心を整えたいときほど美しいものを観るべき理由
こんにちは。ライフキャリアコーチ・臨床心理士のAriです。
この記事では「心を整えたいときほど美しいものを観るべき理由」について書きます。
1日の終わりに「今日みた美しいものを書く」
何かとハードなことが多く、気分が乱高下した5月。私は、毎日続けているジャーナリングに一つの項目を加えました。
それは「今日みた美しいものを書く」ということ。
例えば
雨に濡れる梔子(くちなし)の白い花びらと深緑の艶のある葉っぱに乗っかる雨粒のコントラストが美しかったこと
子どもが吹いたタンポポの綿毛が2つくっついて、空に舞い上がる様
寝起きの子どもの柔らかい髪の毛に窓から朝陽がさして光っていたこと
等、その日に記憶に残った自分が美しいと思ったものならばなんでも良いのです。
実際にこれを続けることで何が起きるかというと、
毎日「美しいものはないか?」探すようになります。普段は目を向けないような些細なもの、日常風景の中に美しいものを求めるようになります。
これがとてもよいのです。
もともと生物学的に弱い動物として発生した人間の脳は、進化の過程で危険を察知して身を守るためにリスクやネガティブな要因に自然に目がいくようにできています。
だからどうしても「今日はこれができなかった」「ああ、また自分はこんな失敗をやらかした」等、自分の人生のネガティブな側面に関心がいき、改善しようとします。
だから敢えて、人生のポジティブな側面に意識を向けることで、落ち込みや抑うつ的な気持ちへの傾きから、少しずつバランスをとることができるのです。
内省を促すデフォルト・モード・ネットワーク
デフォルト・モード・ネットワーク (Default Mode Network)をご存知ですか?
デフォルト・モード・ネットワーク(以下:DMN)は、課題遂行や達成のために動いているときには活動が低下し、なにもしていないときや、休憩中にぼんやりしているとき、瞑想しているとき等に活性化する脳のアイドリング状態のことです。
DMNが活性化するとき、人の思考は自分の内側に向かい、内省的になるのです。
また、最近ではDMNは創造性にも深く関係しているといわれています。
そして、このDMNが最も活性化するのが、最高の芸術を体験しているとき、つまり、一番好きな芸術作品を眺めているときでした。
私はこの事実に触れたときに、鳥肌が立つほど、興奮したのを覚えています。
なぜなら、思春期の頃から、元気が出ないとき、自分が自分を見失いそうなとき、私はいつも美術館に足を運んでいたからです。
絵画やアートへの感動体験がきっかけとなり、自分の思考や感情に気づくことが沢山あった、その理由を知り、興奮と同時に腑に落ちるものがありました。
コーチングやサイコセラピィ、カウンセリングのセッションでDMNが活性化しているか否かのエビデンスには辿り着いていませんが、
私は密かに、きっとクライアントがリラックスして自分の心に向き合って気づきを得るとき、このDMNが関係しているのではないかと思っています。
だから、私が開業するオフィスは、来てくれる方のDMNが活性化しやすい環境を整え、彼らの内省をフッと促すような空間に出来たらいいなと思っています。
それがどんな空間になるのか、自然の中なのか、茶室のような空間なのか、まだ私にもわかりませんが、今からワクワクしています。
心を整えたいとき美しいものに会いにいこう
と、いうわけで、みなさんも落ち込んだとき、心が疲れているとき、元気がでないときには、心を整えたいときには、ご自身にとって美しいと思うものに会いに行ってみてください。
それは、
美術館や博物館かもしれないし、自然豊かな場所かもしれない。
動物園や水族館かもしれないし、自分が恋する人に会いに行くことかもしれません。
とにかく自分の心が喜ぶものの前に自分を連れて行き、ぼーっと眺めてみてください。
心が動いたその時に、少しずつ自分を取り戻しているでしょう。
参考文献:
マインドワンダリングーさまよう心が育む創造性-(2023)モシェ・バー.勁草書房
参考資料:
世界の今をダイジェスト.シーズン2.美の本質.NETFLIX