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私は自分は

英語はたった一つだが、日本語には一人称が沢山ある。
「私」「僕」「俺」が代表的だろうか。自分の個性に合わせた一人称が選べるのは面白い。日本語のいい所だ。

小説、アニメのキャラクター達が様々な一人称を使っているのは聞いていて楽しい。男性的なもの、女性的なもの、年齢なども一人称で表せることができる。

狐耳の妖艶なお姉さんは「わらわ」。髭を蓄えた年老いた達人は「わし」。気高い貴族の縦ロールお嬢は「ワタクシ」。一人称を聞くだけで性格が想像できる。

創作の世界ではなくとも少し変わった一人称を使うだけで自分を示せる。例えば、女の子だけど「僕」を使ってみたり、男性が「私」と言うと真面目で大人な印象を受ける。

皆さんはどのような一人称を使うのだろうか。
私は3つの一人称を使い分けている。

1つはご覧の通り文章での「私」だ。学校で作文を考える時に「私」を使うと習ったので、今でもそれが染み付いている。ああ、それと敬語で話す時にも「私」になる。

2つ目、普段は「自身の名前」が一人称だ。小さい頃からの癖が抜けないまま大きくなった。「私」を使うように変えようかとも思った。
「自分の名前を呼ぶ女は地雷。」
誰かがそう言っているのを聞いたからだ。私も危険物にはなりたくない。何回か「私」と言う練習をしてみたが、体中がむず痒い。何だか私ではないようで、気持ち悪い。数日で正すのを辞めた。私は爆発物になったが、近くを歩く人には我慢して貰おう。

最後はネットで話す時だ。先程お伝えしたが、普段は「本名」の一人称だ。初めてオンラインゲームで通話した際に、これはマズイと私は焦った。ネットリテラシー的観点で本名は隠すべきだ。でも、「私」を使うのは無理だ。
私は少し悩んだ末に「自分」と名乗ることにした。名前は自分自身を表すのだから、「自分」を使うのが適切だろうと。

時々、「本名」が口からはみ出そうになるのに苦労する。寸での所で飲み込むのを数回繰り返した。

この前など、家族の話をしていた時にポロリと零れ落ちて困ったものだ。一回目は相手も見逃してくれた。だが、2回3回と私が口を滑らすので、相手は笑いが堪えきれず吹き出していた。身近な人の話を再現する時にうっかり言ってしまうのだ。

普段と違う一人称をネットで使う時は気をつけて貰いたい。これは私だけかもしれないが。

私以外にも一人称を使い分けている人もいる事だろう。仕事では「私」を使うが私生活では違う方が多そうだ。

職場でしか会わない人が、街中で見かけた時は違う一人称を使ってたら。そんな事を想像するとワクワクしてしまう。その人の内側の部分が垣間見えたようで嬉しいとも思うのだ。


noteを書くたび、会話をする時。その時その時で一人称が違う。意識してみると、それが愉快で堪らない。

「私」はここだけの「私」なのだ。


おしまい

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