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発病 3

 大学病院からの紹介状を持ち、初めて出掛けた大阪の大学病院は、症状が出てから3つ目の病院になる。初診の受付をし、脳外科に紹介状を持ち受診をお願いしたら予約が入っておらず、診察をしてをもらえないと知る。一旦家に戻り、勤務先の先生に相談に行くと「自分で予約できるよね」そう言って同僚が仕事をしている横で、自分で大学病院の予約を取った。今度はきちんと予約を入れ、後日大学病院からの紹介状と、勤務先の医師が書いてくれたものと2通持ち、漸く希望の大学病院で受診する事が出来た。
 大学病院で初めて会う医師は、紳士的な雰囲気の優しい目の人だった。紹介状2通とMRI画像に目を通し、
「痛みや困る事はありますか?」
とゆっくりの口調で話しながら私の手足の感覚を確かめ、不安そうな顔をしていたのだろうか、
「あまり心配しなくてもいいですよ。色んな検査をしたいので、すぐに入院してもらおうと思いますが大丈夫ですか?」
と微笑みながら言った。
「あの・・・、手術するんですよね?」
と聞く私に
「手術しないで治せる方法があるか、詳しく検査して調べましょうね」
と話す医師の言葉に安堵した。言い方ひとつで不安は半減するものだ。
 医師の説明では、画像を見るだけでは脊髄腫瘍と断言できず、体の症状から特定疾患の可能性があるとの説明だった。手術しか残された道がないと聞かされていた私の気持ちに、少し希望が見えて来た。
 診察室を出る前に医師が、
「あなたはいい職場でお仕事されていたんですね。どちらの先生にも、きちんとお返事書かせていただきますね」
と言ってくれた事で、勤務先の医師が書いてくれた紹介状の中身を感じ取る事が出来た。この時点で勤務していた職場は急遽辞めさせていただく事になり、皆さんにご迷惑かけながらの退職。その後も、
「新しい人を募集させていただきますね」
と連絡をくれる、本当に優しい先生で感謝しかない。
 数日後、病院からの連絡で入院日が決まり、7月4日から私の入院生活が始まった。

自分に出来る事はなんでもチャレンジしていく!難病だって、夢を持っていれば楽しく暮らせるってことを伝えたい。