南中時の影が一番短い日

 眠れない夜に、夜は暗くて静かでいいと思うときと、暗くて静かでしんどいと思うときがある。
 夜と同じように、昼についても抱く気持ちは正負の両方がある。明るさが心を晴れさせる場合と、それが逆に心を沈ませる場合。

 ところで昨日は夏至だった。
 今年の初夏は風が強いな、さっきまで雨が降っていたとは嘘みたいな晴れだ、今日は日が長いな、なんて、世間話みたいなことをひとり心の中で思っていて、梅雨入りしたというニュースを聞き、そういえばそろそろ夏至なのではと思いついて、調べてみたら当日だった。
 夏至の日の南中時、太陽はいつになく真上にいて、できる影が1年のうちで最も短い。1年でもっとも昼の時間の長い日というのが、一般的な夏至の説明だけれど、南中時の影の長さの話の方が、なぜだか心にかかった。
 光がもっとも長く、高く、遠く、頭上にある時。できる影は短くて濃い。

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