インターン先の艸の枕ってどんな事務所?
12/4(水)に艸の枕(くさのまくら)でのインターンが開始して平日3日間の勤務を終えました。
この3日間何をやっていたかを一言で言うならば、
只石さんのお荷物になっていた
といったところでしょうか。
というのも艸の枕の代表、只石さんのお仕事は、僕にとっては全てが初めて接するもの。
いわゆる「建築設計事務所」と聞いて想像するものとは何もかもが違いました。
この3日間はその未知の世界を、見よう見まねでなんとか把握しようとしている感じでした。
そこで今回は、建築学生の目から見て、西野さんの空間デザインを支える一級建築士事務所 艸の枕がいかに変わった事務所であるかを紹介してみたいと思います。
仕事場はソファ
建築設計事務所と言われて思い浮かべる光景といえば、壁一面の本棚に並ぶ建築雑誌や作品集、そしてデスクの上には図面や模型などが散らかっている。といった感じではないでしょうか。
しかし、艸の枕では基本的に仕事はコワーキングスペースでやっています。
しかも只石さんの定位置は店内にたくさん並んでいるデスク席ではなく、店の端っこにあるソファとローテーブルの席。
多分そこは本来作業用の席ではないと思うんですが(笑)、只石さんはいつもそのソファでパソコンとスマホをいじって仕事をしています。
後でも書きますが、只石さんが作るものは基本的に図面を渡して施工者に投げられるようなものではないです。なので、ゴリゴリに図面を書いたりしません。
完成イメージも、只石さんがさらっとスケッチに起こしてしまうので、ゴリゴリの3Dパースや、バカでかい模型を作ることもありません。
なのでこれだけ身軽に仕事ができちゃうわけです。
異常なプロジェクト数
艸の枕はガチガチの個人事務所です。
代表の只石さん以外に設計スタッフは誰1人いません。
にも関わらず、扱っているプロジェクトの数が半端ないです。
聞いた話だと、今年一年間でやった案件数が20数件だとか。
これがどれだけヤバイのかよく分からない方のために、比較対象としておそらく現在日本で最も有名な建築家である隈研吾さんの事務所をみてみましょう。
2019年に隈研吾建築都市設計事務所で竣工した案件数は、ホームページに載っているものを数えたら24件でした。つまり艸の枕の案件数は隈研吾事務所に匹敵する量(?)
もう一度言いますが、艸の枕は設計スタッフが只石さん1人しかいない個人事務所です。一方で隈事務所は日本だけで200人以上のスタッフがいるマンモス事務所。
普通、スタッフ数人の小規模な設計事務所であれば、年に2、3件竣工するくらいのペースなのではないでしょうか。
1人でこれだけの数のプロジェクトを成立させている艸の枕は、やっぱり変わった事務所です。
ギリギリのスケジュール感
1人でこれだけの案件をこなしているわけですから、その仕事のスピード感たるや異常なものです。
例えば前回の記事に書いた吉本クリスマスツリーの設営なんかだと、只石さんは設営の2日前くらいにスケッチと図面作成にとりかかっていました。
別に今回の案件が特別だったわけではなく、聞いていると基本的にこんな感じのスケジュール感で仕事が進んでいるよう。
正直、設計課題の最初の方でサボっちゃった学生の提出直前かな?っていう感じのスケジュールです。大学の設計課題でも見ないようなスピードで実務のプロジェクトをこなしています。
かといって、一般的な建築事務所のように、毎日徹夜の日々、、、といった感じでもなさそうです。
実際に作業をしている時間でいったら短いですが、それ以外の時間も只石さんの頭の中でいろんなプロジェクトが同時進行しているからこそ成り立つスピード感なのだと思います。
「設計」事務所ではない
インターン2日目の12/5は、制作作業でした。
建築の制作というとインパクトドライバーでギュイーン!とか、丸ノコでウィーン!とか、トンカチでトントン!とかいう作業を想定すると思います。
ですが、僕がやった作業は
・新品の木材を地面に擦り付けて傷をつけて塗装して、アンティークっぽくする作業
・綺麗に塗装された木の板に、指でペンキを塗って濡れ雑巾でこすって汚れをつけていく作業
・木材にペンキをいい感じにつけて錆びた鉄にみえるようにする作業
などといった感じ。
いや、何これ?
やったことはもちろん、見聞きしたことのある作業が1つもないんですけど。
この作業内容を見ればわかるように、只石さんの作るものは図面上の数値などで設計して、施工者に渡せば成立するようなものではありません。
なので、必然的に設計だけでなく制作にも関わることになるんです。
建築の概念が広がった
以上、変わった建築事務所 艸の枕を勝手に紹介してみました。
今大学で学んでいる建築という分野でのインターンではありますが、環境は今までと全く違うものです。
3日間働いただけで「建築設計とはこういうものだ」という固定観念がぶち壊されました。
そして環境を変えることはいろんなことが刺激的で楽しいです。このワクワクは大学3年の時に文系から転身して建築学科に入った時以来。
この変わった事務所にインターンとして潜入できている恵まれた立場を生かして、自分の知らないことをどんどん吸収して行きたいと思います!
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