推測が重要なチーム戦に魅力を感じる人にお勧めしたい作品です。とにかく協力要素の濃度が濃くそれ以外の要素が皆無、当然のようにノーテーマでストーリーもないので、このぶっ壊れた配分を聞いてそれでもプレイしてみたいと思うか否かがそのまま適性であるようにも思います。ごいたやコントラクトブリッジが好きな方は是非。

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