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「女性法律家協会」へ質問状 ―「離婚女性に対する捉え方に偏り」

日本女性法律家協会による「家族法制の見直しに関する中間試案」への意見書について、「こどもの未来を考える有志の会」が質問状を提出しました。 

同会は、「離婚女性に対する捉え方に偏りがあり、このような認識の女性弁護士が、法律相談を行っているとしたら非常に不安です。こども達の未来が脅かされかねません。」と発信しています。

日本女性法律家協会 意見書

日本女性法律家協会 家族法制研究会において、「家族法制の見直しに関する中間試案」について意見書の取りまとめを行い、2023年2月15日、パブリックコメント(意見書)の提出を行いました。

「意見書」におきましては、「子の最善の利益」の確保の重要性、及び、 これが広く考慮されるべきことを念頭におき、離婚後の子の養育の在り方につい て、現行民法819条の見直しを提案する「甲案」を基本とした意見をとりまとめ ております。 なお、「子の最善に利益」の確保のためには、家族法制の見直しの みならず、社会的支援体制が不可欠となってくることを踏まえ、「政策提言」 を同時に行いました。

女性法律家協会 2023年3月8日

「こどもの未来を考える有志の会」の質問状

 4月3日、全国各地でひとり親家庭支援をしている団体代表の有志が、日本女性法律家教会へ質問状を出しました。


令和5年4月3日

日本女性法律家協会
会長 佐貫 葉子様

                     こどもの未来を考える有志の会          

「家族法制の見直しに関する中間試案についての意見書」への質問

私たちは、全国各地でひとり親家庭支援をしている団体代表の有志です。

貴協会の「家族法制の見直しに関する中間試案」について意見書を拝見いたしましたが、離婚する女性に対する捉え方に偏りがあり、これが女性の法律家なのかと思うと落胆しました。

私たちの相談現場では「子どもを連れて出ていったら誘拐になるからな」、「絶対に親権を取る。逃げられないぞ」などの言葉によって脅され、精神的暴力をふるう夫と距離を取る機会すら奪われているケースがあります。

DV家庭に育った子どもたちの中には、ひきこもりのお子さん、自傷行為を繰り返すお子さんもいます。

家庭裁判所でDVと認定されなかったため、心療内科に通いながら面会交流をしているお子さんもいます。

家庭裁判所と面会交流支援を行う行政との間でDVの定義が異なるため、面会交流支援を受けられなかったケースもあります。

当事者からは強制共同親権が導入されたら、「もう日本には住めない」、「離婚の意味がなくなる」、「DVと虐待が増え、変えられない現実に自殺も増える」という意見が出ています。

なにより、貴協会のいわゆる共同親権に関する意見は、両性の合意がなくても婚姻の一部効果を強制する可能性があり、憲法24条に違反することになるのではないでしょうか。

「父母が離婚するか否かという子にとってはあずかり知らぬ親側の事情」(5頁)という言葉はあっても、面前DVに苦しむ子どものことには触れられていませんし、「忠誠葛藤から別居親との親子関係が問題ではないのに面会交流を嫌がる場合もある」(26頁)という言葉はあっても、子どもが面会を拒否しても面会交流が強制されてきた実態については触れられていません。

現在の日本は、社会的にも精神的暴力についての理解が不十分であるうえ、面会交流に関する審判では、父母間のDVを認定することを回避し、「高葛藤であること」「信頼関係がないこと」という認定をすることで、DV被害者や子どもたちが守られてきたと認識しております。そもそも、「高葛藤であること」「信頼関係がないこと」 が認定されるようなケースで、子どもの面会交流を行うことが、どうして子どものためになるのでしょうか。

離婚する父母間の多くで権力勾配があり、尊厳を回復するため、もしくは、子育てに有害であることを理由として子連れ別居をしているという実態があります。

それにもかかわらず、「夫婦の問題と親子の問題は別」という言葉で切り捨てられ、子どもたちが拒否していれば、「片親疎外」「忠誠葛藤」という言葉で切り捨てられてきました。そうした偏見ともいうべき貶めに苦しむ女性がいかに多いかという視点は全く感じられませんでした。
父母双方親権に関する、甲+B+γ(ガンマ)案は、いわゆる共同親権を推進する政治家や一部の弁護士が賛同を呼びかけていたものと同じですが、彼らは、「耐えられるDV」などというDV被害を軽視する発言をしたり、「#こんなことでDV」というハッシュタグを使って、Twitterで精神的DVを訴える当事者を揶揄する発信をしたりしています。さらに、子連れ別居を「連れ去り」と呼び、処罰せよと日々発信しています。その結果、DVや虐待があっても、逃げることを躊躇してしまう女性が増えていることを理解されているでしょうか。

「親の責任が果たせない事態が、一方の親の行為で起きることは親権が養育責任であることに鑑みて抑止するべきである」(18頁)とありますが、離婚後も、同居親が監視されるということにつながります。

「現状では、親権者が一方的に子を連れて別居することについて何らの抑止策がなく」(18頁)とありますが、子連れ避難を躊躇させます。

現実には、別居後すぐに協議や調停が始まっていることが多く、別居親から、子の監護者指定及び引渡しの手続をとることも可能です。迅速さに欠けるのはリソースの問題だと思います。DVや虐待に関する規律は急務とありますが、DVとは何かということが正しく認識されていない国で、「DVが立証できなければ共同親権」と言っているだけのように感じます。

そのような認識の女性弁護士が、女性のための法律相談を行っているとしたら非常に不安です。そこで、以下について質問いたします。

質問1 貴協会800名の会員のうち、この意見書の作成に何名の方が関わったのでしょうか。
質問2 貴協会が実施している法律相談を担当する弁護士は、この意見書の作成に関わっているのでしょうか。
質問3 裁判官や検察官も賛否を表明したのでしょうか。
質問4 賛否の数はどのように調べたのでしょうか。
質問5 父母双方親権に関して、乙案に賛成する方はいなかったのでしょうか。
質問6 父母双方親権に関して、乙案に賛成する方がいた場合、両論併記にしなかった 理由は何でしょうか。


梅村みずほ議員 法務委員会 質疑

なお、日本女性法律家協会の意見書は、翌日3月9日、早速、共同養育支援議連の梅村議員が国会で取り上げています。

「昨日、日本女性法律家協会が、先月11日をもって締め切られましたパブリックコメントに意見を寄せられているんですね。共同親権に賛成である旨を明確にお示しいただいています。」
「しっかりと大臣にはお目通しいただきたい」

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