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お疲れ様に込められた想い

こんにちは。オーストリア在住のシアです。

私の周りには日本が好きな人や日本に興味を持っている人がいっぱいいます。

一緒に仕事をしている中国人のミンは日本語を勉強中で、よく私に日本語の質問をしてきます。


ある日、ミンに聞かれた。
「お疲れ様ってどう言う意味?」
って。
日本人は当たり前に言うこの「お疲れ様」。
意味を聞かれて私は困った。

「挨拶だよ。」
と簡単にそう言っておいた。

でもその後考えたら、お疲れ様にはいろんな意味があることに改めて気づいた。

挨拶といっても「How are you. 」の意味で軽い挨拶として言うこともあれば、仕事終わりに言えばそれは「See you tomorrow 」と言う意味になる。
英語では金曜日にに「Have a good weekend 」よい週末を。と言うこともあるが、日本語ではそれも「お疲れ様」一言で済んでしまうのだ。

お疲れ様はただの挨拶ではなく、感謝の気持ちや相手を労う意味を込めて言う言葉なのだ。

あなた疲れたでしょう、と苦労を労う表現が元になっている。と私は説明できればよかったのだが、その時私がミンに適当に言ったのは「疲れはtired ってことだから、疲れている人に言うんだよ。」だった。
何て意味のわからない説明。
ミンは納得したように頷いていたが、
挨拶で「あなた疲れてる」って言うのは変だなあとでも思っていたのかもしれない。

次の日、気になったからもう一度しっかりとお疲れ様について説明してあげた。

そしてなるほど。という顔をしたミンはさらに私を困らせる質問をするのだった。
「じゃあ、Have a good day! もお疲れ様でいい?」
「えーっと。。。。。それは、よい一日を。でも、あんまり言わないなあ。場合によってはお疲れ様でもいいかな。。。」

日本人特有の「労いの気持ち」を理解してこそお疲れ様を言う意味がわかるんだろうか。

日本語はとても難しい。

年末、12月30日。仕事納めの日のことだった。
仕事が終わって帰り際にミンが「明けましておめでとう」言ってきた。
明けましておめでとう?
まだ 30日だし、年、明けてないけど?
と思った私は
「まだ明けましておめでとうじゃないよ。」
と言うと
「Happy new year ! って明けましておめでとうじゃないの?」
と聞いてきた。
「そうなんだけど、年が明ける前は、よいお年を。って言うんだよ。」
と教えてあげた。
その時、年末に言う「Happy new year !」は日本語では全く違うことに私は気づいた。

日本語では、よい一日を。よい週末を。よいクリスマスを。とはあまり言わないが、年末は「よいお年を。」と言うんだなぁ。

正月は日本人にとって重要なイベントだ。
オーストリアと違ってクリスマスよりも正月に重きを置く日本人だからこそ、そう言う言葉を掛け合うのかもしれない。

言葉には直訳にはできない文化や意味が含まれていることがある。

「Have a good weekend! 」
と言われる度に私は休日を大事にするオーストリアの人達の生き方を感じるのだった。

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