友情は空から
もしも王子さまが再び戻ってきたら、再び地球に戻ってきたら、それで私の前に現れたら、私だったらどうするのだろう…?
あなたが言ってた通り、すぐにあなたへ手紙を書くことができたのだろうか…?
私がそうすると、あなたは又悲しい気持ちになると思う。きっと。
だから、手紙を書くことにはためらってしまう。
あなたはきっと泣くだろうから。
私は手紙を書かずにただ、王子さまの顔の特徴をかわいくとらえた簡単な絵を描く。
カラーインクで。
それでさりげなく…あなたが私の隣の席に座った時にさりげなく「こんな、男の子が私の夢に出てきた」って言ってあなたにその絵を見せる。
本当は夢じゃないのに。
そしたらあなたはけげんな顔をする。
そして無言のまま、しばらくの間その絵を見ていた。
ただ「ふーん」とだけ無愛想にあなたはそう言った。ただ、それだけ。
多分、そんな人だ、サン=テグジュペリという人は。
ものすごく現実的なのに、
ものすごく夢みがち。
どうやって、そんな極端な2つの「想い」をバランスをとりながら、同時に心に抱いていたのだろう。
難し過ぎるよ。
だから「星の王子さま」はあなたの前に現れたのだろう。
王子さまもわかっていたんだ、きっと。
そんな人もいるってことも。
だから出逢えたのかもしれない。
それまで、いろんな星でいろんな大人を見て来た王子さまだ。
人を見る目があるのでしょう。
だからあなた達はお互いを理解し合えた。
素敵な友情だ。
あの薔薇の花も嫉妬しているかもしれない
「私はなんとも思わない」なんて言いながら、実は
嫉妬している気がする。
バオバブの木を植物園なんかで見るたび思い出してしまう。
「星の王子さま」の物語を。
それで私も王子さまのようにバオバブの木を引き抜きたくなるんだ。
とても大きな木なのに私の心の中ではバリバリと大きな音を立てながら、バオバブの木は大きな重機で引き抜かれていく。
それで私は「星が守られた」とほっとしている。
不思議な友情の物語だ。
不思議な旅の物語だ。
不思議な愛情の物語だ。
このような物語はサン=テグジュペリでなければとても書けないと思う。
今でも私の心の中では飛行機が飛んでいる。
サン=テグジュペリが操縦している飛行機が。
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