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三方よしの観光地経営 ~持続可能な観光とは〜

(とーりまかし2020年12月号より)

つい、観光収入だけにKPIを置きがちですが、モノのマーケティングと異なり、観光地に関わるステークホルダーは多く、かつ限りのある資源なのであらゆる立場から見て快適である必要があると改めて感じました。その結果が持続可能な観光地として存在し続けられるものだと。

持続可能な観光とは

・旅行者、住民、地域の3方良しの観光地経営

背景:訪日客を中心に混雑や環境の悪化などの弊害が発生。一方、コロナによりニューノーマル時期では、旅行者の数は期待できず可能な範囲で受け入れる(質を重視)必要がある

商品性の違い(モノとサービスのアプローチの違い):
モノを前提としたマーケティングでは解決されていない。

・ステークホルダーが多い
・スイッチングコストが低い(ほかの観光地も選択肢に入りやすい)
・供給の限界(ニーズがあっても受け入れ量に上限。商品を増やせない)
・品質をコントロールしずらい(交通や宿泊などが個別にサービス提供している上に、地域住民の対応は管理できない)

地域全体で見ると、観光事業者だけでなく、地域住民もエリア満足度に影響するため、配慮が重要。

沖縄県の観光成果指標:都道府県が住民や資源の視点を含めた指標を用意しておけば持続可能な観光に取り組みやすくなる。
入込数や観光収入が中心となりがちな観光計画に県民や観光資源の視点を取り入れている点がポイント。(ハワイ、カナダ、EUなどを参考になっているとのこと)

経済
01 航空旅客提供座席数
02 宿泊施設(収容人員)
03 二次交通(レンタカーなどの車両数)
04 観光収入
05 観光客の消費単価
06 観光客の滞在日数
07 宿泊者数
08 客数(MICE参加者)
09 客数(主要観光施設入場者)
10 季節変動(入域観光客数)
11 経済波及効果
12 雇用者数(宿泊業、飲食サービス業)
観光客
13 入域観光客数
14 外国人観光客数
15 バリアフリー対応(施設数)
16 外客対応(通訳案内士等登録者数)
17 接客待遇(沖縄観光タクシー資格認定者数)
18 旅行全体の満足度(国内客)
19 旅行全体の満足度(外国人客)
20 リピーター率
県民
21 県民所得
22 渋滞(昼間12時間平均施行速度)
23 観光客比率(定住人口換算)
24 県民施行の実施度
25 住みやすさ(定住の意向)
26 観光施策の重要度に対する意識
環境
27 最終エネルギー消費量
28 温室効果ガス排出量(2酸化炭素排出量)
29 環境認証(エコアクション21認定事業者数)
30 ビーチ(主要水浴場の水質)
31 エコツーリズム(保全利用協定の認定状況)
32 保全エリア(自然環境保全地域の指定状況)
33 景観(景観行政団体)
34 世界遺産(訪問者数)
35 文化財(国、県、市町村指定文化財件数)
36 文化スポーツイベントの集客
マネジメント
37 県観光予算
38 市町村観光予算
39 市町村観光計画の有無
40 市町村観光協会の有無

三方良しの観光地経営の事例

■ ドイツ ベルリン市
(背景)旅行者に反感が高まったことのあるベルリン
(施策)2018年DMOが住民と旅行者が快適に過ごせる取り組みを開始。市場、図書館などを訪問して直接、観光に関する意見を聞いてまわった。また、市民向けに格安の宿泊キャンペーンを実施することで市民が実体験。
(結果)住民と会話する機会となり、観光の意識が高まり、旅行者への歓迎ムードも生まれた。

■ ハワイ
(背景)
住民満足度が下がったこともありレスポンシブルツーリズムが掲げられている
(施策)〇〇するな、ではなく「住民の守りたいこと」というメッセージで強制ではなくストーリーを伝える。さらにそれを国別の旅行者ターゲットに分けてメッセージを変える。

■ 和歌山県、熊野古道
(背景)熊野古道の世界遺産登録をきっかけに大量の団体客が押し寄せた
(施策)外国人個人旅行者にターゲットを絞る方針に。小中学生への教育へも観光を共有。そして外国人がわざわざ訪れる土地としての評価が地元の誇りになった。
(結果)古道沿いの軽食販売など新たな新事業が地元農家の収入源に。

3密回避エンターテインメント

・砂浜図書館(茨城県大洗観光協会)
・シティホテルにミニ体育館(大阪府ホテルバリタワー天王寺)
・ドライブインのおばけやしき(都内)
・おひとりさまナイト水族館(宮城県仙台うみの杜水族館)