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外に出た

僕が一日のほとんどの時間をすごす自室は、マンションの共用廊下に面した窓しかなく、自然光が一切入らない。昼間でも電気を消したら真っ暗になってしまう。

こんな部屋に一日中いたら体内時計が狂うし、精神的に不安定になるのも当たり前だ。一週間ほど前、頭痛と謎の頭がぼーっとする感覚に襲われていたが、よく考えたらあれ、自律神経失調症だ。

実は小学生の時と、大学受験のときあたりにもおんなじような感じになったことがある。体は全く不調ではないのに、頭がなんとなくぼーっとする期間があった。小学生の時に心配した親が病院に連れて行ってくれて、CTかMRIかよくわからない検査も受けたりしたが、その時自律神経失調症かもしれないと言われた。

詳しくはよくわからないが、ストレスでメンタルが病んでるんだなということが分かってからは、それによってストレスが無くなったのかわからないが順調に回復した。大学受験のときに同じように頭がぼーっとしてやる気がでなかったときも、「あ、これ自律神経がなんかおかしくなってるやつだ。」と理解できたので、冷静に対処していた。

一週間ほど前の頭痛もおそらく同じ。自然光の全く入らない部屋でほぼ一日座りっぱなしという生活を一週間くらい急に始めてしまったので、精神にガタが来たのだろう。


そこで朝の人がいない時間帯にちょっと外に出て運動してみることにした。
運動不足解消は自宅でも頑張ればできるが、日光浴は外に出ないと難しい。

数年ぶりにジャージとランニングシューズを身に着けた。
ほんの三十分ほどで帰ってきたが、久しぶりに近所を巡ってみるといろんな変化があって驚く。

近所の公園にはでっかいタコのすべり台ができていたが、コロナの感染拡大防止のため使用は禁止されていた。そういえば噂に聞いた話だが、日本でよく見るタコの滑り台、一つとして同じ形がないそうだ。図面がなく、全部職人が鉄筋をその場で曲げて作ってるとか。そのタコ滑り台職人も近年高齢化が進んで少なくっているらしい。

話は逸れるがデンマークのコペンハーゲンに有名な建築設計事務所やアーティスト集団が手掛けた「スーパーキレン」っていう公園がある。この公園がある地区は、色んな国からの外国人労働者や留学生が多く、住民同士の中があまり良くなかったそう。そこで公園を作るに当たって住民にヒアリングをして、それぞれの自国の記憶となっている要素を公園に入れることになったらしい。それで日本の要素として入れられたのがタコの滑り台。

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デンマークにはタコ滑り台作りのノウハウはないので、日本から職人が行って作ったらしい。日本でよく見る赤いやつではなくて、黒光りしているのがおもしろい。

こう見るとタコって、同じ「タコの滑り台」という大枠を維持しながら、いろんなバリエーションを作りやすい動物だと思う。
例えば他の動物で滑り台を作って、それが全国に広がって行ったとしたら、滑り台という遊具としてのバリエーションを出すにはポーズを変えたり、柄を変えたりしないと難しい気がする。
でもタコは手足が長くて自由に動くので、「中央上部に頭があってその周りに足が広がる」という形を守ったままでも、相当なバリエーションが出せる。

タコ滑り台では「中央上部の頭とその周りの絡まりあった足」という構造や赤という色などが形式としてあって、その中で足の絡まり方で遊具としてのバリエーションを出せる。だから、パッと見で「あのよくみるタコのすべり台だ」と認識できて、過去タコ滑り台で遊んだ楽しい記憶が蘇って遊びたくなる。だけど、一つ一つは違うのでまた過去の経験とは違う新しい楽しみ方ができる。っていう、結構完成度の高い遊具な気がする。


なんかタコのすべり台の話でちょっと盛り上がってしまった。


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最後に、ジョギング中に通りがかった、東京オリンピックの水泳競技などの会場となるアクアティクスセンターの写真。だれもいないこの広場に、各国から人が押し寄せることになる日が無事訪れることを願う。

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