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最悪の共犯②

 承前

 パソコンに向かい記事を作成する。読んでて自分が気持ち悪くなってきた…

ー「それじゃあまず手始めに…この作品を紹介して頂きましょうか。」男が差し出してきたのはカレーだ。ある点を除けば至って普通のカレー。「この作品はですね!いや!語りすぎるのも野暮ですね!一言で言うと食べられる苦しみ!ですかね!」意気揚々と男は語る。ー

 その作品というものが、あー…気持ち悪くなってきた…たしか名前は苦悶カレーだったかな…そもそもの奴の理念が、”作品”を通して苦しみを理解させる事だし、ろくなものが出来るはずは無いんだが。「よし…とりあえずはこれで行こう。」写真を限界まで加工し、あくまでこの男を、リアルさに拘った模型を使った芸術家だと紹介する。見る者によっては気付くだろうが大多数が気付かなければ問題はない。海外のサーバーを経由しアップロードする。本当に気が乗らないが…男にメールで連絡を入れるとしよう。はぁ今日はついてなさすぎるな...これで共犯扱いされた日には...

 プルルル。携帯がなる。「記事みましたよ…」明らかに声の調子がおかしい。「私の芸術作品を加工しやがって…挙げ句の果てに私が”偽物”を使っているだと…!」完全にブチ切れている。「いやあの「そんなことはどうでもいい!!!理解者ぶりやがって!!!今からお前のところに行くからな!」ヤバイ!ヤバイ!!ヤバイ!!!警察…そうだ警察に…ドン!ドン!ノックする音が聞こえる。モニターをみると向こうには奴が...逃げ場はない。扉もすでに時間の問題だ。警察が来るまでは確実に持たない...窓の外に目を向ける。

 ここは地上二階だ。なら...やるしかないか...

【続く】

カバー画像:Photo by Francisco Moreno on Unsplash

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