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メマリーさんち

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メマリー家の人々の日常を切り取ったマガジンです。「面白き、こともなき世を面白く」ほっと何も考えずに笑いたい方はぜひぜひおこしやす。(*- -)(*_ _)ペコリ
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#人生を変えた出会い

もう、ぼ、ぼくは、耐えられない!その時彼女は…

渋滞で、暇つぶしにとでも思ったのだろうか、男は滔々と語り始めた。 時は、ルミナリエ当日。元町。きらびやかに彩られたイルミネーションが町を覆い尽くしている。 恋人たちや子供連れの家族が、芋を洗うようにイルミネーションのトンネルを行き交っていた。 男はデート中だというのに肛門括約筋をひくつかせて、脂汗をかいていた。 強烈な便意が男を襲っていたのだ。 少しでも気が緩むと、大参事になってしまう。 年の離れた若い彼女が、楽しそうに話している。彼女はかぐわしいシャンプーの匂いをな

叩いて、起こして、縛る、お仕事

「叩いて、起こして、縛るんだよ」 私は、頭上に??を浮かべた。何とも卑猥な・・・いやいや物騒な言葉の羅列。 久しぶりに会う叔父が、突然言い出した。  この叔父、昔は〇〇商事(一部上場)のエリート社員だったが、どういう訳か突然会社を辞め、人生からも親戚からも、はぐれメタル状態で世間を浮遊するようになった。  昔はスーツを着込み世界中を飛び回って仕事をしている、文字通り世界をまたにかける男だったのだ。  数年ぶりに出会い、社交辞令的に「おっちゃん、今何してんの?」 と、

究極のコーヒー

ガラガラガラ 「こんにちは!」  おじいちゃんの家の立てつけの悪い戸を開けると、いつもの香りが僕を出迎えてくれる。  乱雑とした部屋の片隅で、燦然と光り輝くコーヒーメーカーが、ポコポコ音を立てながら、ポタリポタリと一滴づつ香りの元を滴り落としている。  僕はこの不思議な道具が小さな頃から大好きだった。 水を注いでしばらくすると、いい香りのついた水がほんのり色付いて現れる。 じれったいほどに少しずつ。 ガラスの入れ物にたまるまでの時間、僕はコーヒーメーカーとニラメ

破天荒バカ犬一代記

私がまだ純真無垢でかわいくてかわいくてしょうがなかった小学生の頃。 ミニコミ紙で、貰ってくれませんか?のコーナーに出ていた子犬を貰いに行った。 父は血統書付きのチャウチャウ犬。母は血統書付きのシベリアンハスキー。 貰ってきたこいつは、完全無欠の雑種。それでもどっからどう見てもハスキー顔。チャウチャウの面影すらない。 色々いたのだが「この子かわいい」と、妹が抱き上げたので、そいつに決定。 兄貴の意見は全く反映されなかった。 家に帰って、こたつの上に置いてあったミカンのカ