好きなゲームを語る(7日目 バトルライン)

基本データ


作者: Reiner Knizia
適正プレイ人数: 2人
プレイ時間: 20分

ゲームの概要

9つ横に並んだ戦場のそれぞれに兵士のカードを配置していき、各戦場での勝利を奪い合います。
各ターンは基本的に1枚のカードをいずれかの戦場に出しては山札から1枚補充する流れで進行していきます。それぞれの戦場には3枚までカードを置くことができ、両プレイヤーが3枚のカードを出した時点でそれらの強さを比較し、より強い役を作っていた方が勝利となり、その戦場のフラッグを獲得することができます。フラッグを5つ獲得するか、連続3か所のフラッグを獲得すれば勝利となります。
このゲームの最大の特徴として、相手がまだ3枚のカードを出していなかったとしても、残っているカードからどう出されても自分の役を超えられないことを証明できればその時点でその戦場のフラッグを獲得できるルールがあります。証明が済んだ戦場にはそれ以上カードを置けなくなるので、相手が「どうせ負けるならいらないカード置き場にしよう」とする権利を奪うことができて有利になります。
また、手札補充の際に戦術カードと呼ばれるカードを引くこともできます。これはいわゆる特殊効果カードで、指定した戦場に対して役を無効化して数字だけの勝負にしたり、すでに配置したカードを1枚動かしたりといずれも強力な効果を持っています。しかし、戦術カードは相手が戦術カードを使用した枚数+1枚までしか使えないという制約がありますので、安易に使うと相手だけが戦術カードを使う権利を持った状態になることには注意が必要です。

ゲームの特長

1.「迂闊なカードを置くと証明されてしまう」
これは私でないプレイヤーの言ですが、この一言が全てを表しているとすら言えるかと思います。カードは必ず1ターンに1枚出さなくてはならないのですが、カードを出すほど出した列の役の可能性が狭まっていくので、相手が強い役をぶつけてきたときに証明負けしやすくなるのが困りもの。終盤に縺れると、どの列に何を置いても不利になる局面すら発生するようになります。
各戦場での旗色だけでなく、何のカードが見えたら証明が発生するのかまで考える必要があるので、役の強さを競う同系統のゲームより一段メタな思考が必要となり、そのメタ思考がこのゲームの妙味です。他のゲームでも「ここが陥落するのは相手に○○と△△が揃ったときだけだな」などと考えることはありますが、このゲームではその思考がルールの中に入っているのですね。


2.ウェッジとファランクスとのパワーバランス

このゲームで、特に序盤にプレイヤーが目指す役はウェッジ(同色3連番)とファランクス(同ランク3枚)となります。これらは強い方から2つです。まだカードが見えていない序盤ではとりあえず目いっぱい強い役を目指そうと考えるのが自然ですね。「バトルライン」においては、この2つの役のパワーバランスが絶妙なのも見事なポイントです。
ウェッジの強みは、
・役の強さとして最強。完成すれば文句はつけられない。
・同色3枚や連番3枚だけでも弱いながら役と認められるため、ウェッジ狙いとファランクス狙いが対峙して両者完成し損ねた場合はウェッジのなり損ないが勝つ。
このあたりにあり、一方でファランクスのメリットは、
・同ランクのカードが6枚あるこのゲームでは完成しやすい。2枚を見切り発進で置いても割と安心できる。
・同様の事情により、相手にウェッジを完成されない限り証明負けしにくく、戦術カードによる干渉にも比較的強い。
といった点にあります。
どちらにも強みがあるので両方リーチの手札(緑3、緑4、黄4など)があるときにどちらを目指すべきかは難しい判断で、残っているカードの分布、他の戦場との待ちの干渉具合などによって正解が変わります。
この上位2役の拮抗は、「とりあえず○○の役を目指せばいいか」と安直に判断することを防止し、常にゲームに思考要素をもたらしてくれます。これは地味ながら慎重な調整の賜物と言えましょう。カードを6スート10ランクにした調節が効いています。

こんな人にお勧め

間違いなく全力の2人戦を楽しみたい人向けです。引きに左右されるところもありますが、証明ルールの理解度や戦術カードの使いどころの巧拙、その他細かいアドバンテージ取りの技術で結構実力差が出ます。
アブストラクトほど運要素無しは堅苦しい、しかし実力の差は出てほしい、と思っている方は是非。

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