好きなゲームを語る(2日目 Galaxy Trucker)

基本データ


Galaxy Trucker
作者: Vlaada Chvátil
最適プレイ人数: 4人
プレイ時間: 90分程度(初回はインストに30分ほどかかります。また、インスト後に一度1回目の航行まで程度のデモンストレーションを行うとよいかと思われますので、時間に余裕を持つことをお勧めします)

ゲームの概要


宇宙船を造り、それに乗って宇宙に旅立ち、価値の高い鉱物を手に入れて帰ってきましょう。ゲームは建造フェイズと航行フェイズとを3回繰り返し、3回の航行の合計点で勝敗を競います。後半のラウンドほど大きな宇宙船を造ることができますが、同時に航行の道程はより厳しいものになっていきます。
建造フェイズはアクションパズルで、場に伏せられたタイルをめくっては個人ボードに配置していきます。いくつかの配置制約に気を付けながら、できるだけ頑丈で、強力な推進力や多くの物資保管スペースを持った宇宙船を造っていきます。
航行フェイズではイベントカードをめくることで宇宙を進んでいきます。宇宙では鉱物がとれる惑星に着くこともありますし、隕石や宇宙海賊に船体を攻撃されることもあります。そんなこんなの道程を切り抜けて無事地球に帰ってくることができれば持ち帰った鉱物が得点になります。


このゲームの長所


1.バカっぽさ

90分のゲーム時間やストーリーから重厚な戦略ゲームを期待してはいけません。戦略ゲームを望む人は他のゲームを買いましょう。このゲームはバカゲーの枠です。
何が原因かと問われれば、それはもう、建造フェイズがリアルタイムアクションである、この一点に尽きるでしょう。与えられる時間はかなり短いです。慣れるまでは、機体性能を無視してもマスを埋めることすらままなりません。慣れてきても、推進力、防御性能、居住可能人数などを全て十分な水準にするのは困難です。
そのため、出来上がる宇宙船は大抵ろくなものになりません。建造の制限時間を示す砂時計の砂が落ち、ストップの声とともに一息ついて、あらためて自分の作った宇宙船を見ると…「なんかバリアの向きおかしくない?」「なんで推進力2しかないの?」「このマス攻撃されたら終わりでは?」
当然そんな宇宙船は宇宙でひどい目にあいます。ひどい目にあうのを楽しむゲームです。


2.ダウンタイムの短さ

このゲームの顕著な特長の一つとして、ダウンタイムの短さが挙げられます。
建造フェイズは全員同時リアルタイムアクションでダウンタイムとは無縁です。航行フェイズでは各人の判断は順次ですが、航行フェイズは事実上建造フェイズの答え合わせであり、航行フェイズに至ってからプレイングで何とかすることはほぼできません。一つ一つの判断は考える余地がないようなものが多いため、短く済みます。たまに他プレイヤーの船の状況を参考に手を決めるくらいのことはありますが、全体的には長考で迷惑をかける方が難しいというレベルです。
このため、ダウンタイムはほとんどありません。これはありがたいですね。


3.逆転可能性を思わせる構造

航行フェイズでめくられる宇宙の内容は、強い宇宙船を持つプレイヤーがより有利になるようなものが多いです。したがってそれぞれの航行の途中で優勢劣勢が逆転することは少なく(たまに優勢なプレイヤーの宇宙船がとんでもないところに宇宙海賊の攻撃を受けて大爆発したりしますが)、 各回の航行の結果は大差がつくことも珍しくありません。
しかしこの各回の航行結果に差がつきやすいという性質が、全体の逆転可能性につながっているのです。3回の航行はだんだん大規模になっていきますから、つく点差も大きくなっていきます。第2回の航行はボロボロで20点差つけられたが第3回でトップが同じようにボロボロになってくれれば30点差つくから可能性はある、と思えるのです。1.にある通り建造フェイズはてんやわんやの大騒ぎなので、差がついたからあとは堅実に最後の航行を済ませれば勝利だな、と頭では思っていても頑丈で堅実な宇宙船を造れるとは限らないのがこのゲームです。
このゲーム、狂乱バカゲーなのですが、こういうところはしっかりしているのですよね。むしろバカゲーだからこそバカに集中できるためにゲーム的なところはしっかりしていなければならないとも言えます。バカなジョークを面白くするには賢さが必要、みたいなものですね。


補足・慣れてきたら


慣れてくると短い制限時間の中でも頑丈な宇宙船を造ることができるようになり、そうなると緊張感が薄くなってしまいます。拡張版ではより厳しい宇宙が待っているとの話も聞きますので、宇宙の旅に緊張感がなくなってきたら拡張を買うのが一案ではないでしょうか。(私は拡張を持っていないので拡張の良し悪しについてはノーコメントです)


こんな人にお勧め


アクション要素に抵抗が無い人、頑張って作った宇宙船がピンポイント隕石アタックで真っ二つになってもガチ凹みしない人にお勧めできます。良くも悪くもお堅い戦略ゲームではないので、そこは少なくとも了承する必要があります。
瞬発的なパズル力に大きな差があるプレイヤー同士で卓を囲うと、無慈悲な宇宙は弱い人の宇宙船ばかりを無惨に破壊するため、楽しめないプレイヤーが出てくる可能性があります。この点は注意が必要です。

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